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自信
「星こそ、こんな俺に出会ってくれてありがとう。」
「えっ?」
慌てて聞き返す。
あまりにも信じられなかった。
想太さんがそんなことを思っているとは知らなかった。
ただ、現実への不安に押し潰されそうになって目を潤ませていたとばかり思っていた。
私は想太さんに何を残せただろう。
きっと、くだらないことばかりだ。
笑える要素など一つもない。
どちらかと言えば、重い要素ばかりで、思い出と呼べるものは何一つない。
そして、想太さんの心が癒えた確証もない。
だが、そんな私にも想太さんは『ありがとう』と言った。
本来感謝するのは私だけでいいはずだ。
だからこそ、信じられなかった。
私が感謝されてもいいものなのか。
だが、その言葉が何よりも嬉しかった。
誰にも必要とされない私でも想太さんに感謝されたのだ。
たとえ、無力な私でも人の役に立つことは出来る。
感謝されることも可能なのだ。
それを身をもって証明した。
その快感を身体全身、細胞の隅々で味わった。