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24時間
「戻らないとな。」
想太さんは突然声のトーンを変えた。
そして、想太さんは自分の手をまじまじと見た。
私も想太さんの視線の先に目をやると、想太さんの手も透けていた。
きっと、タイムリミットが迫ってきたのだろう。
慌てて私の手にも視線を移動させる。
すると、私の身体は服から露出している部分は勿論、腕の部分まで美しく、見事に透けていた。
「そうだね。」
私も声のトーンを変え、想太さんとの別れに向き合う決意をした。
「24時間ってあっという間なんだな。」
確かに24時間はあっという間だった。
姉探しに費やしている間は、この時間が早く終わることだけを望んでいた。
だが、今はこの時間が続くことを誰より願っていた。これは、姉との再開が憂鬱なのではなく、想太さんとの別れまでの時間を延長したいからこその願いだった。
「もう会えないのかな。」
想太さんは静かに首を横に貼った。
「俺達が出会えたことはきっと偶然なんかじゃない、必然なんだと思うんだ。」
私はその言葉の意味を理解するのに時間を多く要した。でも、その言葉で少し気が楽になった。