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過
美しかった景色も夜の闇に埋もれ、24時間もついに終わりを告げようとしていた。
せっかくなら最後は常夜灯で迎えたいと思った。
この高台の景色も格別なものだった。
だが、思い出のある常夜灯には叶わない。
今の私には、常夜灯でこの世界の終止符を打つことしか考えられなかった。
「常夜灯、行かない?」
「うん。俺も行きたいと思ってた!」
「またか。」そう言われると思っていた。
だが、現実はそうではなかった。
常夜灯に行くことを楽しみにしていたかのような、そんな反応だった。
大好きな場所を共有できる嬉しさに、私は喜びを隠しきれなかった。
これから想太さんとの別れがあるということを、一瞬だけ忘れることができた。