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re.time  作者: 新屋はる
First and last encounter
32/55

再思

年間1万人が訪れるというこの高台。

それは急斜面を登り終えた先に広がっていた。

それほど高くもない木の柵のおかげで、視界が遮られることなく、絶景が容易に一望できる。

絶景好きには持ってこいの場所だった。


水平線に沈む夕日を初めて目の当たりにした私は、自分の過去を恨んだ。


夕陽に照らされ、光り輝く水面。

空に映える、遠くに広がる幾多の島々。

飛び交う鳥たちの鳴き声。


こんなにも美しいものが存在していたというのに、散々自然が嫌いだと言い張ってきた。

私を見下しているような気がして、自然が憎かった。


それらを知ろうともせず、自分勝手な思い込みから一方的に避けていた。

ただ、逃げていただけだった。

自然を悪者にして、自分の過去や現実から。



何にも邪魔されることなく、美しすぎる景色に見入っていた。

この景色に埋もれることのできる自分が幸せ者のように思えた。


この景色で過ごしたい。


本気でそう思った。

だが、それも長続きはしなかった。

夕日はあっという間に顔を隠す。

やはり自然は儚かった。


そこで冷静になる。

儚いのは人間も同じではないか。

分かっていたことなのに今更ながらに痛感する。

自然を憎んでいた後悔と景色の魅力に気付けた嬉しさが交錯する。


そして、今だけはどうしても景色に見入りたい気分になった。だからこそ、想太さんのことなど忘れた同然でその様子に終始見入っていた。


惜しまれながら姿を隠す夕日に心を奪われた。

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