許し
今の気持ちにくだらない自問自答を繰り返していた時、想太が再び口を開いた。
「姉は家族だろ?分かり合えない家族なんているはずないだろ。」
想太さんは私の心を読んだかのようにぼそりと呟いた。
そして、想太に頭を小突かれ顔を上げると、想太さんは私が見たことのない優しい顔をしていた。
その姿は、動物に見惚れている女の子のようで、そんな想太が愛おしく思えてきた。
「そうだよね。家族だもんね。」
「俺の分まで大切にしろよ。星なりの方法でいいからさ。」
「ありがとう。」
想太さんと話しをする中で、姉への謝罪を先延ばしにするという選択肢はすっかりと消えていた。
それよりも、早く謝りたいという気持ちが膨らんだ。
この3年間のあんなことやこんなこと。
恥ずかしい話でも何でもいい。
私は、心のどこかで姉との時間を楽しみにしていたのだ。
そして、私はこの他に嬉しいことが何もないくらいに喜んだ。
『星なりの方法』
想太さんが私のことを認めてくれたような気がした。
その言葉が大好きな歌詞やドラマのセリフのように頭の中をリフレイン。
こんなことが起きてもいいのか。
私がこんなにも幸せで満ち溢れる空間に居てもいいのか。
そんな思いも増してきた。
だが、それは明白なことだった。
この幸せを満喫してはいけない理由などない。
たとえ、こんな私にも楽しむ権利はあるんだ。
だから、想太さんとずっと一緒に居たいと思った。
勿論、現実の世界でも。
それが不可能だと言うのならば、せめて、この世界にいる間はずっと。