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変わらぬ人生。
そんな自問自答も客観視すれば、くだらないことだ。
だが、私にとっては重大な自分との葛藤だった。
通常ではない何かが今にも起こりそうな予感がしていたのだ。
考えるだけで身震いのするようなことが。
こんな思考といい、嫌な予感といい、今日の私は何者かに呪術をかけられているようだった。
挙句の果てには、自分の死の予兆なのではないか、とまでも考える。
通常の私であれば、『夜空を見上げても心が癒されることもなければ、魅力など分からない』などとでも言っているだろう。
実際、私にとって自然とは、自分の先行きに懸念を抱くだけの邪魔者の他ないのだから。
どうせ、空もいつか輝きを失ってしまう。
人間と同じように。
この世に存在するすべての生物のように。
そこに魅力を感じるのだとするのならば、逃げているだけではないのか、と。
一時の輝きを過信し、自分の人生を棒に振ることは他人任せと同じである。
私がそんな無謀なことなど、信じれるわけもない。
だから、これまでもこの先の未来も、奇跡や希望やらの根拠のないものに縋ることはない。
そう思っていた。
あの日までは。