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re.time  作者: 新屋はる
An unusual world
18/55

投げやり

姉はどこにもいなかった。

あまり出歩かない姉でも居そうな場所を何度も考えて訪ねてみたが、結果は全て空振り。

私の思いつく限りの場所には居なかった。

居なかったどころか、気配すらもなかった。



私は、正直諦めた。

これだけ探してもいないなら、見つかる訳もない。

それなら、探す意味もないと思った。

そして、同時に姉を探す意味のなくなったこの世界に、私がいる意味もなくなった。


だから、現実の世界に帰ろうと思った。

そもそも、ソラさんの言葉を根拠なしに信じた私が悪かったんだ。


現実に戻る前に『普通ではない世界』の常夜灯に行きたくなった。

今の私の支えである常夜灯の3年前の姿を目に焼き付けていたかった。



「普通ではない世界か…。」

つい、悲しさを口に出してしまった。





きっと会えないんだよね。

会いたい人には。

ソラさん、どうやら私は24時間もたたない間に気付いてしまいそうだよ。


そう、ソラさんに伝えたくなった。

少しだけこの世界の意味がわかったような気がした。



自分に嫌気が指した。

何度も自分を責めた。

責めて責めて、自分が自分ではなくなりそうな状態になりそうであったから、帰る覚悟をした。

そして、ソラさんからもらったこの世界の諸注意の紙をもう一度読み返した。



いざ冷静になってみると、現実に帰りたくないという思いも膨れ上がってきた。

正直、姉との問題を後回しにはしたくなかった。

だが、現時点の私には不可能だった。


現実に戻り、自宅に帰り、いつもと変わらな毎日を過ごす。

そうすれば、姉との問題もこれまでと何一つ変わらない。

姉との関係は悪化したままだ。

それでもいい。

3年もそんな生活を過ごしてきたのだから、そのままでもいいんだ。

どんな日々になろうが、それでいい。


無理にでも現実を飲み込む方法で、投げやりに諦めかけた時だった。




「あの…。」


私はおかしくなっていたのかもしれない。


どうしてだろう、幻聴のような、甘い声に惹きつけられた。

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