ついに?
そろそろ諦めようと思った。
姉はあまり出歩かないタイプだから、沢山の場所に遊びに行くことも考えずらかった。
だから、頑張って頭を回転させて、姉がいそうな場所を考えた。
やっとの思いで考えぬいても、姉が居そうな場所はあと1ヶ所しか思い浮かばなかった。
ここが無理なら諦めよう、そう思った。
考えたくもないが、姉と会えないことも覚悟した。
そして、最後の希望に縋るように向かったのが、姉の親友の自宅兼親の仕事場でもあるお土産屋だった。
私は、残りの体力全てを使い切る気持ちで走った。
お土産屋に着くと、私は迷わず店員を呼んだ。
「すみません。お姉ちゃんいますか?」
「星ちゃん。見ないうちにお姉ちゃんにずいぶん似てきたね。」
また、大人びたということに関しての話かと思い、少しイライラした。
私はそれを聞きたいわけではないのだ。
姉がいるか否かを聞きたいだけなのだ。
店員さんが悪いわけではないのだけれど、それでも、店員さんを恨んでしまう自分がいた。
「大人びたってよく言われるんです。あの、お姉ちゃんは。」
だが、至って冷静に対処した。
なぜなら、こんなことに悩んでも何も起こらないからだ。
「うちの子なら今日は塾だからお姉さんとは遊びに行ってないと思うんだけど…。力になれなくてごめんね。」
「そうなんですね。私こそ突然押しかけてすみません。」
私はきちんと礼を言うと、その場を去ろうとした。
姉に会えなかったことを私はすごく残念に思った。
そして、一粒の涙が静かににこぼれ落ちた。
最後の希望も無くなってしまった。
もう、会えないという事だろうか。
私はその事実に失望した。
それでも、人の前で涙するのは失礼だと思い、こらえることにしていた。
だが、その我慢は出来なくなっていた。
今にもダムが崩壊しそうだった。
「試食でもしていく?」
「今日は大丈夫です。ありがとうございました。」
感じの良い他の店員さんに試食も進められたが、今の自分の姿を見られてくなくて、食べたかった試食を断った。
そこで、私は空腹であることに気が付いた。
だが、食欲はわかなかった。
それどころか、戻すことしか考えられなかった。
無心でゆっくりと来た道を戻り始めた。