はじまり
第一の目的地にしていた自宅にはあっという間に着いた。
庭の花は相変わらず憎いくらいに美しく咲いていた。
家族全員分の洗濯物も当たり前のごとく干してあった。
相変わらず生活感の漂いすぎている家だった。
だから、本当に3年前と変わらないことを改めて実感した。
だが、自宅の窓は締め切ってあり、家の扉まで閉め切ってあった。
おそらく外出中であろう。
チャイムを何度も押すも、返事は一向に返ってこなかった。
勿論、扉を叩いてみるも返事はない。
そこで、突然不思議に思った。
私の記憶が正しければ、3年前の今は姉は自宅で家事をしていたはずだ。
だが、姉は自宅にいない。
それどころか、きっちりと施錠されており、先ほどまで居たという形跡すらない。
だから、入れ違いになったのかと思った。
そのため、特に不思議には思わず、別の場所を探してみることにした。
その数時間後には確実に帰宅していたわけだから、そう遠くまでは行っていないだろう。
そう思い、急いで自宅をあとにした。
どうしても姉に会いたい一心の私は、限られた時間を有効に使うということしか頭になかった。
次の場所へと向かうとき、私が猛スピードで走るものだから、私は人々の視線を盛大に浴びる羽目になった。
これが現実なら耐えられないだろうが、今回ばかりは違った。
いつの間にか何かの使命を背負っているかのような気持ちになっていた。
気持ちだけは正義のヒーローのようだった。
自分なんてどうでもよかった。
たとえ人にどんな目で見られようが、3年前の姉に会えるならそれでよかった。