普通じゃない?
そんなこんなで『普通ではない』世界に飛び込んできたわけなのだけれど、突然のことで何をすればいいのかが分からなかった。
とはいえ、これらを責めることは出来ない。
なぜなら、根拠のない考えを信じていた私の自己責任だからだ。
不安なことがあればソラさんに聞けば良かった。
でも、聞かなかったのは私だから。
そう思い、落ち込んでいた時にふと思いついたのは姉との日々をやり直すことだった。
3年前に遡り、姉との口論をしなければ良いと思った。
そうすれば、姉との対立もなく、今も何事もなく楽しく過ごせていると思った。
だが、ソラさんは過去や未来は変えられないと言った。
ソラさんが言ったことだから、間違いはないはずだ。
けれど、私は半信半疑でソラさんのその説明を聞いていたのだろう、完全に信じることは出来なかった。
過去を変えられるだろう、という思いが徐々に膨れ上がってきていた。
ふと携帯を開く。
携帯の画面には、しっかりと3年前のあの日が刻まれていた。
私は、そこで、何かが分かったような気がした。
『普通ではない世界』
そんな言葉すら、今の私は忘れていた。
ただ、何かに必死だった。
自分でも分からない何かに。
もう一度携帯電話を開き、今度は時間を確認する。
まだ4時で辺りは暗く、その上静まり返っている。
今から何かをしようとしたところで体力の無駄になることはわかっていた。
だから、何事もなかったかのように、常夜灯で時間を潰すことにした。
かと言って何もすることはない。
冷え切った常夜灯に寄りかかり、静かに目を瞑った。