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なんちゃって側妃候補の後宮へ行こう!  作者: さくら比古
後宮と戦乱
20/21

書き散らしました!

長くなったけれど、最後の台詞まで入れたかったんです!


 快晴無風。紺碧の空には雲一つ無い。

 練兵場では土埃が舞い、白茶けた視界いっぱいの軍馬が嘶きを上げ騒然としている。

 馬上鎧に身を固めた騎兵が己と相性のいい軍馬を見極める為にギラついた眼で見つめていた。

 足回り、毛並みに艶、喧噪の中でのその性を見極められねば騎兵としての死活問題でもある。国が貸し与えるという軍馬に我儘を通すことは許されない。相性は馬師と呼ばれる軍馬の最終調教者の選定が優先であるから、己の選択が誤っていれば馬師からは相応以下の軍馬しか与えられない事もあるという。

 馬師は国直属でその上司と言えば軍司(最高将軍・軍大臣(いくさのおとど))しかおらず、(まいない)や身分を笠に着ることもできない。

 実力でという大前提の下、戦を前に新しい軍馬を獲ることに騎兵達は躍起になっているのだ。


(わたくし)たちは何故こんな所にいるのでしょう」

 至極尤もな疑問だと回鈴は思った。

 練兵場を見下ろす観戦席も皇帝の御座近くにある女性の高位者が座る貴賓席は、薄桃色の紗が重ねて下げられ、眼下の練兵場からは見上げても中の人間を見ることは叶わない。

 だが、その紗が揺れる度にはみ出た裳裾から、いずれの姫君か愛妾かお目に掛かる機会など無い女性(にょしょう)が滞在していることは間違いが無い。そここで俄然やる気を出す兵達がおり微笑ましいとしか言えない状況だ。

 眼下の熱気とは打って変わり貴族位は(親が)持ってはいても町者との関わり合いが深い回鈴や正恵には、遠く離れていても軍馬や町に(たむろ)す兵たちとは一線を画す荒々しい兵達の蛮声や所作に鼻白む心地がしている。

 それでも滅多に観られない軍馬に回鈴の頭の中では算盤が音を立てているのだが。

 御腹様である蓮歌からの呼び出しは、これこれこの時間に練兵場の貴賓席まで来られたしというものだった。

 元より蓮歌に対して隔意どころか好意いや全面支持者として名乗りを上げている回鈴は、一も二も無く応じたが、正恵としては複雑でしか無い。有り体に言えば下に見ていた蓮歌が自分の上位者だっただけでなく、御腹様と成っている。あの皇帝に望まれ抱かれ子を成しているのだ。理性を感情が押し流さないようにするだけで精一杯。実際はその顔を見るのも遠慮したかった。

 それは許されないことだと諦めが付くまで、正恵は側に仕える者たちをヤキモキさせ、迎えに来た回鈴の手を借りて漸く体裁を整えたぐらいなのだ。

 最後まで体調不良を訴えていたが、回鈴に通じるわけはなく、皇帝以外の上位者に面会する上での最低限の礼服及び盛装で練兵場までやってきたのだった。


 これもまた練兵場。

 単純に推定美女の気を引きたい兵達とは比して、騎兵達も紗の向こうの存在に意識が向いていた。

 騎兵は貴族階級の子弟が主で代々がその家系の者が多い。

 それ故に、後宮の裏事情に明るい者もおり、彼女達が側妃であることはとっくに看破していた。そして最新の事情も承知しているのだ。

 御腹様が4人目の御子を無事出産した。男女2人ずつだ。十分なその数は即ち皇帝清以の後宮の解散に繋がる。

 清家皇家は一人に対する溺愛激しい血筋の上寡産(かさん)では無い。これ以上側妃を留め置く意味も消失した上は後宮は解散される。その際皇帝が認め側妃の承諾さえ得れば娶ることも出来るのだ。

 勿論御腹様の第一妃は言語道断だが、確かな筋から第二第三妃は手が付いていない。皇帝の女が手付かずで手に入れられる。これほどの僥倖(タナボタ)は無い。

 もう一つ。側妃達自身の価値もあった。

 第二妃の回鈴は伝説的な大商人の末女(すえむすめ)で回鈴自身も商団を持ちその勢いは辺境にまで聞こえている。つまり、愛くるしい見た目に『金』が付いてくる。

 第三妃はその美貌に男心をそそる肢体。生家が身分は低いが貴族家。父親は皇帝の右筆を目指す名だたる文官達の書の師でその関係から高位の家にも縁があり、正恵の献身・貞淑さも聞こえてきている。身分を言い立てられれば娶ることは出来ずとも愛妾には出来るだろう。そんな欲望が尽きることは無いようだった。


 回鈴はそんな男達の思惑などしっかり把握しているが、こちらもこちらでしっかりと頭の中で書き留め利用できる者などを選別している。流石としか言えない商人の鑑だ。

 正恵はそんな外界のことなど知らぬ気な風情で溜息を零してばかり。憂鬱な表情をしている。

 

 (にわか)に外が騒がしくなる。

 次第に近づいていることからこちらに向かっていることが分かった。騒然とする中、紗の向こうから小声で蓮歌の到着が伝えられる。

 二人は居住いを正し、叩頭して蓮歌の登場を待った。

 果して、優雅な所作で同伴の女官が紗を上げる前に当のご本人が無造作に紗を掻き上げて入ってきた。

「待たせたな!」

 女声ではあるが強く快活な声が正恵の項に降ってくる。

 ぐっとその場の空気が変った。

 苦しい体勢を相手から許されないが為に継続していた正恵は思わず顔を上げ確かめてしまう。

 其処に居たのは蓮歌に間違いは無い。筈だ。それなのに見たものと想像していたものの落差に声も出ない。

回鈴は流石に顔には出さずに堪えたが、何の制約も無く蓮歌の『圧』を受けたのだということは理解していた。噂に聞く垢抜けない物をよく知らない田舎娘であろう筈が無い。思い込みに目を曇らせた者たちの言がいかに頼りにならないことか、害悪ですらあった。動揺が激しい。

 己如きが彼の人の尻尾(しりお)を掴む気でいたことを恥じても居た。只人が、人がましく居る神邪の類いを利用するなど荒唐無稽なことなのだと悟った。

「あっと楽にしていいぞ」

 二人の反応に戸惑いながらも蓮歌が許しを出すが二人の反応は鈍い。

 痺れの残った体を解すかのように回鈴が二の腕を掻き抱くと、正恵は開いていた口を閉じてそのまま座り込んでしまう。

 勿論その様子の異常さに蓮歌も気付いてはいるが理由が思い当たらない。思案し思いついたのは見下ろした自身の身体が汚いという現状だった。

 はっきりと高位にある御腹様たる女性の姿とは言えない。

 下着に近い半袖の短胴着に脛の半分まで迄しか無い短袴(みじかばかま)。靴はと言えば編み上げの軍靴だ。両腰には恐ろしげな武器を佩いている。そのどれもが練兵場()で砂埃に(まみ)れてきたものだから、黄粉を(まぶ)したように黄味がかって粉を吹いている。

 無造作に結っていただけの髪からもさらさらと落ちてくるに至って蓮歌は理解した。

 やらかしたと。

 これでは清以たちを叱りつけられない。

 今現在蓮歌様が降りている状態では無いが、多分に久しぶりに軍馬や竜馬たちと触れ合い戯れる事が出来たため、戦場(いくさば)に臨む気に似た蓮歌を高揚させる環境にあった。それが覇気にも成らないが『圧』として放出されたのだろう。

 回鈴や正恵のように戦場になど縁のない人間には免疫など無い。可哀想なことをしたと反省はする蓮歌だが、限りある時間の中では出直すことも無理だった。

 外にいる女官に濡らした手拭いを依頼すると、紗を打ち上げ外へ出る。

 紗の向こうからはパタパタと払う音がし、布越しに手拭いを受け取った蓮歌が髪や顔を拭いているのが透けて見える。

 『圧』が消えいち早く気を取り直した回鈴がまだ茫然としている正恵を促し、作業を終え再び戻ってくる蓮歌を待つ。

 腕を引かれ気を戻せと回鈴に耳打ちされ漸く正恵も居住いを正す。そこへ蓮歌が戻ってきた。

「すまなかった。待たせた上に不調法をした。

 あ~私たちは同じ側妃だ。同じ男に仕える者同士胸襟を開き、位階なども気にせず対応してもらいたい」

 無茶なと呆れる回鈴に、言われたことを飲込めずに眼を白黒させる正恵。蓮歌はこれでも駄目かと若干しょんぼりする。

「お待たせし申し訳御座いません。お茶の支度ができました」

 助け船を入れるような声が掛けられる。回鈴の女官だった。気が利いて目も耳も良い実家から連れてくる際に強く求めた者で、今回も助けられた。賞与の査定に色を付けねばと心底から感謝している。

 蓮歌もまた回鈴の手の者に目を付けていた。後宮でも色々と活動していたことも知っていたし報告も受けている。これから二人に下知しなければならない。その関係で二人の身上を調べ上げ背景や人員の素性まで得ていた。件の女官も有益な者として報告されていた。


 茶が供され三者三様に息を吐くと、蓮歌は改めて二人に頭を下げる。

 慌てて回鈴が止めるが、下げた頭を戻したときには鋭い視線が回鈴を射貫いていた。

 息を呑む。回鈴はまるで野生の虎に遭遇したかのように声が出なかった。

「戦がある」

 ひっと悲鳴が上がる。正恵だった。

 回鈴は商売上既に得ていた情報だから堅く口を結んだだけだ。回鈴が扱う商品に戦は天敵とも言える故に表情は苦々しい。感情が漏れる位に忌々しいのだ。

「この皇国(くに)に一歩も入らせず手も付けさせぬ。

 蓮歌が誓う」

 言霊と回鈴が呟く。蓮歌の言葉には何らかの力が込められていた。それに気がつける回鈴に強い笑みを浮かべると、蓮歌は続ける。

「今回が最後の戦だ。

 清以も出る親征だ。残すのは国を守る国軍と皇族の近衛衛士隊のみ」

 大攻勢ということか。回鈴は己が呼ばれた意味を悟る。

 正恵は訳も分からずおろおろと回鈴と蓮歌を交互に見ているだけだ。

 一口目の清涼感が飲み終わりの苦みに変わり、茶器を置く回鈴。

 蓮歌も厳しい顔をしている。

「先にも言ったがこの国にもお前達にも一指すら掛けさせぬ。心配するな」

 清以達が見たら詐欺だと騒ぎかねない優しい声音で再度告げる蓮歌に、回鈴は蓮歌の覚悟を知る。

お出征()になられるのですね」

 回鈴の確信を持った言葉に軽く目を瞠る蓮歌は苦笑する。

「回鈴は賢いな。だが、大商人に成るのはまだまだだ。

 蓮歌はこの日のためにここに来たのだ。

 お前が生粋の商人であるように、蓮歌は狩人だ。

 狩人は己が決めた獲物を捌いて馬に下げるまで諦めはしない。

 政の絡む戦ならば蓮歌の出番は無いが、これは長い間打ち逃してきた獲物との最後の勝負。草原の狩人としての誇りは牙が折れるまで獲物を諦めることは無いということだ」

 蓮歌が最後の言葉を零すと、二人は睨むように見つめ合う。

 回鈴は口中で『私に商団を廃棄せよと言うようなものね』と呟くと、蓮歌はにやりと笑んだ。


「まあ、そう言うことで後顧を皇妃に託すことになったのだが・・・

 後宮が解散することは伝えられたか?」

 茶器を弄び蓮歌が二人に問う。

 それまで理解できない二人の話に置物のようになっていた正恵が強く反応する。

 それを見た蓮歌が痛ましく見る姿に、回鈴は正恵のことは知られていると知る。

 3妃が揃った場での後宮の者たちの反応対応を考えれば、長く後宮に居る者ほど蓮歌に従っていた姿を思う。最初から定められていたのかと思えば、蓮歌の入宮自体が予定外のことであるという結果が報告されている。その時は情報解析に長けた回鈴も随分と惑わされた。「その恨み節は何処にも持って行けないもの」だという結果が残っただけだ。


「第2妃第3妃には入宮時に交わされた報償を得る権利がある」

 正恵の肩が跳ねる。1番触れられたくない話を触れられたくない相手から供される。言われた正恵の心情は当然最悪なのだが、聞いた回鈴も言った蓮歌の顔までが苦い。蓮歌に至っては何を思い出したのか怒気まで滲み出している。

「すまなかった。清の血を引く者はたった一人に執着する。

 清以には帝位に即く以前よりそのたった一人が居たのだ。

 その為に愚かな仕掛けをせねばならなかった。

 ・・・・・これから話すことはその償いでは無い。先に謝っておくが我らの企みにお前達を巻き込み平穏な暮らしを取り上げる事になることになる。実はお前達に選択肢は無いのだ」

 出来れば聞かずにこの場を去りたい回鈴だったが、蓮歌の言葉はその足を縫い止める。逃げられない話。聞いた後も受けるしか無いのだ。

 

 それからは物語にしても荒唐無稽な話しが続き、正恵に至っては皇妃と入れ替わり公務を蓮歌が執行し、皇妃が蓮歌として4人の御子を産み育てているという段で涙を流し始め、蓮歌を慌てさせた。

 話が進むに回鈴は蓮歌の意図を悟り何を依頼されるのかを確信する。

 小さな頭の中で情報や算盤が忙しく飛び交い、最良の答えを模索する。言われるが儘に受けるのが良策なのだが、相手の要求ばかりを呑むことは商人としての気概に障る。落としどころに細心の注意を払いながら模索をする。


「これより暫く後に清以が皇妃を連れて視察名目でやってくる。

 その場にて下される宣はお前達に関わりのある話だ」

 言葉を切り二人を睥睨する蓮歌。

 その圧は二人から言葉を奪う。

「回鈴は現在でも尚お父上の商団に次ぐ大きな商団をまとめ上げている。

 これ以降も落ち着くまでは同じようにできるか」

 問いかけでは無い。(できる)と言う言葉を求められている。回鈴は軽く唇を噛み応じた。

()

 迷いを感じさせない回鈴の言葉に、蓮歌は真顔で顎を引く。

「第2妃回鈴は後宮の解散より皇妃付きの勾当内侍(ながはし)に就くことが宣される」

 回鈴の肩が震える。

 叩頭内侍とは皇妃宮後宮合わせ3千と言われる女官の3位の役職だ。それこそ貴族家2位までの家柄からしか選出されない。

 女官長に武威女官長、そして叩頭内侍となる。

 当然回鈴の位階では望むことさえ不敬に当る。

 役職内容と言えば、式部の最高責任者。つまり儀式や公務での進行や物品の確保調達管理をする部署を取り仕切る。皇妃の主催する茶会や宴なども此に当たる。公の場では常に皇妃に付き従い、衣装や所作を管理し、対外的な情報を皇妃に伝え補助する。

 皇妃から見ても女官長以上に身近で頼りにする存在だ。気の抜けない、それだけに回鈴のような性にはやり甲斐のある役職に間違いは無かった。

 同時に低い階位だからこそ()()()諍いや面倒事にも間違いは無かった。

 正式な宣では無いが、蓮歌の好意として伝えてくれたのだろう。

 断れないのならば飲み込むしかない。

「是」

 潔い返事に蓮歌は眉を上げただけで賞賛する。

 振り返り正恵を見る蓮歌。今にも倒れそうな顔色で正恵は蛇に睨まれた雛のように震えていた。

 流石に少し傷ついた蓮歌は眉を下げながら子をあやすような声音で正恵に話しかける。

「第3妃正恵。

 後宮解散後は皇家より推奨された者との婚儀が執り行われる。その後、皇妃宮にて皇妃専属の祐筆として仕えて貰いたい。

 回鈴、正恵。凛香を助けてやってくれ。これこの通りだ」

 言い終えて両膝を握りしめると座位のまま深く頭を下げる蓮歌に、正恵は言われた内容が大事過ぎて意識を失いかけていたのも忘れ慌てて蓮歌に取り縋った。

「れ、蓮歌様!もったいのう御座います!頭をお上げ下さい」

 悲鳴のように声を上げる正恵にけろりとした顔で蓮歌は「受けてくれるか?」と問う。

 正恵は尻込みながらも自分が到底受けられるような人物では無いとぐちぐち言うのへ、一つずつ蓮歌が打ち消してゆく攻防が暫く続いた。


「もうっ、無理なものは無理なのです。

 祐筆と言えば賢き方々の代わりに書を認めなければならないのですよ?

 恥ずかしながら私は書の師を父に持ちますが習ったこともないのです。

 これから先永く残される文書に私の(ふで)が入るなど有り得ません」

 珍しく憤った勢いの儘長々と話す正恵を微笑ましそうに見る蓮歌に、興奮していた正恵も気がつく。そして不敬にも。

「申し訳ありません」

 消え入りそうな正恵に、小さいが節の感じる温かい手が頭を撫でる。

「良いよ。

 正恵はそれくらい元気な方が愛らしい。

 それに女官長から伝え聞いたが、正恵の字は流石書聖と言われた父親の娘だとのこと。自己流であってもその姿の凜とした美しい流れは感嘆すべき物だとな」

 手放しの賞賛に一気に顔色の悪かった正恵が真っ赤になる。

 日々当たり前のことと家を仕切ってきたが、褒められたことなど無い正恵は免疫が全く無かった。家族に冷遇されていたのでは無く、父親筆頭に気が回らない性の者ばかりだった。正恵自身、想像だにしなかった。


「まあ、悪いようにはならないし、蓮歌がさせない。

 夫になる男も絶対正恵は気に入るから楽しみにしていろ」

 蓮歌が愉しそうに言うと、正恵ははたと動きを止めた。

 蓮歌から聞かされた真実に憑き物が落ちたように正恵は落ち着いていた。今この時まで忘れていたといってもいい。だが、良き縁談の相手と言う現実が俄にのし掛かってきた。

 清以のことは自分でも意外なことにその思いを流すことが出来た。まだ、薄皮が張った状態とはいえだが。

 失恋して直ぐに次の相手と言われても。それに尽きるのだが、遙か高みに居られる方方の選ぶ縁談を断れるはずも無い。現実だ。

 途端にしゅんとなる正恵をにやつきながら蓮歌は見ている。

 傍観者になっていた回鈴は、祝いの品の取り寄せを頭の中の算盤を弾きながら考えている。

 三者三様。貴賓席は女官達が清以のと到着を告げに来るまでその様子だった。


「で、だな。

 伝えることは伝えたから、ここからは蓮歌の個人的な頼みを聞いて貰いたい」

 淹れ替えられ芳しい香を立てるお茶を含み蓮歌が歯切れ悪く切り出す。

 何事かと不安げな正恵に、興味津々な回鈴は、声を潜め身を寄せてくる蓮歌に従う。

 額が寸く前まで近付いたところで、蓮歌は気まずそうにこう言い放った。


「町者の男のオトし方を伝受して貰いたい」

 





 


 


 

 

 もうね、申し訳ありませんしかないですね。

 蓮歌さん、キリッと出来る時間は短いです。蓮歌様はウルトラマン並み。


 読んで頂き感謝感激!

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