人物紹介/目次
*****登場人物*****
篠塚 朱里
人間のおにゃのこ小学六年生
合成獣達に次から次へと襲われる
明るいが突っ走ってドジをする
『ミズシマ』と隠れ同棲中
ミズシマ
合成獣のおとこにょこ
ちなみに26歳(犯罪バロス
人間に家族を殺され、自分は合成獣になりここに閉じ込められた
妹と似ているあかりを匿っている
カナザワ
合成獣のおとこにょこ
こちらも26歳(ミズシマと幼馴染だお
ミズシマの妹が好きだった
今は合成獣の政治家達の中心核にいる為
朱里達をやたらめったら助けてはやれない
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幼い頃から私が育ってきた町
私はもう一度この目ですべてを覚えていようと思った
合成獣の泣き声
私の町に昔からあった竹藪
そこは小学校の運動場くらいの大きさだったが、立派なフェンスで囲まれていた
小さい頃からお転婆だった私はいろんな所を探検して回ったが
この中だけは幼稚園の先生に言われた通り入らないようにしていた
まぁ、入る気も起きなかったが…
この中には化け物が閉じ込めてあって
入ったものを八つ裂きにするという
そんな迷信もあった
小さい時の私にその場所は恐怖でしか無かったが
来年中学生になる私はすっかりその話を忘れてしまっていた
「最後にまだ回っていない場所は、ここだけか…」
フェンスを乗り越えて竹藪の中に入っていった
竹藪は意外に広く深く、そして密集していた
そして私を迷宮へと案内していった
だんだん帰り道が解らなくなってきたと思ったがもう遅い
周りを見渡しても同じ景色しか見えないし上の方が複雑に絡み合って屈んで来てしまった
「終わった…とりあえず歩けばどうかなるよ、うん
だって運動場ぐらいの大きさだし?」
少し進んだ私は目の前の穴に気付かなくて…
私の記憶は暗転していった
「……」
目が覚めた少女の前には先ほどからこちらを睨みつけている目が二つあった
男か女かわからないくらい深くフードをかぶっていた
「こ、こんにちは…私あかり…助けてくれたのは貴方?」
『あかり』と名乗った少女はその巨体の警戒を解く為、一応名乗った
「何故此処へ来た…」
(声が低いから男の人かな……)
あかりはその言葉を言ったきり何も話してこない男を見上げた
今、部屋の中は夏の様な暑さだ
あかりはキャミソールに短パンというラフな格好をしていたが汗が体中から噴き出ていた
いくら部屋の中で空気がこもっているからといってもこの熱気はないだろう
目の前の男はマントを着こみ、全身を布で覆っていた
(よくぶっ倒れないわ、この人)
あかりはすごく感心していたが男は警戒を一層強めた
気に障る事を言ってしまったのだろうか…
あかりの体から今までの汗とは違う汗も出てきた
あかりが原因を一生懸命手繰り寄せていた時、男があかりの首根っこを掴んだ
突然のことで息をするのを忘れ苦しくなったあかりはヒューっとのど奥で鳴いた
「ここに入っていろ、声は出すな」
そう言って自分のぶ厚いマントの中に私を入れた
(熱いけど…ここはおとなしくした方がいい…)
そんな雰囲気だったので動かないよう男にしがみつき小さく息を整えた
何十秒か経って扉の向こうからの足音も消えたし大丈夫だろうと思ってあかりはマントから這い出ようとしたが
男は「黙れ」と喝を入れ、あかりをマントの上から片手で掴んでいたので抜け出すにもできない状態だった
仕方なくもう一度しがみつき大人しくしていた
こうして暑苦しいマントの中で得体のしれない男にしがみつき
一分ほどたった後、やっと扉の開く音が聞こえた
あかりは吃驚してしがみ付く手に力を込めた
まぁ、扉の音と言っても正確には壊すような音だったが……
「おい、ミズシマ!此処に人間が来なかったか?!」
キャンキャンと犬のような声をしたヒトが入ってきた
マントで姿は見えないのだけれど…
「来ていない、さっきからお前たちが騒いでいたのは其れか」
「あぁ、しかもあいつらの中の父親の娘…らしいぜ」
「!」
あかりがしがみついている男はそのヒトの言葉を聞いて固まった