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両親について  作者: 冬弥
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発見②

 クリスマスから二日前に母から新しい情報が入った。

 父が近所の病院に行った時に何かの検査に引っ掛かり、早急に総合病院に行って検査するように薦められたらしい。

元々酷い猫背の所為か腰痛持ちで整形には通院していた流れからの様だ。

 健康に自信があり(根拠の無い過信と彼が軽視している自宅での食事で成り立っているが)、最低限の検診しか受けたことの無い彼は困惑して珍しく彼女に相談したらしい。

こんな時だけ都合が良いなとか自分で手配しろよとか思ったが、彼女曰く軽くパニックになっているのとどうするのか解らないからだろうという事らしかった。

 彼女はそのまま他の家族が利用している総合病院に連絡をし、お世話になっている医師に話を通しつつ仕事があるからという彼を半分無視して先ず診察予約をした。

そこで彼は腹部エコーをされたそうだ。


 付き添った彼女が見たのはエコー映像に映った内臓に密着している内臓ではない何かの塊と、見知った医師の険しい表情、医師の表情には(勿論)気付かず医師の表現(悪性腫瘍の可能性大)にも気付かず、のんびり質問をしている彼の姿だった。

 彼女が久し振りに目にした彼の体は、腹回りだけ肉が削げ落ちていた。

 検査は2月でと渋る彼の希望は、タッグを組んだ彼女と医師がその場で組んだ年内の精密検査という日程で叶わなかった。


 彼の検査に先じて行われた彼女の検査は、腫瘍ではない組織という結果が出て終わり、安堵した彼女や私の関心は数日後の彼の検査に向かった。


 検査当日、PET、CTを始めとした1日がかりの検査から初期を通り越した悪性腫瘍という検査結果が出た。冊子には5年生存率は50~65%とあった。

 病院の帰り道は、「腫瘍に食われるから食事を摂らない」と阿呆な宣言をしたり(急な食事制限をしても、既存の体組織が腫瘍の餌になってやせ細って亡くなるか、体力を落として治療に耐えられなくなるかだ)「お前は癌じゃなくて良かったな」と言いつつ恨めしそうな顔で彼女を見ていた彼に心底腹が立った時間だったらしい。


 クリスマスも正月準備も吹き飛んだ数週間は、ほぼ傍観者だった私から見ても目まぐるしい時間だった。

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