暗号
架空の話なので、真似しないように
舞は、思った。
どうみても快くんは、18歳以下の学生で未成年である。
大人が親の同意なしに未成年の子と付き合うのは、未成年保護法違反で捕まるのである。
舞は、恩返しに 自分がロリコン唯を犯罪から救わないといけないと決心した。
未成年は純粋だ。
でも純粋だから 価値があるみたいなのには、賛成できない。
もしそうなら
いろんな経験をして 成長すると 価値がない存在になるということになる。
そんなことはないはずだ。
いろんな経験や失敗をして 人は成長して、人生をうまく生きられるようになる。
そういう意味では 純粋ではなく 複雑になるほど 価値があがると言える
と
舞は思った。
でも
未成年は、純粋である。
いろいろな可能性があるという意味では価値があるかもしれない。
それに
純粋だからこそ、失敗も多ければ、だまされやすいし、傷つきやすい。
だから
舞は、未成年も自分が守らないといけないという使命感もある。
それで舞は、ほかの友達と2,3日旅行に行く間。
唯の携帯を ナンバーロック式の金庫に 隠した。
舞 「それじゃ、行ってくるね」
唯 「うん、楽しんできて」
いるとうざい舞も いなくなると寂しいと 唯は思った。
だけど
さっきから、携帯が見つからないのである。
ピピピピピ ピピピピピ
どこからか携帯の着信音が聞こえるけど。
見つからないのである。
仕事の電話かもしれないのに
あせる唯だった。
舞に聞きたいけど。
携帯電話がないし、本当に どこいったのだろう?
あせる唯だったが
テーブルの上に 書置きをみつけたのである。
{携帯は、金庫で保管しています。 舞}
あの馬鹿、なんでこんなことしたんだと。
唯は、怒りに震えるのだった。
でも安心した唯だった。
携帯の場所はわかったので、
後は、金庫をあけるだけである。
金庫の番号は、いつも忘れないように
パソコンに 保管しているのを 唯は知っていたのである。
まず舞のパソコンにログインしないといけない。
そのためには、舞の指紋を採取しないといけない。
チークブラシで、舞のコップに片栗粉をつける。
そうすると指紋が浮き上がってくるので、
その指紋をセロハンテープで取って、消しゴムで型を取る。
スパイも顔負けの器用さである。
できた偽造指紋で
パソコンの指紋認証をパスすると
さっそく
金庫の暗証番号と書かれたテキストファイルを見る。
そしたら、
{ゆいのすけへ}
と書いてある。
番号ではなく、どうやら暗号で暗証番号を保管しているらしい。
ドジッコ舞のくせに 用心深いところもあるようである。
ゆいのすけへ
この暗号を解かないと金庫があけられないのである。
でも
日ごろ 探偵もやっている唯である。
すぐに
暗号解読に取り組みはじめた。
ゆいのすけへ
ひらがなで書いているので、
たぶん
ひらがなの 50音順に関係あると
すぐに
唯は ひらめいたのである。
唯 「あ が11、 い が12、だから、」
唯 「ゆいのすけへ は、83 12 55 33 24 64」
簡単、簡単と唯は思った。
だけど、番号を入力しても 金庫はあかない。
唯 「くそっ」
舞のやつなかなか、しぶとい。
それで思い出したのが いろは歌である。
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす (中学教科書)
い から順番に番号をふっていくと。
唯 「ゆは、39。いは、1。のは、26。すは、47。けは、31。へは、6。」
唯 「ゆいのすけへ は、3912647316と」
さっそく
金庫に番号を入力すると 金庫は見事に開いたのである。
唯は、自分で自分を好きだ と心の中でつぶやいた。
行動学的にも理にかなった行動である。
人は 笑顔をつくると気持ちが明るくなるらしい。
つまり、行動が感情を誘発しているのである。
だから、心の中で 自分を好きだと唱えると
自分をだんだん好きになるのである。
応用方法は、いくらでもある。
自分は幸せであると 心の中で唱えると幸せにな気持ちになれるし、
自分はやさしい と 心の中で唱えるとやさしい気持ちになれるのである。
携帯を確認すると どうやら仕事の電話だったようである。
急いで折り返し電話をする唯だった。
唯 「もしもし」
ゴン 「はい、唯か、どうして電話にでなかったんだ?」
唯 「ごめん。ちょっとした事情があって、さっきの電話は、仕事?」
ゴン 「そうだけど。もう他のやつに回してしまったよ」
唯 「そう、今度、何か仕事があったらよろしく。」
ゴン 「わかった。それじゃ」
唯 「それじゃ」
プープープー。
唯 「ちぇ」
舞のいたずらのせいで 仕事がもらえなかったぜ
と舌打ちをする 唯である。
3日後、舞が日に焼けた 呑気な顔で帰ってきたのである。
舞 「お土産買って来たよ」
唯 「ありがとう」
さっそく携帯のことを問い詰める唯である。
三日間、そのせいで、眠ることができなくて イライラしていた唯だった。
唯 「どうして 携帯を隠したの?」
舞 「まぁまぁ、お ち つ い て」
舞 「いつかきっと、私に感謝するから」
唯 「何が感謝だよ。ちゃんと説明して」
舞 「わかった。お節介かもしれないけれど。快くんは未成年でしょ。」
唯 「そうだけど。」
舞 「未成年と付き合うのは、違法なんだよ」
唯 「そんなことは知っているよ」
舞 「だから、私が快くんと別れる手伝いをしてあげたんだよ」
唯 「もう別れたのに。というか、初めから付き合ってもいないし」
舞 「え、嘘。わかれたの?」
唯 「だから、はじめから 付き合ってもいないって」
舞 「金庫今、開けるから」
唯 「もう開けたから」
唖然とする舞である。
どうして、金庫の番号が・・・。
どうやらパソコンも見られて、暗号がやぶられたらしい。
それに快くんと別れたというか
はじめから付き合っていなかったのは本当らしい。
唯の話によると。
唯は、怪我した動物を保護して 自然に帰してあげるようなことと
同じことを 快くんにしてあげたらしい。
快くんとの出会いは、
道でぶつかったことだけど。
いくら唯がよそ見をしていても
相手がよければ ぶつからないのに ぶつかった。
つまり、
それくらい、快くんは、そのとき、心に傷を負って、放心状態だったらしい。
だから
唯は、快くんが自殺するかもと心配だったから、
わざと転んで、快くんと知り合いになるきっかけをつくって、心の傷を癒してあげていたらしい。
でも最近、快くんは、失恋の心の傷も癒えて
新しい恋人ができたそうだ。
だから、唯は、自ら、快くんとの連絡を取るのをやめて
自由にしてあげたというのだ。
本当に
ドジッコで、早とちりの舞である。
舞は、唯のことがかっこいい大人の女性だと 少し見直したのだった。
でもはじめは下心があったのは、お見通しである。
年下男を射止める方法が書いてある本を見ていたのは事実だし。
それから、パソコンの指紋認証が唯に通用しないのがわかったので、唯が解けないような暗号で
金庫の番号を保管しないといけないと舞は思った。
舞は 唯がどこかのスパイなのでは?と本当に心配になった。
唯は、初めは下心があったけど、
本心から快くんと別れたのであった。
唯は、快くんと出会えただけで、思い出を作れただけで それだけでいいと、思ったのだった。
少年には、まだお姉さんの優しさがわからないのである。
暗号は、暗号化の方法がわかれば
どんな暗号でも解けるのである。