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去勢された未来  作者: かなえる
3/17

後悔

3つ子の恨み成人まで

茂「唯さんは 優しい お嬢さんだ」

唯「ありがとう、お爺さんも優しい 紳士だよ」


茂さんが夢にまででてきた。


金持ちだろうが、貧乏人だろうが

ノーベル賞受賞者だろうが 落ちこぼれだろうが

人それぞれ 大切に思ってくれる人がいるのは幸せなことだ


誰でも 価値がある存在なんだと 

えらい人も平民も みんなが他人を 大切に思える世の中になったら


戦争で人が死んだりしない

平和な世の中が来るのかもしれない


ふぁー

もう午前10時だけど、

いつも この時間に目が覚める 唯である。


今日も雨だ。

最近、雨が多いけど、茂さんが、いなくなって

自然も悲しんでいるのかも


どんよりした天気が、唯の気持ちとマッチして

おちつく 今日この頃である。



舞は、もうバイトに行っていないのである。



ブルブルブル

ブルブルブル


突然、依頼の電話が舞い込んできた。


唯 「ファイ、もしもし」

いけない 寝起きで、声があまりでない。


依頼人 「便利屋 唯一無二ですか?」

唯 「はい、そうですけど」

依頼人 「お願いしたいことがあるんですけど」

唯 「庭掃除から、人探しまで、金額しだいで 何でもOKですよ、人権侵害や犯罪行為はやらないですけど」

依頼人 「家の壁にらくがきをする犯人を捕まえてほしいんですけど」

唯 「わかりました。お宅に伺って詳しく話を聞くので、住所とお名前を教えてください」

依頼人 「弱音よわね 博蔵はくぞうです、住所は ○×△です」

唯 「近くですね。これから伺ってもよろしいでしょうか?」

博蔵 「あの 金額のほうはおいくらでしょうか?」

唯 「必要経費は、別で 日当6000円で お引き受けします。良心的な値段だと思いますけど」

博蔵 「はい、お願いします。お待ちしております」

唯 「わかりました。 失礼します」

博蔵 「失礼します」


ラッキー

らくがきなんて、悪ガキがやるようなことだし。

うっしっし。ほくそ笑む 唯だった。


本当に 迷惑な悪がきがいたもんだ。

でもそのおかげで、仕事が舞い込んできたので、感謝する唯である。


博蔵さんの家についた唯は

ピンポンを押したのだった。


すると突然、ドアが開き

怖い顔の年配の男性が立っていた。


唯 「どうもはじめまして先ほど電話をいただいた便利屋の唯です」


博蔵 「失礼しました。らくがきの犯人かと思いまして、防犯カメラの雰囲気と似ていたものですから」


唯 「それじゃ、犯人の映像があるんですね?」


博蔵 「はい、防犯カメラにばっちり映っています」


唯 「映像を確認させてください」


博蔵 「はい、どうぞお上がりください」



さっそく居間のテレビで、

防犯カメラの映像を確認する唯だったが

そこには

衝撃の映像が映っていたのである。



落書きをしている犯人は

どこか見覚えがある体系の人物だとおもったら

顔が映った瞬間、頭が混乱して真っ白になった唯である。


舞がどうして???


あんなにまじめで おとなしく 優しい舞が・・・・。


博蔵 「どうかなさいましたか?」


唯 「え、あ、わがんねー」


なぜか、方言でごまかそうとする唯であった。


博蔵は唯の様子が変だと気づいたようである。


唯 「あの後日、犯人を連れてまいりますので、今日のところは失礼させてもらいます」


博蔵 「犯人を知っているのですか?」


唯 「んだ。いえ、はい。もう二度と落書きはさせませんので安心してください」


博蔵 「こんなに早く解決するとは・・・。6000円でよろしかったですか?」


唯 「イエ、あの御代のほうは、よろしいです。失礼します」



あまりの恥ずかしさに逃げ帰ってきた唯である。



舞 「ただいま」

唯 「おかえり」


舞 「今日も弁当、もらってきたよ」

唯 「ありがとう」


唯 「・・・」


なかなか切り出せない唯である。


唯 「どうして、らくがきしたの?」

舞 「なんのこと?」


白を切る舞である。


唯 「防犯カメラにうつっていたんだけど」


表情がこわばる舞だった。

やっと観念したのか、うなだれる舞だった。


舞 「ごめんなさい」

唯 「どうして?」


問い詰めずにはいられない唯だった。


舞は、泣きながら事情を話してくれたのだった。



実は 弱音さんの家の長男の博菜君と舞は 小学校のころ

同じクラスになったことがあって

そのとき

二人は、給食のとき よく牛乳を残していたそうだ。


ある日

給食の後片付けのとき

欠席者もいないのに 一つ牛乳が余っているのを先生が見つけて

誰が残したのか?

クラス全員に 聞いたけど、

誰も名乗り出る人がいなかったそうだ。


その日、舞は、ちゃんと牛乳を飲んだのに

ある男子が、舞が犯人だと思います、

いつも牛乳を残しているのでと 言ったそうだ。


舞は、犯人ではないのに

犯人扱いされたけど、児童養護施設の子だからと 馬鹿にされるのも嫌なので

何もいえなかったそうだ。


それで

先生は、みんなに自分の牛乳パックを取ってといって

牛乳パックが入れられた袋から 牛乳パックを取らせたそうだ。


名前を書いていないのに

自分の牛乳パックなんてわかるはずないじゃん

とおもった舞だけど


舞はあることに気づいたそうだ。


博菜くんは牛乳パックを取ろうとしない!?


それに気づいた舞は、博菜君が犯人だとわかったそうだ。


でも博菜君の友達が牛乳パックを取ってきて、

博菜君に渡したので

結局

全員に牛乳パックがいきわたって、

犯人はわからずじまい


たぶん、先生の分の牛乳パックが犯人にわたったので

全員の分の牛乳パックがあったんだと思う。



それで

先生は、今度から牛乳を残した人が犯人だからと言ったそうだ。


そしたら

次の日から誰も牛乳を残さなくなったそうだ。


舞も博菜君も牛乳を残さなくなったらしい。


ここまでは

めでたしめでたしで

いい話なんだけど。


博菜君のせいで、犯人扱いされたあげく

疑いが晴れないままになってしまった舞は、ずっと根に持っていたようである。


大人になって

博菜君をたまたま近くで見かけて

家まで偶然知ってしまって


それで

出来心で、仕返しをしてしまったらしい。


らくがきは悪いことだけど。


博菜君は、優等生で誰にも疑われず

逆に 犯人扱いされて疑われて恥ずかしい思いをした舞に

唯は、同情したのだった。



唯と舞は、弱音さんの家に二人で謝りにいって

らくがきも二人で、消したのだった。



それだけで

気がおさまらない唯は、

弱音博菜君を待ち伏せして 一言文句を言ったのだった。


唯 「弱音博菜さんですね?」

博菜 「ハイ、そうですけど」


唯 「らくがきした 舞も悪いけど・・・。女性に恥をかかせたあんたはもっと悪い」

博菜 「何のことですか?」


唯 「いくじなし」

博菜 「・・・・」



それだけ言うと飛ぶ鳥あとを濁さずである。

そのまま 何事もなかったように

二人は

家に帰ってきた。


唯 「舞、アイス食べよ」


とっくに らくがきのことは 忘れてしまった 唯である。

こんな いてもたってもいられないような 思い出とは 早くおさらばするほうがいいのである・・・。


舞がトラウマになったら大変である。



一件落着落着



終わりよければ、すべてよし

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