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令嬢は生きるのがツライ  作者: 今谷香菜
~目を覚ましたら、そこは異世界でした~
4/85

~令嬢は考えるのがツライ~

俺が前世の記憶を取り戻して3日程過ぎた。


そんなとある日の午後。


俺と妹のシルヴィアちゃんと義兄・シオンさんは庭でお茶を飲んでいた。いわゆるティーパーティーというやつか。


茶器を見つめながらシルヴィアちゃんはうっとりとしていた。


「おねえさま。このティーカップ可愛いですわね」


「ああ、うん。花柄だね。これはイイ花柄だ」


「この刺繍入りのテーブルクロスも。ほんとうに繊細な刺繍…素敵ですわね」


シルヴィアちゃんはつつつ…とクロスの刺繍部分を指の腹で撫でた。


「ああ…うん。これはイイ刺繍だね」


「よく磨かれた銀食器も。まるで…」


「あーうん。これはイイ銀食器…」


「オリヴィア、さっきからどんどん雑になっているぞ」


義兄ことシオンさんこと――兄貴は、ずずっとお茶を飲みつつ言った。


だって茶器にもテーブルクロスにも銀食器にも全く興味が沸かない。


前世童貞の俺には世界女子共通語「kawaii」がわかりません。


シルヴィアちゃんといえば、俺のおざなりな返しに何とも思っていないのか、フルーツタルトを見て「まるで宝石箱のよう」とうっとりしてる。あなたは詩人デスカ。


ふう、と一息ついて、俺も兄貴に倣って淹れられた茶を口に含んだ瞬間――吐き出したい衝動に追われた。


おええええ


「なにこのお茶。歯磨き粉の味がするんだけど」


「ミントティーですわ、おねえさま。苦手でした?」


歯磨き粉?ときょとんとしつつシルヴィアちゃんは答えてくれた。


スースーする…

これは飲み物ではない。

香りはトイレの消臭剤みたいだ。

ミントティーがお好きな紳士・ご令嬢方には申し訳ないが、俺には飲めたもんじゃない。


「頭がすっきりしますのよ。でもお嫌いなようでしたらカモミールティーはいかが?リラックス効果がありますの」


シルヴィアちゃんは近くに置いてある別のティーポットを手に取り新しいカップにお茶を注いでくれた。


俺はそのカップから立ち上がる湯気をぼんやりと眺めていた。


リラックス効果ねぇ


出ましたよ女子の好きな言葉。


リラックスしたい時も頭をすっきりさせたいときも寝るに限ると思うのだが。


お茶に頼らずとも気軽にできるし効果も抜群だ。


ケーキにプチタルト、マカロン等々色とりどりに並べてあるスイーツの中からスコーンを手に取り、もそもそと頬張る。ていうか毎日のようにティーパーティーが開かれておりますが、これは一体何を目的として開催されているのだろう。


淹れてくれたお茶を流し込む。


うん、ミントティーよかは飲める味だ。ていうかお茶と言ったら緑茶、ほうじ茶、麦茶が恋しいのですが。


このオサレな世界観には似つかわしくないですよね。すいません。てかこの世界にあるんですかね、日本人が愛したあの味は。


プチタルトを手に取ろうとしつつ、ちらりと兄貴を見る。


兄貴はさっきからお茶しか飲んでいない。甘いものが苦手なようだ。


ストロベリーかブルーベリーか、はたまたピーチのタルト…どれにしようか。


シルヴィアちゃんが義兄のカップに新しいお茶を注いでいるのを尻目に俺は決めた。よしブルーベリータルトにしようと。


俺は兄貴と違って甘いものは大好きだ。


これは俺が今まで女子として生きてきたからってわけじゃなくて、前世の俺も甘党だったんだよなぁ。


俺はちょっと記憶を探った。


ああ、そうだ。うちの親――鈴木勇太の両親がドのつく甘党だったんだ。


コーヒーを淹れようものなら、角砂糖は15個以上ぼちゃぼちゃと入れるし、おまけに蜂蜜だってぶちゅーっと注ぎ込む。

半固形状態になった元飲み物をティースプーンでねりねりとかき混ぜ飲んでいた。

そんな親を見てさすがの俺も「それは砂糖を入れたコーヒーじゃなくて、コーヒー味の砂糖だ」とツッコミを入れていたのは忘れがたい記憶である。


おかげで家の中には白砂糖、黒砂糖、練乳、蜂蜜、メープルシロップ、グラニュー糖…ありとあらゆる糖のストックで台所が手狭になっていた。


味覚がおかしい以前によく糖尿病にならなかったよ。あの人たちは。


そんな超甘党の両親の影響を受けてか、俺――鈴木勇太も甘いものは好物だ。


だけどさぁ。


「シルヴィアちゃん、もうちょっとこう…しょっぱいものはないかな?」


さすがに毎日お茶会で甘いものを食べるのはキツイ。俺は両親と違って正常範囲内での甘党なのだ。


「しょっぱいもの…サンドイッチでも作らせましょうか?おねえさま」


「いやもっとこう…ガッツリ肉とかさ」


「…お茶会にお肉は変ですわ。おねえさま」


ティーパーティーに思い入れとこだわりのある主催者は譲ってくれない。


「でも甘いものばっかだと太っちゃいそうで」


「ダイエット中ですの、おねえさま?」


「ダイエットか、オリヴィア」


妹と義兄は驚いたようだ。ほぼ同時の反応。


まぁ確かに今世の俺は痩せている方なんだろう…胸とか。主に胸とかな。


「なんつーか、太るのは…体重が増えるのはいいんだけどさ」


「??」


ふたりとも首をかしげる。うーんとだな。


「つまり、筋肉が太る…そういった意味で太るのはいいんだよ。筋肉は脂肪より重量があるからにして筋肉をつければ自然と体重は増えるわけで。それは喜ばしいことなんだけどさぁ。甘いものを摂取しても筋肉の栄養にならないどころかちゃんとカロリー消費をしてあげないと余ったカロリーは脂肪として蓄えられてしまうんだよ。良質な筋肉をつけるには良質なタンパク質――つまり肉とかを食べるのがいいの!鶏肉とか低カロリーで高たんぱく質なんだよね!」


「ね!」と俺がふたりに同意を求めたとき、彼らの視線は明後日の方角を見ていた。


「おねえさま…筋肉なんてダイエット以上におねえさまに不要のものですわ」


「あんまムキムキになると嫁の貰い手がなくなるぞ」


「いや、でもさ…」


と、俺がさらに健全なる肉体きんにくに健全なる魂が宿る説というか、自分が掲げる筋肉に対しての持論を熱く語ろうとしたとき、メイドが向こうから駆け寄ってくるのが見えた。


「シオン様、オリヴィア様、シルヴィア様!」


「ルリ、どうした」


兄貴にルリと呼ばれたメイドは、胸に手を当てて息を整えつつニコリと笑った。


「旦那様と奥様から連絡がありまして。近々お戻りになる予定だそうです」


そう言って兄貴に両親からの文を手渡す。


兄貴はそれをガサっと広げた。俺とシルヴィアちゃんも覗き込んだ文には一言、「すぐ帰る。土産置き場の確保よろしく」と書かれていた。


シルヴィアちゃんはそれを見て嬉しそうに跳ねた。


「まぁ!今回は随分長いご旅行でしたけど。やっとお帰りになられるんですのね!」


兄貴はそんなシルヴィアちゃんの頭を「よかったな」と言って撫でる。


ふたりとも両親に会えるのが嬉しいのだろう。そんなこと当たり前だ。


当たり前…なはずなんだけど。一方の俺…俺は――


「おねえさま、どうしましたの?」


シルヴィアちゃんに声を掛けられて、はっとした。


慌ててさっき一瞬だけ頭に浮かんだ考えを打ち消そうとした。


「な、なんでもないよ」


「だが顔色が悪いぞ?具合でも悪いのか?」


そう言って兄貴も心配そうに俺の顔を覗き込む。


ああ何だか罪悪感が。


「そ、そう?じゃあ外の風で冷えたんだな。俺、今日はもう部屋に戻るよ」


なんとなくバツが悪くて俺は早口でまくしたてた。


両親の帰宅を喜んでいる二人の顔を見れない。早足でその場を去った。


だって俺は――両親に会いたくないんだ。



******



ぼすん、と自室の天蓋付きベッドに身を投げる。


ベッド脇に視線を逸らすと、どっかの民族のものだろうか。不気味なお面と目が合った。


白とピンクを基調とした乙女メルヘンな空間には、木彫りの像やら不気味なお面やらがそこかしこに置かれている。この部屋にあんまり――というか全然マッチしていない浮きまくりのインテリアは両親が旅先で爆買いしたお土産の類だろう。


そう両親――オリヴィア・アーレンの。今の俺の両親だ。


今世の両親のことを俺はあえて思い出さないようにしていた。


オリヴィア・アーレンの記憶の箱を開けないよう、考えないようにしていたのだ。


俺はまだ、今世の両親を親と認めることができなかったのだ。鈴木勇太の気持ちが強すぎて。


オリヴィア・アーレンの両親を親として想い慕ってしまったら、前世の両親に何だか申し訳なくて。彼らへの気持ちが薄らいでしまうんじゃないかって変な心配もあった。


でもそんなの現実逃避だ――現実、そう今の現実の俺はオリヴィア・アーレンだ。


彼女の親こそ自分の親なんだってことも頭では理解できているし、前世の親に遠慮することも間違いだ。


でも一番の間違いは鈴木勇太おれがここにることなんだ――


はは、と俺は自嘲する。俺の存在が一番の間違いだって?そうだな、でも仕方がないじゃないか。


ああ、だめだ。


このままじゃどんどんマイナスのことを考えて、良くない方向へ至ってしまう気がする…。


よし、寝よう!うん。


何だか考えすぎて疲れたし。


考えても答えが出ないときは寝るに限る。


それこそ現実逃避ってやつなんだけど。でも前世の俺も嫌な事やうまくいかないことは後回しにする傾向があったなぁ。

前世から自分の(間違った)信念を曲げない男・俺。ブレない男・俺。なんてイケメン。


まあ前世から成長していないって言われればそれまでなんですけどね。



俺は目を閉じた。


現実と夢の間をふわふわと漂う感覚の中で、声を聞いた。


――やっと届いた、と。



*****




俺は真っ白な空間にいた。


んーこれは夢ってやつですね、わかります。


ぽつんと佇んでいると、向こうから女性らしき影がこちらに歩いてくるのが見えた。


んー?


彼女は俺の前に立つと、ボリュームたっぷりのドレスの裾をちょんとつまみ、優雅にお辞儀をした。


「オリヴィア・アーレン…さん?」


「ごきげんよう、もうひとりのわたし。でも自分にさん付けはおかしいんじゃないかしら?」


彼女ははしばみ色の瞳を細めて笑う。なんとなく猫を思わせる笑い方だ。


どこからどう見てもオリヴィア・アーレンだ。この3日間見慣れた自分の姿をまじまじと俺は見つめた。


うーん、なるほど。これは…


「やっぱり美人だな…」


おっと。考えるだけにしようとしたのだが思わず声に出していた。


「今度は自画自賛ですの?とんだナルシストですわねぇ」


彼女は口元に手を当ててケタケタ笑いながら言った。


「立ち話もなんでしょうから、座ってお茶でも飲みましょう?わたし、あなたとずっとお話したかったのよ」


彼女が言い終わると同時に、何もない空間から丸テーブルと椅子が2脚生まれた。




****


俺はオリヴィア・アーレンから熱い紅茶が入ったカップを受け取った。


前世の俺でも飲み慣れていたような味の紅茶だ。ダージリンとかアッサムとか種類は分からないけど。多分そこらへんの類のものだ。


シルヴィアちゃんが淹れてくれるようなハーブティーとかじゃない。


カップに口をつけながらオリヴィア・アーレンは上目遣いに俺を見た。


「ミントティーはね、わたしも苦手なのよ。それなのにシルヴィ―ったらすぐに忘れてしまうのよ」


「そうなんですか」


「そうなの。シー兄さまが甘いもの苦手なのもすぐ忘れてしまうの。それでお茶会の時は自分の好きなお茶と、甘いお菓子ばっかり出すんだから。だからシー兄さまは毎回困ってしまうのよ」


それははた迷惑な幹事だな…。


困り顔…というか茶ばっかおかわりしていた兄貴を思い出す。


そんな苦行パーティなのに義妹に誘われれば毎回参加してくれる兄貴は男前である。


「ほんと都合の良いオツムよね」とぼやいているオリヴィア・アーレンだったが、その妹への悪態には何の毒も悪意も含まれていない。ただ自分の家族を愛する彼女の姿がそこにあるだけだ。


俺はぐっと歯を食いしばる。


「俺に…話したいことってなんですか?」


なんとなく、分かっていた気がするんだけど。


その時オリヴィア・アーレンはカチャリとカップをソーサーに置く。


そっと俺に近づき、耳元で囁いた。



「身体を返してちょうだい――って言ったら?」



――あなたどうする?




*****




彼女のはしばみ色の瞳には、同じ姿をした俺が映っていた。


俺は頭の隅で「やっぱりな」と思うと同時に、また違う頭のどっか隅っこではオリヴィア・アーレンがここにいるのに、俺も同じ彼女の姿なのは不思議だと感じていた。


うーん、俺もオリヴィア・アーレンなんだよな?今。


「…なにしているの?」


はっとした。自分の手はいつのまにか――ささやかな存在感を放つふたつのふくらみを揉んでいた。


マジで何してんだ俺。


「いや、なんというか。自分の存在を確かめたくて?」


相変わらず引っ込み思案なおっぱいですが、確かにそこにいました。


「…エッチ」


オリヴィア・アーレンは冷たい目で俺を見ていた。当たり前だ。何で俺の存在意義胸になってんの。

胸が本体じゃないっつーの。


俺はその視線を避けるようにおもむろにティーポットに手を伸ばした。


トポトポ…と俺は自分のお茶のおかわりを淹れた。はい、なんかもうその場の空気を紛らわす為です。


ごほん、と咳をひとつ。


「えーと、話を戻すけど…」


「さっきの話?あれは冗談よ」


えぇー…なんという令嬢ジョーク。レイジョーク?うん、どうでもいいわ。


「ていうかその冗談まったく笑えないんですけど」


「そうかしら?でも身体を返すというのもおかしな話よ。私たちはひとつなんだから」


「ひ、ひとつ…」


なんだかいかがわしい。


まじめな話のはずなのに前世童貞の思考はすぐに下ネタ方向に走る。中学生か!


俺の思考がわかるのか、オリヴィア・アーレンはあきれ顔だ。


「あのね、あなたは私と人格を分けて考えようとしているけど。それがそもそもの間違いよ」


「といわれても。『鈴木勇太として生きた俺』と、『オリヴィア・アーレンとして生きてきたあんた』と、考え方――人格?自我?は全然違うだろ」


「そうね。でも『鈴木勇太の前世を思い出したオリヴィア・アーレン』と『オリヴィア・アーレンとして生きてきたことを知っている鈴木勇太』はもう同じものじゃないかしら?」


「そ、それは…」


なんだその言葉遊びは。


自分は――自分の気持ちや行動は、自我は『鈴木勇太』だと思っている。


でも、そうだ。もう純粋な『鈴木勇太』なんて存在しない。俺はオリヴィア・アーレンだっていう自覚も確かにあるんだ。


「そうよ。私たちはオリヴィア・アーレンなの。今の私たちの魂に記号をつけるとしたらね」


「そんなの。もうとっくに知っている」


「いいえ、あなたはまだ区別しようとしているわ。『オリヴィア・アーレン』と『鈴木勇太』を」


オリヴィア・アーレンは立ち上がり、俺を背後から抱きしめた。


「やっと声が届いたの。何度も呼びかけていたのに」


「そう…なのか。なんかごめん」


全然聞こえませんでした。


「きっとあなたは無意識に私を閉じ込めて、声をシャットアウトしていたのよ。別人格だと思い込むことで『鈴木勇太』を生かすために。」


「生かす…」


俺ははからずもどきまぎしつつオウム返した。

自分に抱き着かれているだけなんだけど。これが童貞人格の名残ですね。はい。


「自分との対話、なんてうまく例えたものね。私たちまさに今その状態だわ」


「そうだな…」


確かに。なかなかシュールな絵面ですが。


オリヴィア・アーレンは俺にしがみつく腕の力を強めた。


「私はあなたを殺さないわ。だから――あなたも私を殺さないで」


思わずその言葉の不穏さにぎょっとする。


「殺しなんてしないよ!?」


「うん…。さっきから言っているけど、本当なら私たち、ひとつになるべきなのよ。『鈴木勇太』が混じったオリヴィア・アーレンとして。別々の人格になるべきじゃないわ」


「うん…だけど…」


彼女の言っていることは正しい。


二重人格なんてどこのラノベですかという話ですよ。


だけど俺はまだ…『鈴木勇太』としての人格がしっかり残っている俺は…。


「わかってる。まだ怖いのね?だったら待ってあげる。ゆっくりと時間をかけて融合し私たちはひとつになりましょう。何も心配しないで。あなたが消えるわけじゃないのよ」


女の方がいざという時に肝が据わっているもんだな、と俺は考えた。


いや、同じ俺なんだけどさ。彼女も。


いつのまにか俺は彼女に正面から抱きしめられていた。丸テーブルも椅子も消えていた。


「わたしたち、魂の双子状態ね。今はまだ――」


「魂の双子?」


「そうよ。本来ひとつだったたましいをシェアしているんだもの」


そうか、そうだよな。


「ゆっくりと――ひとつになるまで。よろしくな、もうひとりの俺」


「こちらこそ。よろしくね、もうひとりの私」


彼女はそう言って俺の中に入り込むように溶けて消えていった。


胸がじんわりと温まるような不思議な感覚だ。


ふっと目を開けると、そこには懐かしい人物が立っていた。


見覚えのある、過去の俺。――鈴木勇太の姿をした男性だ。


「久しぶりだな、その姿を見るの」


鈴木勇太の顔をした彼は笑って、俺を抱きしめた。


「両親のことは俺の遠い過去の出来事。今のおまえが傷つくことはないんだ」と。


俺はそうだな、と言って彼にしがみついた。そんなのは分かっているさ。


彼女がいなかったあんたは、死ぬ直前まで想っていたのは両親とねえちゃんのことだけだったな。


なんて清い人生だったのだろう。我ながら別の意味で泣ける。


彼は俺の髪を撫でながら俺の中にすっと溶けて消えていく。


消えていく瞬間、


「さあ、おまえの家族が呼んでいる」と彼は囁いた。


その彼の囁きと――現実世界の声に意識が引っ張られたのはほぼ同時だった。



ハーブティーが好きな方々すいません。*特にミントティー

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