選択
逃げ出そうとしたとき僕の記憶は徐々に戻り始めた
日記を読んだからなのだろうか...
僕は彼女に恋をした
彼女は皆のために行動する責任感の強い人だった。男が嫌いという点を除いては完ぺきだったと思う
ただ、僕は遠くから見ていることしか出来なかった
そんな時に僕にチャンスが訪れたんだ
それは彼女が落し物をした事だった
やった!
と思った自分を最低だと思った
でもこれで話すキッカケが出来たんだと
僕は浮かれて、最低だと思ったことをすぐ忘れた
彼女は僕を罵倒した
彼女が男嫌いなのを知っていたから
僕は傷つかなかった
むしろ可愛かった
渡し終えたとき笑顔で渡せただろうか
早口になってしまっただろうか
不快な思いをさせなかっただろうか
優しく接する事が出来ただろうか
色々悩んでいた
これが恋愛なんだ
心が張り裂けてしまいそうだ
次の日彼女がお礼を言ってくれた
嬉しかった
僕はその日から彼女と話すようになった
おはよう、じゃあね
挨拶もするようになった
ありがとう、ごめんね
お礼も謝るのも出来る
おやすみなさい
とメール出来るようにもなった
そして僕は「愛」に告白した
返事は僕にとって最高のものだった
そうだ...僕から告白したんだ
何故、愛がこんな事になったんだ
思い出せない
とりあえずこの部屋から出てみよう
ここは...居間か...キッチンもある
扉を開けると大きなテーブルとイスが置いてある
普通の居間だった
テーブルの上には食器やコップが二人分向かい合わせで並んでいた
誰かが食事の用意をしているかのように...
愛と食事をしていた時のことを思い出した
前の彼氏のことだった
大好きだった
愛していた
結婚も...出来るんじゃないかって考えるほどに...
僕は聞けば聞くほど心が張り裂けてしまいそうだった
でも、二人は別れた
その彼氏に
「お前の気持ちは重すぎる」
そう言われたらしい
愛は酷く落ち込み、しばらく学校すら休んでいたらしい
そして...気分を落ち着かせるために
たまたま外に出た日...彼氏が他の女の子と
一緒に歩いているのを見てしまった
別れた後からなのか、別れる前だから付き合っていたのはわからなかったが...
愛は...男性を嫌った
いや
男性を愛することを避け始めた
もう裏切られたくないから...
居間を真っ直ぐに進み、もう一つのドアを開けると
そこには希望かのように太陽の光が差し込んでいる玄関があった
僕は「途中にあった脱衣所への扉」
には目もくれず玄関に向かう
そうだ思い出した...あの別れ話を...
「どうして?どうしてそんなことを言うの!君が...君がいないと...生きていけないよ。お願いだから...置いていかないで...・・・」
そうだ...僕は...
全てを思い出した
思い出したからこそ
僕は...
玄関の扉を...
次回はパラレルワールドとなります
扉を開けたストーリー
扉を開けないストーリーに別れます
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このまま進みますと開けた方に話が続きます