風紀委員
少しいつもより長くなりました。
グダグタですみません(><)
朱「全員いるわね?」
昼休み、俺達は図書館に集まりミーティングを始めようとしていた。
初めて参加する水城は緊張しているようだ。
そわそわしている。
朱「じゃ、まず藤原君。 朝に話した話覚えてる?」
藤「え〜と、風紀委員がどうのこうの……だっけ?」
朱「そうよ。 私達は今、風紀委員に目をつけられている。 そこで打開策を考えたわ」
そう言うと朱鷺戸は一冊の青いノートを広げた。
ノートには数学の問題らしき計算式と、ある人物の情報が書かれていた。
朱「それじゃあ、まず……」
立「結ちゃん……。 授業受けずにこんなことしてたの?」
水「うわー。 ないわ……。」
朱「いや、だって……」
水「授業サボるとか、Aクラスなのにやっちゃダメだろ……」
立「しかも、堂々と計算式の横に……」
朱「はいはい!! 私が悪かったです!! すみませんでしたー!!」
藤「まぁ朱鷺戸も頑張って情報集めてくれたわけだし、そろそろ許してやれよ」
朱「(ごほん)。 話を戻すわ。 まずは風紀委員会の仕組みについて説明するわね。 風紀委員会では各学年にリーダーがいて、各学年で起こった問題はその学年のリーダーを中心に解決する。 という方針を取っているの。 で、私達の学年の今年の風紀委員のリーダーは1年A組、小野寺 彩夏っていう人らしいわ」
立「!! 結ちゃん! それ本当?!」
立上が驚きの声を上げた。
朱「え? ええ……そうだけど……。 何か心当たりでもあるの?」
立「うん! 私、彩夏と友達なの」
朱鷺戸に説明する立上はどこか嬉しそうだ。
朱「へー! 初めて知ったわ。 いつから友達なの?」
立「あれは……」
◆◆◆
それは、まだ立上が王陵中学校へ入ったばかりだった。
友達が話すテレビやファッションのことも何一つ知らなかった立上は、その頃からクラスで浮いた存在になっていた。
毎日机に向かって本を読む日々が続いていた。
そんなある日、立上に興味があったのか誰かが話しかけてきた。
?『あ、あの……何の本読んでるの?』
目を上げると黒い髪のショートヘアで白いカチューシャを着けた子が立っていた。
声の印象からおとなしい性格だなと思った。
本にはブックカバーが着いていたのでタイトルが見えなかったらしい。
立『え、え〜と。 「学園都市」っていう本なんだけど……』
?『えっ! もしかして今人気のあの小説?! いいなぁ……。 わ、私も欲しかったんだけど売り切れ……だったんだ……』
立『あの……もし、読み終わったら貸そうか?』
?『え!? 本当にいいの?! じゃあ読み終わったら貸りていい?』
立『うん、いいよ! そういえば名前は? 私は立上 佳奈多』
小『ありがとう! 私は小野寺 彩夏』
立『彩夏ちゃんだね。 よろしくね』
小『う、うん! よろしく……』
これが2人の出会いだった。
立「……あの頃は本当に友達がいなかったから彩夏はとても大切な友達なんだ。 彩夏はとても静かで何をやるにも消極的な子だったんだけどね……」
朱「消極的だったってことは今は違うの?」
立「彩夏はね、中学3年の時にたまたま柄の悪い先輩に絡まれちゃって、カツアゲされそうになってたの……」
◆◆◆
小「私、今日お弁当持ってきてないから食堂でパン買ってくるね」
立「うん。 わかった。 じゃあ私もついていくよ」
食堂で目的のパンを買い、教室に戻ろうとした。
ドン!
小「キャッ」
見ると柄が悪そうな男子生徒と彩夏がぶつかっていた。
男子生徒はグループで来ていて、5、6人でまとまっていた。
「おい! てめえ何すんだよ」
小「す、すみません!」
「すみませんで済むと思ってんのか? 慰謝料出せよ! 慰謝料!」
小「えっ、でも……」
彩夏はグループに囲まれていた。
今にも泣き出しそうな彩夏を助けようと、私も文句を言おうとしたが、横から声がした。
立「ちょっと……「貴方達! 何してるの?」」
見ると眼鏡をかけた女の上級生が立っていた。
「あ〜ん? んだよ、てめえ」
「王陵高校風紀委員の清水です。 今すぐその女の子から離れて撤退しなさい」
清水という人は「風紀委員会」と書かれた腕章を見せながら不良に言った。
「あっちが勝手にぶつかってきたんだ。 俺に悪気はねぇぜ」
「では、慰謝料を請求する必要はないと思いますが」
「はっ! さっきぶつかられてあばら骨が何本か折れちまってよ……」
「その割りには元気そうですが」
「んだと!!」
不良は風紀委員に殴りかかろうとした。
が、風紀委員は身動きひとつしない。
当たる!と思った瞬間。
「がはっ!」
不良の腹には木刀がめり込んでいた。
「!! 姉……御……」
不良は地面に倒れた。
不良に姉御と呼ばれた学ランを煽り、髪の毛を後ろで束ね、木刀を持った女子生徒は、地面に倒れた不良を上から睨み付けていた。
「!! 貴女は!!」
風紀委員が驚きの声を上げたが耳に届かなかったらしい。
女子生徒は静かだが、威圧感がある声で地面に倒れた不良に言った。
「1人の女の子を寄ってたかりやがって……おまけにあばらが折れたと抜かしやがる。 どうだい? 本当に(・・・)あばらが折れた気分は?」
次に女子生徒は残った不良に向かってドスの利いた声で言った。
「おい!! てめえらもこうなりたいか?!」
残った不良達に問いかける。
「「「「「す、すみませんでした!! 姉御!!」」」」」
不良達は頭を下げ、こちらにも謝罪してきた。
おそらく、姉御と呼ばれたこの人は不良達のリーダーなのだろう。
凄い人だなぁと思っていると彩夏の方にやってきてこう言った。
「さっきは、うちの者が失礼したな。 でもよ、あんたももっとしっかりしな。 ……次はないよ」
小「は、はい!」
そう言うと女子生徒は食堂から出ていった。
後で聞いた話だが、この人は鬼山というヤクザの娘らしい。
風紀委員からも目がつけられていて、風紀委員のブラックリストに名前が刻まれたほどの人物だそうだ。
その事件から彩夏に変化が起こり始めた……。
朱「それから何事にも強気に出るようになったというわけね……」
立「うん。 髪型も鬼山さんみたいに伸ばして後ろで結ぶようになったし……でも不良にはなれないから風紀委員会に入ったって言ってた。 彩夏みたいに弱い人を助けたいんだって」
朱「それでか……」
朱鷺戸が頭を抱える。
立「? どうしたの?」
朱「前に……いや、何でもない。 それより水城君、例の物出来た?」
水「待ってました! 立上の話長くて、いつ終わるのかと思ってたぜ」
立上はムッと頬を膨らませた。
朱「私が水城君に頼んだ物は……」
水「発信機さ」
朱鷺戸の言葉を遮るように水城が言いながら出した物は……。
藤「キーホルダー?」
猫の形をした可愛らしいキーホルダーだった。
水「そう見えるけど、中にちゃんと発信機が付いてる」
藤「なんでキーホルダーなんだよ?」
水「これでも色々考えたんだよ! 消しゴムの中に埋め込むとかペンみたいにするとか……でもどっちも使われたらばれるからキーホルダーになったってわけ」
藤「なるほど、キーホルダーなら鞄とかに付けてもらえるな」
朱「まぁ付けてもらえるかどうか分からないけどね……。 さて、本題に入るわ。 今回のミッションは小野寺 彩夏に発信機を付けることよ」
藤「付けて意味あるのか?」
朱「私達の脅威である風紀委員はリーダー、小野寺 彩夏を中心に活動するはず。 つまりリーダーの行動パターンが分かれば、こちらは有利に動けるってことよ!」
朱「では、作戦内容を言うわ。 ターゲット小野寺 彩夏は授業が終わったら一旦女子寮に戻り、そこから近所にあるショッピングモールに行く予定よ」
藤「どこからそういう情報調べてくるんだよ」
朱「たまたま小野寺さんが教室で話してたのを聞いたのよ。 で、発信機を付けるために尾行するんだけど最終的に誰が発信機を付けるか考えてないのよね……」
立「じゃあ、結と藤原君が良いよ! ほらカップルならショッピングモールにいてもおかしくないし!」
朱「佳奈多〜。 あんたね〜」
水「いや、全然OKだと思うぞ。 むしろお似合いだしな」
朱・藤「えっ……///」
立「じゃあ決まりだね! じゃあ任務頑張ってください! お二人さん!!」
朱「えっ?! ち、ちょっと待ってよ!」
立「えっ? もしかして結、嫌なの?」
朱「い、嫌ってわけじゃない……けど……」
完璧に立上のペースに乗せられた朱鷺戸は頬を赤くして下を向いている。
立「じゃあ、さっさと説明してよ♪」
下を向いていた朱鷺戸だが、リーダーという立場からか気持ちの切り替えが早かった。
朱「……わかったわよ。 じゃあ私と藤原君でチャンスを狙って尾行するから、佳奈多と水城君は何かあった時にサポートして」
水「えっ?! 俺も行くの? オペレーターなのに」
朱「じゃあオペレーター側に回って何かすることあるの?」
水「…………無いな」
朱「じゃあ、授業が終わってから私がメールするから、そのメールが来たら女子寮前に集合ね」
藤「わかった」
立「了解」
水「OK」
それからその場は解散となったが……。
朱「藤原君」
朱鷺戸が急に俺を呼び止めた。
読んでくれてありがとうございます!
友達からアクセス数が少ないとか言われますが、僕は少数でも読んでくれる人がいるだけで満足です。(^-^)
これからもよろしくお願いします。m(__)m




