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出会い

また訂正しました。

 俺が高校生になって1ヶ月が過ぎた。クラスメイトの名前と顔も大体把握した。この学校の仕組みも…。 おれがこの春進学した進学校、私立王陵高校では一学期の最初にある振り分け試験と期末試験ごとに成績順でA B C D Eとランクが付けられ、成績順にクラスが分けられる。大きな行事以外の全ての授業はそのクラスごとに受けなければならない。振り分け試験の時に見事に熱がでて学校を休んだ俺、藤原ふじわら 和也かずやは総合点数0点で学年最下位。だからか自然と階級制度が出来ていき、最近では成績下位者に対する成績上位者からの嫌がらせも起き続けている。部活内でも同じ現象が起こるため俺は部活に入っていない。さらに成績上位者に対する反抗は出来ないといった先輩から代々伝わる掟があるらしい。そんなふざけた掟のせいで誰も止めに入れないし、入っても止められない。俺も何度か止めに入ったが大抵リンチにあい、止めることは出来なかった。


「止めてよ!」


 昼休みの食堂に声が響き渡る。見ると少女が他の女子生徒にバッグをあさられていた。黒い髪のショートカットに茶色の瞳の少女はEクラスの立上たちがみ 佳奈多かなただ。だがクラスの連中は見向きもしない。というよりいつものことなので興味がないといった感じだ。

 女子生徒が立上のバッグから財布を取り出した。


「止めてって言ってるでしょ!」


「えっ?なに?あんたに逆らえる権利あるのー?」


女子生徒が少女を睨み付ける。


「もう…止めてよ…」


少女は今にも泣きそうだ。

「はっ!成績がEのやつに…」


「止めろって言ってるだろ…」


静かにそう言ったあと、女子生徒の背後には金髪のロングヘアーの女子生徒が立っていた。灰色の瞳は相手を威嚇するかのように睨み付けていた。


「えっなに?私に逆らえる権利がある…の…」


女子生徒はその生徒を見るとともに声がしぼんでしまった。


「あんた。よくそんな事が言えるわね」


「朱鷺戸…結…(ときど ゆい)」


「くっ!」


女子生徒は朱鷺戸を睨み付け、食堂を出て行った。


「大丈夫?財布の中身とか取られてない?」


朱鷺戸は立上に問いかけた。


「はい。大丈夫です。ありがとうございます!」


「うん。良かった。さてと…」


不意に目が合った。そしてこっちにやって来て俺を睨み付けながら言った。


「ちょっとあなた。どうしてこんなに可愛い子が嫌がらせを受けているのに止めに入らなかったの?」


「…ああ」


「ああ、じゃないでしょ。それともなにこの子を助けてあげようとは思わなかったの?」


「俺だって助けたいとは思ったよ。だけど無理だろ…。こんなEクラスの人間が出ていったところで馬鹿にされて終わりに決まってる。俺なんか行ったって無駄なんだよ」


「でも分からないじゃない。もしかしたら止めることも出来るかもよ」


「無理だよ…」


「そんなのやってみなくちゃ分からないじゃない」


「やったさ…五回も止めに入ったよ。だけど…一つも止められやしなかった。だから…無理なんだよ」


「そう…」


朱鷺戸の目はもう俺を睨み付けてはいなかった。


「いいわ。じゃあ放課後にAクラスに来て。じゃあね」


そう言って朱鷺戸は食堂から出ていった。

 


「よっ!災難だったな。かずやん」


サングラスを掛けながらそう言ってきたのは俺のクラスメイトの水城 みずき こうだ。こいつはあり得ないバカ。と言いたいところだが、精密な機械を作るのが得意らしく、前にも耳サイズのトランシーバーを作ったとかいって自慢してきた。が、しかしそれしか出来ないので実技ではないペーパーテストは全く出来ずEクラスにいるというわけだ。


「何が?」


「何がって朱鷺戸に注意されたことだよ。ほら、あいつっていちいちうるさいじゃん。この前も掃除さぼってたらさ…」


そんな途方もない話を続けながら俺は、なぜあいつが放課後に来てほしいと言ったのかを考えていた。


「…そういえば、かずやん。お前、朱鷺戸から放課後に呼び出されてるだろ。しかもAクラス。もしかしてデートのお誘いですか?」


「んなわけないだろ!」


俺は水城の頭をポカリと殴り、Eクラスへ入った。

 放課後の学校は静かだ。大抵の学生は部活動を行うかチャイムと同時に帰宅するかのどちらかで、教室に残って話している者などいない。変な噂もたたないだろう。だから俺は安心してAクラスに入ることが出来た。

ガラガラ

ドアを開けると同時に涼しい春の風が吹いてきた。


「ふぅ。来たわね。藤原 和也!」


机に座り、足をぶらぶらさせてやけにハイテンションで言ってきたのは朱鷺戸だ。

見ると朱鷺戸の横にもう一人立っている。昼休みの食堂で嫌がらせを受けていた立上 佳奈多だ。


「さっき立上さんには話したんだけれど、あなた私達と一緒にスパイやってみない?」


………。

はぁ、なんであんなに真剣に考えてたんだ…俺。


「あの…突然過ぎて話が見えない。もうちょい具体的に言ってくれ。あと、なんで俺の名前知ってるんだ?」


「あなたの名前は立上さんから聞いたわ。基本的な活動内容は他のA B C D Eそれぞれのクラスの情報収集、及び偵察ね。目的は嫌がらせをするバカな連中の動きを止めさせる事よ。あなたも連中をどうにかしたいと思ってるでしょ。もっと簡単に言うわ。私達の活動は強者から弱者を守ることよ。一回でもいいからやってみない?結構、本格的よ」


「でもお前のメリットはなんだ?」


「依頼人からの報酬」


「えっ?金とか貰うのか?」


「報酬の内容はそのミッションによって違うわ。で、どう?やってみない?」


確かにちょっと面白そうだな。どうせEクラスだからな。ちょっとやってみるか。暇だしな…。


「わかったよ。とりあえずやってみるよ。で、何をすればいいんだ?」


「あら、意外にすんなりと行ったわね。もっと説得するつもりだったんだけど…。とりあえず、ありがとう。ミッション内容は明日の昼休みに図書館で伝えるわ。それと二人ともわかってると思うけどこの組織のことは外部にもらしてはいけないわ」


組織化してたんだ…と自分の中でツッコミをいれていた。


「じゃあ、今日は解散!二人ともありがとうね」


朱鷺戸はそう言うと教室から出ていった。俺と立上はそんなに親しくなかったので軽く挨拶して別々に帰宅した。


これからも頑張って書きますので、よろしくお願いします。

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