雨とクワズイモ
2005年、波照間島での話。
沖縄でリゾートバイトをしていた僕は、当時付き合っていた女の子と共に、波照間島でサイクリングを楽しんでいた。
まだ梅雨や台風シーズンに入る前、空は青く澄み渡る気持ちのいい天気。
レンタル自転車でサイクリングを楽しんでいた僕たちは、出発してから数分後、豪雨に見舞われた。
「うわっ、最悪! 傘も合羽も持ってないし!」
慌てた僕たちは、雨宿り場所を探そうと周囲を見回して、路肩に生えている大きな葉っぱに気づいた。
雑草だし、傘替わりにしてもいいだろうと切り取って手にしたら、手が痒くなってきた。
その葉っぱは「クワズイモ」といい、サトイモに似た大きな葉っぱをつけるけれど、食用にはならない。
むしろ食べると中毒(吐き気、嘔吐、麻痺など)を起こす有毒植物だ。
茎や葉を切ると出てくる汁液が皮膚に触れると炎症を起こすので、触ってはいけない。
当時の僕たちは知らなくて、粘り気のある汁に触れてしまった。
「痒いっ! これダメなやつだ!」
僕たちは葉っぱを投げ捨てて、シャワー全開の雨でびしょ濡れになりながら自転車を走らせた。
その雨がクワズイモの毒液を洗い流してくれたのだから、運がいいのかもしれない。
しかし、そもそも雨が降らなければ葉っぱをちぎって使うことはしなかったから、運が悪いのかもしれない。
その後もサイクリングを続けた僕たちは、波照間島1周15kmくらいの間に、豪雨でびしょ濡れになったり、照り付ける太陽に乾かされたりを3回ずつ経験した。
日本に来た外国人観光客が「この国は天気が変わりやすい」と言ってるのを聞いたことがあるけれど、沖縄は更に変化が激しい。
下手すると5分くらいの短いサイクルで、晴れたり降ったりする。
短い外出でも、雨具は携帯した方がいいと思う。




