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ノンフィクション短編集  作者: BIRD


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13/25

鹿肉ハンバーグ

 皆さんは鹿肉を食べたことはありますか?

 僕は北海道に住んでいた頃に何度か食べました。


 初めて食べたのは、酪農実習生として別海町の牧場で働いていた頃です。

 当時は酪農実習生として牧場に住み込みで働いており、朝食は親方のお母さんが作り、夕食は親方の奥さんが作ってくれていました。


 親方のお母さんの料理は、蕗と鶏肉と昆布の煮物が絶品でした。

 自家製たくあんを使った甘辛い煮物も美味しかったです。


 親方の奥さんは、調理師免許を持っていて、洋食が美味しかったです。

 その奥さんが、ハンバーグを作ってくれたときのことでした。


「それ、なんの肉か分かる?」


 柔らかくて肉汁たっぷりの美味しいハンバーグを夢中で食べている実習生たちに、奥さんが聞きました。


「えっ?」

「牛……じゃないんですか?」


 キョトンとする実習生たち。

 奥さんはイタズラっぽい笑みを浮かべています。

 一体なんの肉なのか?


「それ、鹿やで」

「「「えぇっ?!」」」


 大阪出身の奥さんは、笑いながら関西弁で言いました。

 想定外の肉に、僕を含めた実習生一同仰天です。


 最近ではジビエ料理ブームとかでメジャーになった鹿肉ですが、当時は道民以外にはあまり食べられていませんでした。

 実習生たちは全員内地で生まれ育った者だったので、鹿肉なんて食べるのは初めてです。

 もちろん僕も初めてでした。


「牛肉は牛のお産の時の匂いがするから、うちでは使わんのや」


 新入り実習生たちを驚かせて面白がった後、奥さんは鹿肉を使う事情を話してくれました。


 牛のお産は、牧場ではよく見るもの。

 後にそれに立ち会った僕たちは、仔牛が産まれ出る際に、生の牛肉と同じ匂いがするのを知りました。

 子牛が産まれ出た直後の羊水とか胎盤とかの匂いは、スーパーで買った牛肉のパックを開けたときの、あの匂いだったんです。

 何度もあの匂いを嗅いでいたら、牛肉の匂いで連想しちゃうかもしれません。

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