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モブリーナシリーズ

面接官モブリーナと夜伽係

作者: ひよこ1号
掲載日:2025/09/18

ちょっぴり説明追加しました。

はい、私モブリーナです。

眠い。

眠いのに、お父様が良い声で童話を読んでいる。

もう五話目に突入しました。


「うう……」

「ここからが良い所なのだ、聞いて?」


肩を揺さぶられて起こされる。

読んでいるのはこのザイード国の皇帝であるオスヴィン三世。

確かに、私が読んでと言いましたよ。

夜伽係にも任命いたしました、ええ。

黙らせようと思ってね。

なのに。


「お父様は、わたくしを寝かせに来たのですか、それとも寝かせないように来た悪魔ですか、どっち」

「……寝かせにきた、な」


漸く父は本来の役目に気が付いた様子。

悪いなあと思って、黙って聞いてないで早めに言えば良かった。


「しかし、偶にはこうして父娘おやこの時間を設けると言うのも良いな」

「そうですね」


眠い。


「どの話が一番好きだった?」

「もう帰って」


寝たいんだよ!私は!


そこから先の記憶はなく、朝私は目覚めました。

きっちりたっぷり寝たので、朝食の時間に間に合わず、部屋に運ばれた物を食べる。


「………」


ジャンクフードが食べたい。

ん?作れるね?

芋と油があるんだから、ポテチもフライドポテトも作れるじゃん。

まあこんなのは、転生チートでも何でもない訳で。

ファストフードの店で暴利を得るのもいいなぁ。

肉とパンと野菜だもんね。

そういや、転生物でよくマヨネーズがチート食材として使われるけど、あれって日本人的感覚だと思う。

醤油とか塩とかに慣れ親しんだ人々にとっては革命的だろうけどね。

チーズとかクリームソースに慣れ親しんでる人にとっては、そこまでじゃないと思う。

ああ、違った感じのソースね、美味しいね、みたいな。

そっちよりもお好み焼きとかのねっとりしたソースの方が、インパクト強そうな気がする。

とか考えたら粉ものが食べたくなってきたんだけどー!

取り敢えず、急ぎの用事が終わってからじゃないと。


今日も面接を行うんだけど、その前に。

馬車の改造がどうなっているか、工房に見に行かなきゃ。



「進捗はどうですか?」

「姫様!滞りなく!会談までには何とか実装できそうですよ」

「それは素晴らしいです!さすがですね!」


私が今手掛けているのは、馬車だ。

もうね。

この世界の何が嫌って、移動に時間がかかること。

それを何とかしたい!っていうのが発端。

何か起きた時に、連絡だけは鳥とか使えばそれなりに早く届く。

けれど、そこへ向かう手段でもたついてしまう訳。

鉄道を敷くって手もあるけれど、鉄道は今敷設したくない。

何故かと言えば、まだ戦場があるから。

軍の移動速度って、そのまま戦局に影響する。

つまり、切り札として持っておきたいのだ。

使う日が来なかったとしても。


この馬車は昼間は馬車として機能するので馬が引く。

けれど夜間は簡易的な自動車となるのだ。

難しい仕組みではない。

エンジンや科学的な動力の代わりに、魔道具の核である魔鉱石とそのエネルギーを使うからだ。

御者はハンドルで操作するだけで、ブレーキやアクセルは無い。

スイッチのオンオフで、一定速度で走るというだけ。

色々な機能を組み込んで、いつかはもっと良いものを作れるのだろうけれど、それはもう職人さんのお仕事。

なので、私は難しい理論ではなくて、出来そうな機能だけでやってみる。

ちなみに夜間の走行中、お馬さんはちゃんと専用の荷馬車、厩舎の機能だけの魔導車で休憩できるから、次の日も頑張って走れるよ。

道中泊る事はないから、宿泊の必要がない分、馬車の中も部屋みたいに寝台ベッドになる物も用意してある。

生活必需品を常備したキャンピングカーだね。


今のところはこれでいいとして。

魔法が無くても魔力を利用できるのだから、いつかは長距離移動のポータルが欲しいところ。

こっちは完全に趣味だから、軍事的な利用は考えてない。

色んな国に覗き見に行きたいんだもん!!


獣人国とか竜神国の番制度とか、楽しみ過ぎる!

なのに!

遠い……果てしなく遠い。

私にとっては戦争や独立なんて些事に過ぎないのだ。

ぶっちゃけ、人が死ななくて、平民も貴族も平和に楽しく暮らせればそれでOK。

それでこそ、乙女ゲーの世界にダイブ出来るってものですよ。

だから、早く、色々整えないと、いつどこで!

婚約破棄騒動が起きるか分からない!!


少なくとも我がザイード帝国には、その様な楽しみは起きないと父が言っていた。

皇帝の認めた婚約に、皇帝へ話を通さずに突然破棄宣言をしたら反逆罪だもんね。

けれど、そこまで権力を集中させている国は、そうそうない。

平和な期間が長かったりするのと、貴族諸侯が力を付けたせいもある。

あと、法制度が機能していないとか、いい加減だったり。

帝国の様に、領地のない貴族にのみ商売を許すというような制限もなかったり。

貴族は働くべからず、というのが基本だ。

働いているのは貧乏人、という偏見と嘲りがある。

だから、商会を経営している爵位持ちは基本的に見下されるのだ。

金があったとしても。

一応、高位貴族の息のかかった商会だとか、後見となっている商会とかは、ある。

他の商会や客との軋轢を仲裁したり、他の貴族へ仲介したりなどの便宜を図ったりして、付け届けを貰うのだ。

それでも、付け届けなどは無尽蔵に届くわけじゃないし、基本的に領地持ちの収入は領地運営と税金。

仕官していれば官位に見合った俸給も、帝国から支給されてもいる。

なのに、高位貴族に商売まで許しては、力をつけすぎるので駄目だと思う。


あとは、上に立つ王が愚鈍な場合。

王子が馬鹿なのは王の所為とか言うのよく見るけど、一概にそうとは言えない。

天才の息子は天才ではないように、個人の資質と環境で左右される。

厳しく育てたら良い子に育つかと言えば、犯罪モノの海外ドラマとか見ると犯罪者になる傾向も結構高そう。

一番良いのは、愛情をきちんと与えて育てる事。

出来れば親が。

でもねー貴族って親が手ずから育てる習慣がないのよ。

だから日本人特有の「親の顔が見て見たい!」はないの。

見るとしたら乳母の顔ですね。

子育てって難しいんだよ。

私は育てたことないけどさ。

親が思うように育つかっていうと、そうでもないからね。

人間が人間を育てるんだから、出来る事って限られてる。

しかも、基本的に王族は激務だからね。

余程優秀な人材を抱えてない限り、そうそう子供に構う暇なんてない。


あら?

じゃあお父様は優秀な部下が沢山いらっしゃるのね。

しょっちゅう私を構いにきてるもの。

確かにオイオイ!爺!と思ったけどヘンベル侯爵も優秀。

ダムを作ってから、驚くほど水害が減ったと報告書を持ってやって来たもんね。

戦争の時に整備した三つの川の流域に領地を持つ領主たちからはめちゃくちゃ感謝された。

いや、感謝してくれるのは良いけど、銅像建てるのとか止めて欲しい。

ヘンベル侯爵は私と皇帝ちちの許可なく、像を建てやがった。

勿論、父は喜んださ。

視察に行くほど狂喜乱舞してた。

他の場所にも建てようというのを、必死で止めたんだよ。

恥ずかしいから、私は見に行ってない。

だって、ほんっっとうに恥ずかしいもの。



ともかく、魔導車の進捗は上々。

私は意気揚々と面接会場へ向かった。


えー次の面接相手は……。


「………」

「モブリーナ様ぁ!御機嫌よう!」


変なテンションでやってきたのは、ぼさぼさの黒髪に、目の下にクマを作った女性だ。


「うん、あの、面接終了で良いです」

「えっ、何でですか」

「さっきも魔道具開発の工房にいたじゃないですか」


そう、彼女はジビレ・エストマンという魔道具技師だ。

でもその前に侯爵令嬢でもある。

貴族子女と指定はしたけど年齢制限はかけていない。

彼女はもう二十二歳。

立派な嫁き遅れである。

元々婚約はしていたけれど、魔道具開発に目覚めてしまったが故に婚約者を妹に譲ったという経緯がある。

両家の話し合いと共に、皇帝の許可を得た上での譲渡。

そして彼女はそのまま城に住み込みで働いている。

とはいえ、貴族籍を抜けた訳では無いから、貴族子女。


「うーん、じゃあ何故応募したのか聞いても?」

「モブリーナ殿下が優秀で面白いというのもあり、大公領とか大公国で、魔道具開発の責任者になりたいからですねっ!」

「おお、意外と野心家でしたか」

ひらめき(アイデア)をくれる人、なんてそうそういないものなんですよ。その点皇女殿下は得難い人物です。私が男だったら求婚してました!」

「何っ!?ならんぞ!」

「ヒェッ」


背後から皇帝が乱入してきたので、ジビレは飛び上がって驚いた。


「あーこういう役回りで陛下もいらっしゃったんですか……」

「そうですけど、面接中に割って入ったの、今回が初めてですよ。ともかく分かりました。回答見た時点で、もう絶対に貴女だって分かりましたもん」

「えへへ、そうですかぁ。愛が深いですねぇ」


睨むな、睨むな!

女性だし、結婚する相手じゃないですから、落ち着いて父。


「愛が深いっていうか、全ての質問に魔道具でしか回答してないじゃないですか。丸わかりですよ。他の皆さんには色々とやる事指示したのですが、ジビレさんはそのまま、続投で」

「はぁい。了解致しました!」


衣装ドレスじゃなく、作業着で来るのもジビレらしいといえばらしい。

ジビレって何かジビエを思い出すな。

鹿肉食べたい。

時々食べてるけどね。

この世界はまあ、ジビエが普通みたいなものだから。

狩猟とかスポーツ扱いだもんね。

それはそうとして、今日は何か食べ物の事ばっかり考えてる気がする。



金髪を綺麗に撫でつけて、きっちりとした礼装で来たのは、ライナルト・パラディース。

子爵家の令息だ。


「拝謁する機会をいただき恐悦至極に存じます。幼いながらも民に寄り添う施策に、感銘を受けて罷り越しました」


おっ……おお、真面目……真面目だ……!

あれ?普通はこういう人がいっぱい来ない??


「ええと、それはダムの件でしょうか?」

「左様でございます。あの施設のお陰で、領民達も安心して暮らせると、皆感謝しております。畏れながら子爵家としても、領民の命も当然ながら、度重なる水害で作物に打撃を受けたり、領民の家を建て直したりと資金繰りも厳しく」


申し訳なさそうに、ライナルトが言う。


「災害による被害については、補助金が下りる筈ですが……」


そういう風に聞いているけど、違うのかな?

父を見れば、小さく頷いてる。

けれど、困った様にライナルトは眉尻を下げた。


「うちのような辺境に近い小さな領はどうしても後回しにされがちでして。それに都度、役人の調査も入りますが、何分帝都まで距離があるので、その後に判明した損害等の追加報告がし難く、持ちだしになる事もありまして」


ふむ。

こちらの不備ではない、にしても少し面倒な感じ。

ちらと父を見れば、もう一度頷いた。


「モブリーナに良い案があるなら申してみよ」

「考えがまとまっている訳ではございませんが、申請があって都度調査が入るのは効率が悪うございます。でしたら、災害の一報が入ったらすぐに該当地域の被害の状況を見回るのが良いかと。帝都からでは遠いので、災害の起こりやすい地域にある侯爵家や辺境伯家に巡視隊を置いてもらい、その報告にて処理するのが良いのではないでしょうか。当然ながら不正などが起こらないように、帝都の役人と、其々の領地からの人員で構成すれば、お互い監視と協力が出来るので良いかと存じますが、如何でしょうか」

「ふむ。調整は必要であろうが、その案を採用しよう」


「……何と、姫君の叡智の一端をお見せ頂けるとは……!皇帝陛下の掌中の珠というだけではなく、まさしく帝国の宝!」

「おお、分かるか!小僧、中々良い目をしている」

「は、有難き幸せ」


何か始まった。

いや、帝国のシステムよう分らんけど、調整はしてくれるんだからいいか。

あと一応、災害対策とかした方が良いんだろうけど。

あんまり思い浮かばない。


「だからといって、懸想してはならんぞ?身を弁えよ!」

「は、重々承知しております」


え?目を離したら今度は怒ってるんだけど?

何だこれ。


「あの、あと土砂崩れなど起きやすい土地には、根っこが丈夫な樹を沢山植えるといいらしいですよ」

「ほう、それも専門家に調べさせた上で、周知しようぞ」

「はい。えーと、ライナルトさんはですね、事務系統の総括をして頂ければと思います。宰相とは申せませんが、政務官として」


ぱあっとライナルトの笑顔が輝いた。


「粉骨砕身、命を懸けてご期待に沿いたいと思います!」


重いっ!

でもそれくらい忠誠心があった方がいいのかな?

他のメンバー結構不安だし……。



次にやってきたのは。

ええと……。

衣装ドレスを着たマッチョだった。

見事な筋肉ですが、何と言っていいものやら。

扉の脇のお父様も目を剥いている。


んん、いや、偏見は良くない。

まずは話を聞いてみよう。


「カミル・パウルミュラーと申します」

「西の辺境伯家からですか……ええと、その御姿についても質問して宜しくて?」


カミルはうねる黒髪を一つにして後ろに束ねてる。

眼は綺麗な青灰色。

筋骨隆々とした、正に男なんだけど。


「はい、何でございましょうか」

「貴方は女性として生きたいのですか?」


女装しているからそうなのかな?とは思うけどね、一応確認しないと。

女性として扱わないといけないかもしれないし。


「いいえ、特には。美しい物をこよなく愛し、自らも美しくありたいと願っております次第」

「では、正直に申し上げますけれど、その姿は美しくありません」

「………っっ!」

「男性ならば男性らしい美しさを磨いた方が宜しいのではないでしょうか?」

「……それ、は……ご慧眼でございます……!」


傷つけちゃうかなって思ったけど、大丈夫みたいでほっとする。

女性になりたい人だったとしても、ある程度似合う衣装ドレスと装飾があるはず。


「美しい物を身に着けたいお気持ちは理解出来ますが、似合うかどうかはまた別でございますからね」

「仰る通りでございます……」


ちょっとしょんぼりしちゃった。

かわいそう。


「それで、ですね。そんな貴方に提案があるのですが、わたくしと一緒に美容に関する開発を致しませんか?」

「……なっ!それは!是非!!」


バァン、と私の机に手を置いたカミルの腕は血管が浮いている。

カッコいいけど怖い。

眼も血走ってギラギラしてるよ!


「あ、はい。ええと、食品とそれから化粧品や化粧道具、更に洋服全般まで領地の特産として商売にしようかと考えておりますの」

「はい。是非その仕事承りますっ!」

「それとは別に、戦闘面でもある程度心得があるようなので、ゾフィーさんの隊に入って貰っても?」

「訓練と有事の際だけで宜しいのですね?」

「ええ、勿論。それ以外は、主にジビレさんという魔道具開発者との共同開発などが主な仕事になるでしょう。わたくしも協力いたします」


カミルはカッコイイ腕を組んで、大きく頷いた。

戦闘面でも頼りになりそうだもんね。

ちゃんと有効活用しなきゃ!


「では、まず。この城で使われている美容品について学び、化粧の上手い侍女からも化粧方法や髪の結い方、欲しい商品などの調査を行ってください」

「はい!!!」


食いつきがすげぇ!

多分あれだね。

今までくだらないって言われてたんだろうな。

美しさとかは女性の関心事だろ、みたいに。

辺境伯っていう軍閥だから余計にね。

学ぶ機会だって無かっただろうから、学べる機会があるのは嬉しいんだと思う。

その点この城は、美しさを極める人々が集う場所だから、沢山の美容に関する情報が転がっている。

そういう美の集大成を作るのは悪くないのではないでしょうか。

相手が女性だと変な嫉妬や意地悪があって、教えてくれなかったりするかもしれないけれど。

その点男性なら、割と教えて貰えるんじゃないかな。

逆に異性相手だと恥ずかしいって人もいるから、その場合は他の人を担当にしよう。

最初は私がやろうかな?



休憩を挟んで午後。

あとふたり、あとふたりだ……。

お父様ってこんな感じで謁見とかやってるんだから、大変だよね、毎日。

しかも相手は大体厄介事持って来たり、苦情だったり、他国からは色んなお願いだったり。

捌くの大変そう。


「ノアベルト・ピゼンデルと申します」


静かな佇まい。

子爵家の人にしては落ち着きすぎてる。

これは、試験テストの印象からも思っていたんだけど、かなり、搦手を使うタイプ。

陰謀とか策略とか、私モブリーナに属性が似てるね!?


「単刀直入に言うと、ノアベルトさんは密偵スパイ向きですわね。というより工作員の方が近いかしら」

「ご慧眼です」


静かな微笑。

その点ではラウスも二面性があるし、演じ分け出来るタイプで交渉も上手いから外交に向きそうではあるんだけど。

容姿を隠しているから、そういう華々しいのはやりたくないかなと思ってる。

商売人だしね。

で、ノアベルトも何かそんな感じ。


「モブリーナになら言っても良いぞ」


背後の父から声を掛けられて、ノアベルトは少しだけ振り返って父に会釈をする。


「私は暗部です」

「なるほど」


あれれ?

試しているつもりで、私も試されてたのかな?

有用な人材を見抜けるかどうか。

まあ、本気を出してくれなきゃ分かりようもないけどね。


「では、わたくしの相談役をして貰う事にします。表向きは事務官として。暗部としての仕事が嫌でなければ、その仕事もお任せしたいけれど、如何です?」

「有難く拝命致します」


父も後ろで僅かに頷いた。

取り敢えずノアベルトは貰っていいらしい。

人材スカウトやら育成やら、どうしましょう?

ノウハウあるのかな。


いずれは私もそういう調査系の集団を持ちたかったけど、今すぐには無理だと思う。

だってまだ四歳だし。


「では、追々色々な事を決めていきましょう。貴方からも色々教わらなくてはいけないわ」

「是非、喜んで」



最後の一人がやってきた。


「スヴェン・エルトルと申します」


金の髪に、爽やかな青空の様な瞳は何処かの王族と聞いても納得しそうな美貌である。

男爵家の子息にしては、見栄えが良い。

試験テストから読み取れたのは、何というか、口が巧いというか、A案が駄目ならB案、C案と打開策を出していくタイプ。

口八丁手八丁って感じ。

多分、見た目も華やかだし外交に向いていると思うの。

慎重さは必要だと思うけどね。

あと、言語。


「貴方にはゆくゆくは外交面で支えて欲しいと思っているのですけれど、如何でしょうか?」

「ええ、勿論、仰せのままに」


何だか気障ったらしいな!

笑顔も何ていうか、胡散臭い。

王子っぽいからっていい気になってるんじゃありませんよ!


「王配にはしません」

「ふふ。それは今すぐ決めなくても良いのでは?」


楽しそうに笑う、腹黒。

有能である事には変わりないから、有効活用はするけどね?


「ならんぞ!まだ四歳の娘に色目を使うとは!」

「いえ、使ってはおりません。交流をしているだけです」


父相手にもにこやかに退かない。

なにこの胆力。


「処し…」

「駄目です」


すぐ処したがる。

実際問題、四歳児相手に本気で迫るような男は御免ですから。

大丈夫ですよ、お父様。


「それでは外務局で実地訓練をお願いします。それと、周辺諸国の言語を覚えるか、優秀な通訳を揃えてくださいませね」

「はい、抜かりなく」



父がさっさと行けとスヴェンを追い出して、早速私を抱き上げる。


「見目の良い男に騙されてはならんぞ!?」

「えっ?騙されてるように見えましたか?」


私の問い返しに、父は少し考えた。


「いや、どちらかというと嫌がっておったか」

「ええ。腹に一物ありそうな方なので。まあ、外交には向いていると思いますが、当分、結婚だ何だとか恋愛とかはしませんよ、お父様」

「であるか。ならば良い。一生しなくても、構わん!」


言うと思った。

けど、父も中々の熱愛をしている。

だってね、大母様に聞いたのよ。



「何でわたくしには弟と妹がいないの?」

ってね。

だって、お父様はまだ若いし、産む方は大変だけれど、体力的に難しければ新しい側妾を娶っても良いのだから。

けれど、大母様は、ちょっと切なげに微笑んだ。


「陛下はね、アイリーナ様を寵愛してらっしゃるから、もう妃も妾も取らないと決められたの。アイリーナ様にも恋愛を禁止しているのだから、とご自分も禁欲されているのよ」


ああ、だから。

切ない顔をした大母様が可哀想だった。

ずっと支えて来て、父が恋する相手に執心して憔悴するのを見て間に入って。

叶えてあげたのに、ずっと父は、母だけを愛しているみたいで。

恋愛結婚とかじゃないけれど、胸がきゅっとなる。


それほど誰かを、夫が愛するのを側で見ているのは辛くない訳が無い。

割り切っているとしても。


でも、私は何か言える立場にはない。

だって、どんな関係を今まで築いて来たかまでは知らないから。

土足で踏み荒らして良い場所でない事くらいは分かる。


「ふーん、そうなのですか」


子供っぽくそう答えるのが精いっぱいだった。

憎まれていないことが幸いだと思う。


「弟妹が欲しければ、アイリーナ様と陛下にお願いをすれば叶うかもしれなくてよ」


言いながら、大母様は優しい手で私の頭を撫でた。

色々な事情を知ったら、何か欲しいとは言えないし思えない。

私は首を振って言った。


「じゃあ、いりません。末娘で良いです」


愛情がそっちに分散されるのが嫌みたいな我儘娘に見えたかもしれない。

実際は別にそれで構わないのだけれど。

でも。

お母様の自由を奪うのも、大母様に切ない思いをさせるのも嫌だから仕方ない。



でもふと、気になったので父に聞いてみる。


「わたくしの下に妹が出来たら可愛がりますよね?」

「もう子は作らない。其方の母との約束だ。其方が最後の姫で、我が最愛の娘だ。もしも、という話はするだけ無駄だ」


確かに、そう。

二人が決めたんだったっけ。

誰かと誰かがハッピーエンド。

二人は末長く幸せに暮らしました、なんて。

皇族に生まれついたら、そうもいかないもんだなぁ。

皆どこかしら欠けていて。

それでもそれなりの幸せを見つけていくんだよね。

だから、可哀想なんて思っちゃいけないのかも。


「分かりました。でも夜伽係なのに、寝るのを邪魔するのはやめてくださいませ」

「お、おぅ……それは善処しよう」


まさか注意を受けると思ってなかったみたい。

フフン!

まあいいや、私が目指すのは平和な世界だもの。

恋愛だってなんだって、平和じゃないと楽しめないものね!


まったり面接はこれにて終了です。

一応今後の話にも出てくるメンバーです。

濃いって言われたけど、濃い……ですかね!?一回目より濃くなってませんか?

次回はジモーネの親サヨナラ回。

今のところ、聖女編書き終えて獣人国に手をつけてます。

ぼちぼち追加予定。

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― 新着の感想 ―
毎回 「父〜〜〜〜www」 ってなってます。
マヨネーズを西洋文化だと流行らないからチートになら無いと言ってるけど、 中世風世界でチート扱いにされてる理由が広まったのが近代序盤から(それまで有る島でのみ有った郷土料理のソース)と言うのと 国によっ…
輸送・物流で何歩も先にいく国になるのが見えてるわけか・・・兵器開発や通信網とかも手を出してたら強国になる下地は出来上がるな。
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