1.7 初めて見る死
私は一通り訓練をした後、家に戻った。
すると家の前には謎の静けさと不穏な風があった。私は杖を持ち、慎重に足を進めた。すると、何人かの集団が家に入ろうとしているのが見えた。ここで戦っても良いが、相手のローブを見るに、勝てる見込みはない。後を追い、様子を伺うことにした。
その後しばらく追跡していると、父の書斎に向かっているようだった。「これはいけない」と思い、一抹の怖さも憶えながら、私も部屋に突入した。
しかし、そこにあったのは自身の家とは思えない惨状だった。踏み入れた時のべたりとした液体。鼻をつんざくなんとも言い難い匂い。私の父は、そこで肩を机の足に預けて、ぐたりとしていた。どうやら先般の集団は処理係で、追跡していた頃には既に事は片付いていたようだ。頭から出てきたのは炎の呪文。大気を介して魔素を使えば簡単に詠唱できるからだ。どこに潜伏しているかもわからない敵にあたり構わず打ち放った。最後にあたふたしてた眼の前の男に対しては、護身剣で、腹や首を何度も刺し、戦意を喪失させてから、何度もの試行錯誤を繰り返し、首をはねた。
確かにこのゲームは主人公が不遇の設定だということは知っていたが、ここまでとは、と思い、体の力が抜けてしまった。とりあえず側付きと先生を呼ぼう。「頼むね、ネム」
と手紙を書いて渡したところで、私の力は眠るように尽きた。