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明日の晴れる日、晴れない日  作者: クミン
恋愛に枯れた私が乙女ゲーに転移するまで
4/12

1.3 目覚め

感覚があった。風を感じる。遠くに感じる人の音。

そっと目を開ける。ベッドの天井があった。起き上がり、周りを見渡してみる。左手奥には窓があり、レース越しに風を通している。右手奥には窓、真奥には勉強机。ここはどこだろう。そう思っていると40代のおばさんが声をかけてきた。

「お嬢様、やっとお目覚めになられたのですね!」

「誰?」

と私が告げると、

「アンジーです!何言ってるんですか」

と呆れられてしまった。


「そうそう、奥様、旦那様にも知らせないと!」

そう言うと、バタバタと、部屋の外に出ていった。


その後は、あまりに流れが急だったため覚えていないが、「家族」なるものと食事をした。私は2周間昏睡状態にあったらしく、食卓にはアンジーの助けを借りながら向かい、スープとお水だけをいただいた。野菜や肉も勧められたが、食べていたら胃がもたなかっただろう。父と母は優しそうな人だったが、何か腫れ物に触るかのような扱いだった。何かあったのだろうが、その前のこの体の記憶など、知る由もない。話題は常に私を避けており、変な刺激を与えないように苦慮している様子が見て取れた。まあ、そのうちわかるだろう。


その後私は部屋に戻り、探索をした。昔の写真、手紙、日記。どれも普通で手応えがない。何かこの体の主には悩みがあったのではないかと思ったが、先走った考えだったのかもしれない。


収穫が何もなかったので、今度は自身の情報を紙に書き出していこうと思う。まず、私は以前の世界で恐らく死んだ。しかし、今は違う世界の住人になっている。名はレナ・バイス (Lena Weiss)。中堅貴族の娘らしい。正式な中学のようなものには行っておらず、家庭教師と一般市民の寺子屋のような場所に行っていたらしい。ここで致命的なのは貴族令嬢間での交流がないことだ。しかし、来年度からノルトアカデミー高等部への進学を目指すことになっている。端から大ピンチである。しかし、安心できる点もある。この世界は昔少しだけかじっていた乙女ゲー「学園の森」に似ていることだ。さすがのにわかの私でも主人公の名前くらいは知っている。確か学園には様々な部があり、そこで様々な能力を持つ者が振り分けられる設定になっていた。そしてその部には各一人の攻略キャラクターがいる。高等部の大半は、一般教養を習得した後に専攻を中等部で決めている。しかし、私達のような専攻のための教育を経ていない者は、高校からの編入組は教養部に入ることになる。そしてこの試験が難しい。そもそも編入というのは既存の学生のレベルに達しているだけでなく、彼らに新しい刺激を与えられる存在でなければならず、入学試験で高得点を得られる人材でなければ、学校としては受け入れる意味がないのだ。したがって倍率は非常に高い。乙女ゲーを満喫するにはまず猛勉強からという、無理ゲー仕様である。ゲーム自体は入学後から始まる設定だったので、試験内容すらもわからない。万事休すである。


とりあえず考えることをやめた私は、使い魔に訊いてみることにした。眼の前にいるのは猫のような使い魔のネム。非常に可愛らしいが、難点は私に魔法が使えないと意思疎通ができない点である。


困っていると、アンジーがやってきた。家庭教師の件とのことで、一旦部屋を移して話すことにした。

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