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明日の晴れる日、晴れない日  作者: クミン
恋愛に枯れた私が乙女ゲーに転移するまで
12/12

1.11 夢から覚めて

苦しみの中で、私は目を覚ました。ぼんやりとした視界の中で、男が私の首を締めているのが見えた。私は瞬時に、それが父を殺した一味であることを理解した。怒りが湧く。苦しみの中で、相手を睨んだ。薄れる時の中で、復讐を誓った。もう一度、機会があれば、絶対に殺す。父の恨みを絶対に返す。

「殺す」

そういった私の声は男には届かなかっただろう。男は微かに笑っているように見えた。


私は、そこで意識を、そして命を失った。




―――――――――――――――――――――――――――――――


「――お嬢様、お嬢様?」


ハッとした。眼の前にはエリオットがいた。


「すみません、なんでしたっけ?」


「ですから、物体には情報があります。こうとは言えないですが、物体はそれぞれ何か成分のようなものがありまして、それを書き換えることで、物体を変質させるのです。」


「はい?」


「すみません。難しかったかもしれません。私が言いたいのは石も炎も、料理みたいなもので、何かの素材の組み合わせのようなものではないかと、そう考えるのです。」


「はい?」


「ええと、つまりですね…」


私は思わず、彼に訊いた。


「それ、だいぶ前に教えてもらったと思いますが、、」


そう言うと彼は少し戸惑いながら、「いいえ、これをお嬢様にお話するのはこれが最初です。」と彼は返した。


何を言ってるのか、さっぱりだった。


「まあ、誰かに話したのも初めてなんですけどね。私はそう確信しているのですが、どの本にもそんなことは書いてなくてですね、教授に言ったら怒られるかな、なんて思っ――」


私は瞬時に考えを巡らせた。


「まさか、ここにもう一度戻ってきた…?」


エリオットの戸惑った表情、そして彼が口にした言葉。それは、確かに私が一度聞いたことがある内容だった。あの日、私が殺される直前に、エリオットは私にこの話をしていた。

私は全身に鳥肌が立った。まるで悪夢を見ているようだ。しかし、これは夢ではない。私は確かに、あの日から時間を遡って、ここに再び戻ってきたのだ。


「お嬢様?どうかしましたか?」


エリオットの声が私を現実に引き戻す。私は深呼吸をして、彼に笑顔を向けた。


「いえ、大丈夫です。エリオット先生の話、とても興味深いです。続きを聞かせてください。」


私は心の中で決意を新たにした。今度こそ、私はこの運命を変えてみせる。父を救い、そして私自身もあの男たちから守る。二度と、あんな思いはしたくない。

エリオットは私の笑顔を見て安心したように、話を再開した。私は彼の言葉を一言一句聞き逃さないように、真剣に耳を傾けた。それは、未来を変えるための、最初の一歩だった。

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