守護霊とかいうやつ・1
出雲真言。最近、神様が見えだしたこと以外は普通の男子高校生。………なんだが。
なんだあれ……。
友人である畠山満の後ろに、彼とそっくりの男が浮いている。
そう、浮いているのだ。物理的に。なにあれ???
「真言? 聞いてる?」
「聞いてる……けど、」
お前それ何?なんて、能天気にきけるほど俺も馬鹿ではない。いや、まぁ、ききたいのは山々なんだけどよ。
「……………もしかしてさぁ、真言さぁ…」
「?」
「見えてる?」
そう言いながら、満が自分の頭上を指差した。言葉を失ったのは言うまでもない。
***
「守護霊〜〜〜?」
「らしい。そんで、俺の前世」
「待て、情報が多い」
話を聞くに、その男の名前は罹八郎。室町時代の生まれらしい。満は生まれた時から彼が見えているらしく、姿はこの17年変化なし。どうやら、死んだ年の姿のままだとか。待て重い。
「なんかね、流行病に罹って、馬小屋で死んだらしいよ」
『もともと、父と兄たちの厄除け役として育てられたからな。納得はしてないが、当然とも言える』
やっぱり、戦が定期的に起こってた時代って、子供を厄除けに使ったりしたんだな、なんて思ったり。
………ん?
「だからお前、室町から戦国あたりの歴史テストだけ点数良かったんだな!?!?!」
「やべ、ばれた。先生には内緒にしといて?」
「こんな実物証拠がないことチクれるか!!! つか、満はなんか困ったこととかなかったわけ? 罹八郎はお前にしか見えてなかったんだろ?」
ふと、俺は自分が少し苦労したことを思い出しながら問う。満は、まるでなんでもないような顔で「普通に精神科行きだったけど?」と答えた。
7つまでは神の子、なんていうけど、満は中学になっても何もないところに話しかけていたらしい。それを全く気にもしてないところがまた彼らしいっちゃらしい。ここまで来ると尊敬すらする。
外ではざあざあと雨が降っている。
「最近、からっと晴れた日見ないよなぁ」
「なぁ」
『? お前んとこの仕業じゃないのか』
罹八郎が首を傾げた。どゆこと?
『お前の、とこの、土地神の仕業だろ』
「………あぁ! 神様!? え、これ神様のせい!?」
「えっ、なにそれ! 真言んとこにもいるの!? こんど会わせて!」
俺が窓の外を指差して言うと、満が別方向の話題を展開した。今それどころじゃないからちょっと黙ってなさい。