奏石 天樹①
天樹視点です。
俺の名前は奏石 天樹。
今はしがないフリーターだ……。
顔や容姿には結構自信があり……中坊の頃から女に不自由しなかった。
それなりの数と付き合ってきたけど……うまくいかずに別れるばかりだ。
その理由の大半は、”俺が女に冷めた”ことだ。
女と付き合ったばかりの頃は割と情熱的になれるけど……時間が経つにつれてどんどん気持ちが冷めてくる。
その結果、一緒にいる意味を見出せず……別れを選ぶ。
そしてまた新しい女と付き合って……なんだかんだと別れ……また別の女を探して付き合う。
毎回この繰り返しだ。
付き合う女はどれもこれも良い女だ……性格だって悪くない。
だがどれだけ良い女と付き合っても……月日が流れたら飽きが来る。
飽きてしまえばどんなに情熱的な恋でもアッと言う間に冷める。
こればかりは自分でもどうしようもない。
一部の友達からは女ったらしと呼ばれてはいるものの……友人関係は割と充実している。
特に仲が良いのは……ガキの頃からの幼馴染で大親友である星 暁。
物心つく頃から当たり前のように暁とは仲が良く……俺にとってはダチというより兄弟のような存在だ。
そんな暁の隣には1人の女がいる。
名前は上原 夜空。
『はっ初めまして……あっくんとお付き合いしている夜空です』
『あっくんって……おいおい見せつけてくれるじゃねぇかよぉ……』
俺は2人を心から祝福していた……それは嘘じゃない。
ただ……彼女を一目見た瞬間、雷に打たれたような衝撃が俺の中で弾けた。
最初はそれが何なのか……わからなかった。
だけど親友の彼女として仲良くしている内に……俺の中で夜空の存在が大きくなっていた。
それと並行して……いいなと思っていた周囲の女達に対して、心が動かなくなっていった。
夜空の笑顔を見ると元気になる……夜空の声を聞くと心が癒される……。
しまいには思春期の中坊みたいに、夜空の写真を使って性欲を満たすようにもなっちまった……。
バカな俺にだってわかる。
俺は夜空に恋をしている……どうしようもなく……。
なんでそうなっちまったのか……そんなの俺にもよくわかんねぇ!!
恋なんてもんは突然前触れもなくなっちまうもんだ……。
だけど忘れちゃいけないことがある……夜空は暁と付き合っているということだ。
あいつらは学校でもオシドリ夫婦と呼ばれるほど熱い。
そもそも俺は暁から夜空を寝取ろうなんて微塵も思ってない。
俺にとってあいつは大事なダチだ……それは今もこれからも変わらない。
だけど……夜空にこの想いを伝えたら……もしかしたら俺達の友情は崩壊するかもしれない。
そう思うと……夜空に告白する勇気なんてなかなか湧いてこない。
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ズルズルと気持ちを引きずり……気が付くと暁と夜空は夫婦になっていた。
それはそれでめでたいとは思うけど……心のどこかにモヤモヤするものが残る。
あれから夜空への想いを忘れようと何人かの女と付き合ってみたけど……どれもこれも長続きしない。
夜空と比べてしまうと……みんなかすんで見えてしまうんだ。
”俺はどうしたらいいのか”
俺は何度も自問自答するが……答えは出てこなかった。
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ある日……夜空から暁の誕生日プレゼントを買いたいから付き合ってほしいと連絡がきた。
ちょうどバイトも休みで特に予定もないので、俺はOKした。
買い物に付き合うだけなのに……デートに行くように気持ちが高ぶった。
「来たぜ!」
「天樹君! ごめんね、急に呼び出したりして」
「気にすんなって! どうせしがないフリーターだからな! 時間ならたっぷりある!」
最寄りの駅で交わした何気ない挨拶だというのに、心臓の鼓動がやたらと早くなった気がする。
そこからプレゼントのスニーカーを買って……少し喫茶店でお茶して……それでおしまい。
なんて味気ない時間だが……俺は心から楽しんだ。
夜空と一緒にいれる時間であるなら……何が理由でも嬉しい。
今まで付き合ってきた女達に対して、感じたことのない心地よい胸の高鳴り……夜空にしか感じないこの想いを……2人きりでいるこの短時間の間に……俺は抑えきれないレベルにまで達していた。
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「今日はありがとうね、天樹君」
だけど……楽しい時間はアッと言う間に過ぎ去る。
俺と夜空は夕暮れに染まった電車に乗って最寄り駅に向かっていた。
「これくらい気にすんなよ! プレゼント、喜んでくれるといいな」
暁の喜ぶ姿を想像しながらプレゼントを抱きしめている夜空はとても愛らしかった……。
この手で抱きしめたい……めちゃくちゃにしたい……。
彼女がそばにいるだけで、そんな欲望が俺の中で渦巻いた。
夜空と会うたびに俺の心を浸食していった強い想い。
ダメだと思っていても止まらない気持ち……。
「おっ! 見ろよ夜空! あそこに見えるのって、俺達の高校じゃね?」
「本当だ……懐かしいな……」
そんな俺達の目に映ったのは俺達の母校……俺が夜空と初めて出会った場所。
それが俺の心を大きく揺さぶった。
「あそこで夜空と出会ったんだよな」
「そうだね……」
夜空と言葉を交わし……懐かしい記憶と共に蘇る初恋の記憶……。
それがとうとう……俺の中でくすぶっていた想いを開放してしまった。
「天樹君にもきっと良い人が見つかるよ!」
「無理だよ……これからどんな女と付き合っても……きっとうまくいかない。 できる訳がないんだ……」
「えっ? どうして?」
「俺……俺は……夜空のことが……好きなんだ!」
「えっ?……」
言った……言ってしまった……。
この時ごまかせばどうにかこの場は収まったかもしれない……。
だけどもう……俺の想いは止まらない。
「今……なんて……」
「俺……高校時代からずっと……夜空のことが好きだったんだ……」
「じょっ冗談やめてよ……」
「冗談じゃない……マジで夜空が好きなんだ……」
「でっでも私……」
「わかってる……お前には暁がいることくらい。
俺だって……親友の嫁を奪おうなんて思っちゃいない。
だからいろんな女と付き合って……夜空への気持ちを上書きしようとしたんだ……でも無理だった!!
どんな女と付き合っても……夜空の顔が頭から離れないんだ」
「……」
俺はこれまでずっと隠してきた想いの全てを夜空にぶつけた……ぶつけてしまった……。
「気持ちは嬉しいけど……私はあっくんと裏切ることはできないよ」
夜空からの返事は当然と言えば当然だ。
俺だってダチを裏切るような真似はしたくない。
いくら夜空が好きだからって……そんな下衆なことはできるわけがない。
だけど……それでも……。
「なあ夜空……1つだけ答えてくれ」
「なっ何?……」
「俺のことが好きか? ダチとしてじゃなく……1人の男として……」
夜空の本心を知りたかった……。
俺のことを1人の男として見てくれているか……。
暁より下でも良い……俺に対して、特別な気持ちがあるか……。
それだけでも俺は知りたかった……。
ぷしゅぅぅぅ……。
だけどこのタイミングで、電車は夜空の最寄り駅についてしまった。
俺の家はあと2駅先だから……夜空とはここで別れることになる。
「夜空……」
「……」
俺は降りた夜空を追って1度電車を降りた。
せめてもう一言だけ……伝えたくて……。
「答え……待ってるから……」
俺はそれだけ言うと再び駆け足で電車に戻り……その場を後にした。
発射の際に窓から見えた夜空の顔は言葉では言い表せない顔だった。
俺の告白に戸惑っているのか……これからの関係性が壊れるのを恐れているのか……。
ただ……俺の心はたとえようのない解放感に包まれていた。
まだ夜空にどう思われているのかわからないけど……あいつに俺の気持ちを伝えることができた……。
それだけでも俺は嬉しかった……。
これから先どうなるか……それはわからないけど、俺はこの日のことを後悔しない。
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「よう……」
「天樹君……」
それからしばらくして……俺は暁と夜空の家を訪ねた。
目的はもちろん、夜空からの返答を聞くためだ。
こういうことは相手から来るのを待った方が男らしいと思うんだけど……俺は我慢することができなかった。
「天樹君のことを好きかと聞かれたら……好きだよ?
友達としても……男性としても……とっても魅力的な人だと思う」
「そうか……」
「だけど……私にはあっくんがいるから……あっくんとの家庭を壊すようなことはできない。
それはわかってくれる?」
「あぁ……もちろんだ。 俺だって大事なダチを不幸にしたくねぇ……したくねぇけど……」
夜空が俺を男として好いてくれているのは本当に嬉しい。
嬉しいけど……俺の心にさらなる欲が芽生える。
”夜空に愛されたい!”
満たされたと思っていた俺の心は……夜空からの愛を欲していた。
俺の片思いだけで終わりたくない!
夜空と体も心も結ばれたい!
そんな強い欲望に、俺は支配されようとしていた。
だが夜空は暁の嫁だ。
俺はダチを裏切ったり傷つけたりすることはできねぇ……。
……ちくしょう!!
俺はどうすればいいんだ!?
「……抱きしめさせてくれないか?」
「えっ?」
夜空への想いと暁との友情で揺れる中で、俺はとんでもないことを口走っていた。
どうしてそんなことを言ってしまったのか……俺にもよくわからない。
もしかしたら……夜空に癒しを求めたくなったのかもしれない。
でも正直言って……いくら夜空でもこれは断ると思っていた。
旦那ではない男と抱き合うなんて……浮気とはいかずとも、ギリヤバい行為だ。
「……うん、いいよ」
だから夜空が俺の頼みを受け入れてくれた時は本当に驚いた。
俺を哀れんでそう言ってくれたのか?
彼女の真意はわからなかったけど……。
「ありがとう……」
俺は彼女の好意に甘えた。
初めて夜空を抱きしめた時……俺の体にのしかかっていたいろんなもんが軽くなったような気がした。
彼女も俺の抱擁を受け入れ、俺の腰に手を回して抱きしめ返してくれた。
なんて気持ち良いぬくもりなんだ……なんて柔らかい体なんだ……。
このまま時間が止まればいい……この例えようのない幸福感を手放したくないと俺はそんな非現実的な願いまで神に祈ってしまった。
「ねぇ天樹君……1つ答えてくれる? どうして私を好きになったの?」
「夜空が夜空だから……じゃダメか?」
訳わかんねぇなと思われるかもしれないけれど……俺の夜空に対する想いは、言葉で言い表せるものじゃないんだ!
「天樹君……」
「夜空……」
俺達は互いに見つめ合い……互いに名前を呼び合い……そして唇を重ねた。
ここまできたらもう……俺は俺を止めることができなかった。
※※※
それからどれだけの時間が流れたのかわからない……。
俺と夜空は……気が付けば寝室で裸になっていた。
互いに大量の汗を流し……息も荒々しくなっている。
ベッドには汗以外にも、俺達の体液が染みついている。
寝室に入るまでは……夜空に拒絶されるかもしれないと薄々思っていた。
だけど夜空は拒むどころか俺を強く求めてきた。
それで俺は歯止めが利かなくなり、獣のように夜空の体を貪った。
俺は夜空に今までため込んでいた想いを種と共に注いだ。
行為そのものはこれまで付き合っていた女達としてきたが、それはあくまで性欲を発散させるためだけの”儀式”に過ぎなかった。
だけど夜空との行為は儀式なんかじゃない……。
互いの想いを快楽と共に絡め合う……言うならば”愛情表現”だ。
体中を包み込んでいる解放感が俺が抱え込んでいた悩みや苦しみと言ったもんを消し去ってくれた。
これが愛する人と結ばれるってやつなんだな……。
「天樹君……私はあなたのことを愛してる。
だけど……あっくんのことも愛してるの」
それが夜空の最終的な答えだった。
彼女は俺と暁を愛することを選んだ……。
「あぁ……わかってる。 俺はこうしてお前と愛し合えるだけで幸せだ……」
暁と同じでもいい……いやむしろ、その方が良い。
これで夜空は暁と愛し合ったまま、俺のことを愛してくれる。
夜空と結ばれた今でも俺は暁を大事なダチだと思っている。
俺と暁で夜空を愛する関係……それが一番理想的な関係性なんだと俺は理解した。
暁だってきっとわかってくれる。
親友である俺と愛する妻である夜空……。
言ってみれば、俺達3人は家族みたいなもんだ。
俺と暁が夜空を妻として愛する……そうすれば、より一層俺達の絆も深まるってもんだ。
「暁には俺達の関係を伝えるのか?」
「今はやめておく……今あっくん、大事なプロジェクトを任されているみたいだから……仕事に専念させてあげたいの」
「そうか……あいつ、わかってくるかな?」
「きっとわかってくれるよ。 私達3人共、知らない仲じゃないんだから。
私達の想いを誠心誠意伝えたら、きっとわかってくれる。
私……あっくんと信じてる!」
「そうだな……あいつならきっとわかってくれるよな!」
そうだ!
暁は俺の心からの親友だ。
あいつなら俺達の気持ちを理解できるはずだ……。
俺はそう信じている。
「夜空……愛してる」
「私も天樹君を……愛してるわ」
それからも俺達は暁の目を盗んでは夜空の家で愛し合っていた。
夜空はきちんとした場で暁に俺らのことを伝えたいと言ってたから、ハプニングでバレるなんてことはあっちゃいけねぇ……。
……は?
そんなの結局ただの不倫じゃないかって?
お前ら……馬鹿か?
俺達のどこが不倫関係なんだよ!!
不倫っていうのは、要するに裏切りだろ?
俺も夜空も暁を裏切るつもりなんてないし、暁の金がほしい訳でもない。
ただ純粋に……家族として生きていきたいだけだ。
自分達の欲を満たすためだけに平然と人を裏切る下衆共と一緒にすんな!
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「来たぜ! 夜空!」
「お邪魔します……」
「いらっしゃい! 2人共わざわざごめんね?」
夜空と愛し合ってから数ヶ月が経ったある日……俺は弟である流と一緒に夜空の家に招かれた。
流は夜空に家庭教師をしてもらったことがあり、プライベートでも夜空とそれなりに交流がある。
「天樹君……単刀直入に言うね? 私、流君を3人目の夫として迎え入れたの……」
「えっ? どういうことだ?」
「ほら……天樹君は私のもう1人の夫として私と愛し合っているでしょう?
流君も同じで……私の3人目の夫として愛し合っているの……」
要約すると……弟の流も夜空に惚れていたらしい。
そして2人は愛し合い、体の関係まであるらしい。
正直、驚きはしたけど……嫉妬や怒りなどはなかった。
そりゃそうだ……相手が俺と血を分けた弟なんだからな。
知らない他人ならわかんねぇけど、流ならまあ……良いかな。
俺はそう思い、流を受け入れた。
別に夜空を独占したいなんて気持ちはない……俺はただ夜空に愛されていればそれで幸せだからな。
「兄さんありがとう!」
「ありがとう! 天樹君!」
「流! 暁と一緒に夜空を幸せにしような!」
「うん! 僕、頑張るよ!」
さすがは俺の弟だ……夜空のことを真剣に愛そうとしているのが目を見ただけでヒシヒシと伝わってくる。
それからすぐ俺達3人は寝室で体を重ねた……。
2人で愛し合うのも良いが……同じ女を愛した弟と快楽を共有するというのも悪くねぇな。
これからは俺と流と暁と夜空……家族4人でこれから幸せな人生を送るんだ……。
俺には家族の明るい未来が見えていた……。
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「あっくん、話があるの」
「話? なんだよ改まって……」
ついにこの日が来た……。
暁に俺達のことを伝える運命の日が……。
「私は……3人の妻になりたいの!!」
夜空は自分の想いを……そしてこれからの俺達の未来を……暁に話した。
誠意を見せようと頭まで下げる彼女のひたむきな心に感動した……。
夜空こそ……夫を愛し、支える妻としての正しい姿なんだと……俺は強くそう思った。
彼女の真心が伝われば……暁だってわかってくれる。
俺は……俺達はそう信じていた……だが。
「ふっふざけんなっ!! なんで不倫を続ける嫁と結婚生活を続けなくちゃいけないんだ!
なんの罰ゲームだよ!!
慰謝料は当然もらうとして……離婚もする!!」
暁は俺達の想いを拒否した……。
それどころか、夜空を不倫嫁と罵って離婚まで切り出しやがった!!
なんでだよ……意味わかんねぇ!!
「離婚なんて……やめてよ! 私のこと、愛しているんでしょ!?」
「不倫している嫁を愛せる訳がないだろう!? しかもよりによって俺の幼馴染とその弟まで……だいたい3人の妻になりたいってなんだよ!? 気持ち悪い!!」
「そんなひどい!……あっくんならわかってくれると思って正直に話したのに……」
「わかる訳ねぇだろう!! 俺を裏切って2人と不倫しておいて4人と付き合いたいとか、乙女ゲームの主人公みたいなこと言ってんじゃねぇよ!! クズ女!」
夜空に離婚を言い渡すだけに飽き足らず、彼女に暴言まで吐きやがった。
お前や俺達を心から愛してくれている夜空に向かって……。
ボカッ!!
「いい加減にしろよ! 黙って聞いていれば夜空の話も聞かずに気持ち悪いだのクズ女だの……それが惚れた女に向かって言う言葉かよ!!」
俺は怒りに任せ……初めて暁を殴った。
これまであいつと喧嘩したことは何度かあったけど……暴力にまで発展したことは1度もなかった。
そう言えば……この俺の拳がどれだけ重いものか、わかるよな?
「やめて兄さん!!」
平和主義な流は俺を止めるが……こればかりは譲れねぇ!
大切な嫁をなじるなんて……たとえ親友であっても許せねぇ!
それに夜空は俺と流の嫁でもあるんだ……我慢できるはずねぇだろ!?
「お前のことは大事なダチだと思っている!! だから黙って夜空と愛し合ったことは悪いと思っている。
でも、俺達はお前と夜空の結婚生活を壊したいなんて毛ほども思ってねぇ!!
金がほしい訳でもねぇし、お前から寝取りたいとも思ってねぇ!
俺も流も夜空から愛されたいだけだ……慰謝料だって払うつもりだ!
だから誠意を持って夜空はお前にこのことを話した!
きっとお前なら俺達のことをわかってくれるって信じていたからな!
そんな夜空の想いをなんでわかってやれねぇんだ!?
お前は夜空の旦那だろう!?」
俺は暁を激しく叱責した……。
夜空に愛されていながら……彼女の想いがわからないなんて……情けねぇにもほどがある!!
「後日弁護士と俺達の両親を交えて改めて話をしよう」
だけど……俺達の言葉は暁の耳には届かなかったらしい。
暁はそれだけ言い残して家を出て行ってしまった。
必死に後を追ったが……見失ってしまった。
なんでわからねぇんだよ……この大馬鹿野郎!!
次話も天樹視点です。
案の定長くなったので、区切ります。