絶対零度の監獄への救い
中学生3年生、15歳、天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
なおも、葵の肩を濡らし幼い子供のように泣き続ける姉に葵はゆっくりと姉の頭を撫でた。
「心配かけて本当にごめん。
でも、もう本当に大丈夫だから。ーーーーちゃんと生きてるし、これからもお姉ちゃんの隣にいつづけるから。」
「さっき、一人で、どこか行っちゃったじゃない……っ!」
「そ、それはごめん、桜探すのに必死過ぎて」
姉の抗議に葵は言い訳の言葉を探して、視線を宙へと彷徨わせた。
姉の震える声と、脳内で響いた荒々しい雅の声が、全く似ていないはずなのに、重なり、響く。
「、み、やび、さん」
あの氷のように冷たい、乙葉と輝留のあどけなく残虐な笑みが蘇りあおい思わず目をぎゅっと閉じた。
「あおちゃん……?」
葵の纏う空気が変わったのに気づいた姉は涙を流れるがままにしうつむいた葵を覗き込んだ。
覗き込んだ姉の目を葵は見つめかえした。
いつだって、自分を助けてくれた姉。
抜けてるところもあったけど、喧嘩なんてしたこと一度もなくて。
姉のプリンを食べてしまったときも、怒らずただ笑って、『美味しかった?良かった!』なんて言ってくれた優しい優しい姉。
そんな姉を乗っ取った、あの神を、雅を、葵は生涯許さないつもりだった。
あれで姉の命が危険に晒されたことを葵はずっと、恨み続けている。
しかし、恨みで視界を曇らせることは、時に重大な過ちにつながる。
なんの因果かは分からないが、雅は助けてくれた。
ーーー葵を、桜を。
そして、あの二人に捕まった。
桜の、身代わりのような形で。
ならば、葵は、助けにいかなければいけない。
恨みも不信感も捨てきれていないあの神を、助けにいかなければ。
恨むことと、命を助けてもらった恩と、命が危険にさらされていることとは、また別問題だ。
そう言い聞かせる。あの二人ならきっと平気で命を奪う。
葵は本能でそう感じていた。
あの二人に、何かされる前に。
あの二人に、殺される前に。
「行かなきゃ」
小さく、しかし強い意志を込め葵は呟く。
「ま、まだ寝てなくちゃ駄目よ、あおちゃん。ど、何処か行きたいところがあるの?」
姉の手を握った。
いつだって自分を信じ味方でいてくれた姉の手を。
「雅さんを、
ーーーー助けに、行かなきゃ」
姉が大きく目を見開き、息を飲む音すらも、葵には痛かった。
寝台の上、見つめ合う人間の姉妹を、昇ったばかりの太陽の光が優しく幻想的に照らしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
稲荷ぐるみ2はこの章で終了となります!
また、3に続ける予定です。それなのに現在番外編を書いているので、先に番外編を投稿するかもしれません。
受験勉強等と並行してスローペースで投稿していこうと思います。ぜひよろしくお願いします。




