黒と赤
中学3年生、15歳、天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
「我がお城へよーこそ!ニンゲンのおねーさんと、邪神のおにーさん!」
天井へ奪われていた精神が、無理解を理解に繋げようと試みてフル回転していた脳が、警鐘を鳴らす。
鼓膜からの情報を頼りに脊髄が反射し、咄嗟に後ろを振り返った葵と雅。
その正面に立つのは、淡い橙色の着物を身に纏い、赤褐色の短髪を揺らす、小さな子供。
ニパッと笑うその姿は子供らしい無邪気さと愛苦しさを兼ね備えていて、ーーーー
「何、で……君、が…」
葵はその姿に愕然とした声を漏らした。
城内に反響する。その声が、葵の苦悶が。
葵の愕然としたその表情に、その苦悶に、目前の子供はただ笑った。
「騙してごめんねー、おねーさん。でも、」
その子供は笑みを歪ませ着物の袖から何かを取り出した。
淡く弱々しく、桜色の燐光を放つ、ソレはーーー
「桜は、渡さないもんねー!」
勢いよく、宙に投げ出される。ぬいぐるみのままの桜が。
「っ!辞めて!」
落下する桜を捕まえようと前に踏み出したその刹那、
「ーーっおい!止まりやがれっ!」
雅に乱暴に襟を捕まれ、高く跳躍する。
間一髪だった。下から先程の黒い物体が手の形になり先程まで葵がいた場所の床を抉り取っていた。
そして、桜はーーーー
「あはっ、また閉じ込められちゃったねー!」
無数の黒い手が、折の形になり桜を暗闇の檻に閉じ込めていた。ーーーーゾッとした。
あの子供に。あの子供がしたこともそうだ。しかし、葵は思い出す。記憶が、脳裏をよぎる。
あの子は、あの子は、あの子は、ーーーー
異能力が安定し始めた数日前のあの日、葵たちは桐ヶ谷神社へ向かっていた。
そこで、渚冬の弟である湊が研修に行くことを知り、桜が滝修行をしていることを知り、姉の異能力コントロールが不可欠であることを、知った。
姉と葵、そしてぬいぐるみ状態の桜は帰り道、3人の子供に会った、はずだ。
全員、黒髪、の、幼い子たちだった。
しかし、葵は覚えていた。一人の男の子が桜に、稲荷ぐるみに触れたとき、小さな火花が散ったように見えたことを。
そして、その日帰ったときから、桜は神様の姿になれなくなり、ーーーーー
「桜に、呪いをかけたのってまさかーーーっ!」
雅の力で宙に浮いている葵が、その事実に思い当たり、苦悶は怒りへと変貌し激昂する。
その手に、三度、エネルギーを宿す。
「ふふっ、おねーさん正かーい!!」




