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鈴の音は札とともに

中学3年生、15歳、天音雫です。

不定期投稿ですみません。

前に話した短編等は受験など全てが無事に終わったら投稿していこうと思います。

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

「ーーーーニンゲンのくせに、能力を使えるんですのね……

面倒ですわ。 雅様、そちらのニンゲン、捕まえるのを手伝ってくださらない?」


爆風で神々は半ば吹き飛ばされて倒れ、桜が中に入った鳥籠により掛かるようにして立っているのは件の女店主一人であった。


そして当然ながら、荒い呼吸をして手を前に突き出す葵の横で腕を組み、雅も立っている。


「おおー、思ったより強めに使えんのな。

これは俺の目が間違ってなかったっつーことか」


そんな呟きは葵は愚か、誰にも聞こえていなかった。


「雅様?捕まえてくださらない?貴方が持ち込んだご面倒でしょう?」


呟きが聞こえなかった女店主は苛立ちを滲ませながら雅に再度繰り返す。


「あー?御免だよ。面倒くせぇし。

ーーそもそも、何で俺がアンタの為になんかしなきゃいけねぇんだよ。」


その眼光を一層憎しみで満たして睨みつける。


「俺の事散々壊しやがってよ」


「っ…!あれは仕方のないことでしょう……?!

そんなことより、……ッ!」


葵が再度風を巻き起こす。

闇市が開かれている城内が、壊れていく。


しかし、ただ手荒に壊すのではなく、葵には意図がーー


「そうはさせませんわよ」 


風に乗って飛んできた木の破片が桜が閉じ込められている鳥籠の錠前へと向かうのを女店主は見逃さなかった。


「闇売処一番の目利きの妾に敵うとでも?」


着物の袖から扇子を取り出し振るうと辺りに黒い靄のようなものが撒き散らされ木の破片は逆方向、葵に向かって矢ように鋭く飛んでくる。


「ーーーーっ!!」


すんでのところでかわした葵は、地面に目をやり、その体に氷のように冷たい恐怖が走るのを感じた。


先程の報復とばかりに、地面から出現する黒い霧のような靄が、徐々に形を形成しアメーバのように蠢き出す。


葵は恐る恐る、

「1、2、3、……………にじゅう、に……?」


数えて、損をした。数えなければ良かった。数えなければ、自信が、覚悟が、揺らがずにすんだ。きっと。


しかし、行いを無に返すことも、記憶を消すことも不可能だった。葵は手足の震えを懸命に押さえつけた。


蠢く気味の悪い黒い物体が二十二。

此方へと這うように進んでくる。


「妾のことを舐めておいででしょう?

そもそもなぜ貴方のようなニンゲンが氷結の鬼の妹を欲しがるのです……?ニンゲンの世界で売り捌くおつもり?」


正面には冷ややかな双眸、下には蠢く黒い物体、横には欠伸をする邪神、上には爆風続きで崩れそうな天井、半径五メートル内は混乱する神たち。


混沌と化し、救いようがなくなった空間になった闇売処に突如として、鈴の音が響く。 


強く、一回。


さらに強く、もう一度。


そして、三度目ーーーー




「え」


情けない声が口から漏れる。



「面倒くせぇことになったな」

「っ、なに、ここ……」


邪神も思わず頭を抱えているのを横目に葵はただ立ちすくむ。


ーーーーそこは、誰もいない、闇売処ではない城の中だった。しかし、


リンリン、リンリン、リンリン、

と鈴の音だけが鼓膜を震わせる。


上を見れば、無数の札が、天井から吊り下がっていた。


その札同士が触れ合って鈴のような音をこの異色な城内に響かせているのだ。

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