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魔呪祓い屋

中学3年生になりました、天音雫です。

何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。

色々な物語が書き途中になっています。

少しまとまったら投稿していきます。

目の前の和風な建物を指差す渚冬は笑った。


「ほら、桜の呪い、早く解いてあげたいんだろう?

僕のことは本当に気にしなくていいから」


葵と瑠依はその圧に負け、無言で頷き渚冬とともに中へと入る。中には人も神もいなかった。


大きな本棚に本がビッシリ詰まっていて、床のあちこちに星の形の魔法陣が描かれていた。


「ここは無料で使えるからね。ありがたいよ。」


「な、成る程……」


ようやく口の聞けるようになった葵が相槌を打つ。


姉の方をチラと見れば、どうやら姉はまだ口を開くのは無理らしい。渚冬は一番手前の魔法陣の中に稲荷ぐるみをそっと置いた。


そして、自身はその魔法陣の直ぐ側に立ち、葵と瑠依に、「離れててね?」と笑いかける。


葵と瑠依は慌てて魔法陣と渚冬から少し距離を取る。


怖いもの見たさなのか好奇心が旺盛なのか姉は葵よりも魔法陣に近いところで、身を乗り出すようにして渚冬が指で宙に魔法で文様を描くのを見ている。


渚冬が文様を見つめ詠唱を始める。

よく通る声が響く。


「巡る四季と繰り返す朝夜に生まれしこの身。夕刻に降りし秋雨の世界の神代を宿すこの身。」


空気がビリビリと震える。


葵と瑠依は息を呑む。


魔法陣が淡い青色に光り、その燐光が部屋中を満たしていく。


「悪しきものに呪われた神代を今この生まれ持った氷結の力を使いーーーー」


その時だった。渚冬の呪文の詠唱の途中、青い燐光とは別の何かが一瞬、魔呪祓い屋の中にカッと光る。


「ぇ、」


葵の脳内で警鐘がなる。


葵が気付いたのと詠唱に集中していた渚冬が“それ”に気づいたのは同時だった。渚冬の、口が葵より早く動く。


「葵ちゃん、瑠依ちゃん、避けろ!」


渚冬は詠唱を止めて必死の形相でこちらに手を向ける。

その手から魔法が放たれるその寸前、鋭い煌めきが迸り、天井が落ちてくる鈍い音が連続し、


「あおちゃんッッ!!」

「ーーーーーッ!!」


ーー姉の叫び声と渚冬の振る扇の音が重なり合い、魔呪祓い屋は爆風によって吹き飛んでいた。



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