幸せな夢、雨の朝
中学3年生になりました。14歳が書いています。
何かと至らない点があると思いますが、読んでもらえると嬉しいです。
受験勉強やります。頑張ります。すみません。
翌日、アラームの音と雨音で起きた葵はチラッとカーテンを開け、まず第一声に、
「うわ、雨だ。お母さんやばそう」
そう呟いた。雨の日はなにか起こすのが一ノ瀬家母、一ノ瀬 沙奈だ。
雨の日の母の伝説的な逸話はたくさんあるが、昨日殺人犯に声をかけられた話を聞いてからはますます怖かった。
そして、今日は昨日の父との約束を半分破って稲荷神社に行くため、母を守れない。
いや、流石に大丈夫だろう。命の危険までとはいかないだろう。昨日だって大丈夫だった。怪我はしていなかった。
だから、大丈夫。これまでも、これからも。
そう、信じている。
「お母さんにボディーガードつけたげたいな……」
ぼやき、葵は布団から出た。この時期は布団から出たくない。
この雨が雪に変わってしまうとさらに厄介なことになりそうなので、瑠依を起こしに行くことにする。
葵はカーテンを両方とも開けきり、私服に着替えて使っていなかったフワフワな毛布の上にそっと置いていた稲荷ぐるみはーー状態の桜を抱えて、姉の部屋へと向かった。
ガチャリ、と音を立てて姉の部屋の扉を開ける。
「お姉ちゃん、起きてる?」
起きてるはずはないだろうと思いながら言ったが、やはり起きていなかった。当然だ。今は朝の6時。
姉がいつも起きるのは大体朝の9時くらいだ。
「ん………あ、おちゃ…………
クレープ、 また、買いましょうね……」
「………………え?」
唐突にクレープ買う宣言をされ少し固まったが、寝言だと気づき葵は吹き出した。
「幸せそうな夢だな……」
葵は安堵と笑いで頬を緩め、寝ている姉を揺さぶった。
「ほ〜ら、お姉ちゃ~ん。朝ですよーー」
瑠依はわずかに身じろぎするが、
「あおちゃ……マグロにホイップクリームはマズイんじゃないかしら……」
「え、メッチャ不味そう、何その組み合わせ……」
再び寝言を呟く瑠依だが、あまりのカオスに葵は思わず突っ込む。
姉の夢の中で一体何が起こっているのだ。もっと姉の寝言を聞いていたい衝動に駆られるが、あいにく今日は大切な予定がある。
葵は必殺技を使うことにする。
「お姉ちゃん、学校!遅刻するよ!」
瞬間、姉の目が見開かれる。
「嘘っ?!い、今何時かしら、あおちゃん………って、」
焦る瑠依に葵は少し笑いながら瑠依を小突いた。
「おはよう、冬休み中のねぼすけお姉ちゃん。」
「ふ、冬休み……あ、あぁ、そうだったわ……良かったぁ……」
安心する姉を横目に葵はカーテンを容赦なく開けた。
「良くないよ、お姉ちゃん。今日は桐ヶ谷神社に行って渚冬さんに桜のこと、治してもらわないといけないんだから」
「そうね……でも、こんなに早く起きなくても……」
「お母さんにぬいぐるみ抱えて桐ヶ谷神社に行くって言って止められないと思う?」
「?えぇ、もちろん。」
「えぇ………」
考えの甘い姉に葵は顔をしかめてしまった。いや、普通、疑うだろう。いや、疑わないのか?いやいやでも、備えあれば憂いなしだ。
それに、なるべく早く行って早く帰ってきたい。
葵の脳裏に、昨日の父親のあの顔が蘇る。




