守りたいもの、守れないもの
中学3年生の十四歳が書いています。
受験生なのに投稿してすみません。ちゃんと勉強もします。はい。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
「へぇ、沙奈も災難だったな…」
「えぇ……災難どころじゃなくない?」
眠る直前、今日の母の事件を父に話すと、父はそう言って笑った。
殺人犯に、声をかけられるなど災難ではなくもはや一種の災害だ。
「まぁ、沙奈はそういうとこあるから、葵が、ちゃんと守ってやってくれ。任せたぞ。」
「え、普通逆じゃない?
ていうか私、お姉ちゃんとお母さんダブルで面倒見るの?忙しすぎて破裂するよ?」
「よぉし、お前に任せたぞ葵!」
「いや、自信満々に言わないで?!」
さらに声を大きくして家中に葵の面倒見させる宣言を響かせた父親は不服そうに口を尖らせた。
「だってお父さん、仕事で日中沙奈を、殺人犯から守ってあげられないもん」
「いやまぁそうかもしれないけど…………」
かと言って葵に、守れというのか。そう思い葵はふと気付いた。
葵は今、例え殺人犯が母親を襲おうとしても、守ってあげられる術があるではないか。
渚冬に宿してもらった、“能力”が。普段から人前で使うのは桜や湊、そして渚冬自身と同様に掟として禁じられているが、身の危険が迫っているときだけ、許可が与えられている。
守れるではないか。母を。しかし、その能力を、宿してもらったことも口外厳禁だ。だから葵は上手く濁した。
「まぁ、出来ることはやるけど殺人犯は無理かな…」
「まぁ、そりゃあそうだよな。葵、キラキラのJKだもんな」
「いや、キラキラしてるかは分かんな……」
言いかけ、葵は微かに目を見張った。父の双眸に、悲しみのような感情が宿っているのに気付いた。
父は笑う。泣きそうな顔で。
「でも、出来るだけ、頼むよ。
俺がいないとき、沙奈を、瑠依を、出来るだけでいいから、守ってやってくれ」
父の見たことのない表情に葵は咄嗟に二の句がつげなくなった。
「じゃあ、おやすみ。たくさん寝て太陽よりも輝くギラギラのJKになるんだぞ」
そういった父親の顔には、葵が先程見た泣きそうな表情は、双眸にあった悲しさは消え去っていた。
葵は困惑する。一体どうしたんだというのか。
仕事で何かあって病んでしまったのだろうか。しかし、何となくそうじゃない気がした。
なんとなく、本当に何となく。
「また明日な、」
そう言い自分の部屋へと向かう父の姿を葵は何も言えずに見送った。
「俺の、せいなんだよな…」
顔を歪めた父の苦悶の呟きは、葵には届かなかった。




