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ギリギリセーフ

中学2年生の14歳が書いています。

何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。

「今から夜ご飯作るからちょっといつもより遅くなっちゃうかもしれないんだけど……」


階下からそんな声が聞こえてくる。


話しかける対象が上にいるのに、自らが上に行くことがなく、葵たちも困惑と焦燥で下に降りるに降りれなくなったため、効率の悪い会話が繰り広げられることになってしまった。


「あ、ぜ、全然大丈夫だよ!!」


下にいる母に聞こえるよう大声でそう返す。


返しながら、大惨事、部屋の中に雪のごとく舞い落ちた52枚のトランプを急いでかき集める。


一瞬間を空けて、


「全然気にしなくて大丈夫よ!!」


同じようにして大声を返した姉もそれに加わる。


「本当?もう、ふたりとも優しくて良い子なんだから……」


そんな少々親バカな気もする発言を聞き流しながら、大したことをしていないのに息を切らし、冷や汗をかきながらなんとかこんとか二人でトランプすべてを拾い集め、元通りケースの中にしまい込む。


今だかつてないほどのスピードでトランプをしまった葵と瑠依に(当然ながら)気づかない母は呑気に鼻歌を歌っていた。思わず安堵の溜息が漏れる。


「ハアっ、ハアっ、お姉ちゃん、あ、明日、行こう?

今からだったらきっと、お母さん、心配性だから怪しまれるしついてこられちゃいそうだし……」


息を切らしながらトランプ片手に言う。


「え、えぇ、そうね……

今すぐ行きたいのはやまやまだけども、状況が状況だものね……」


同じく息を切らし姉が半笑いで部屋の片隅で崩れっぱなしだった教科書タワーを直した。


そうして二人で桜に目をやる。


桜は、今は火花こそ散っていなかったが、変身できなくなった混乱と悲しみからか、哀愁のオーラが漂っていた。


それになおさら心が痛む。


しかし、今派手に、『ちょっと稲荷神社に行ってきまーす』なんて言った日には質問攻めでは済まない。


警察の尋問並みに質問攻めにされてしまう。危険を犯すことはできない。


あくまでもこれは、葵と、瑠依だけが知っている秘密。他の人に口外するのは、いけないことだ。


あれだけ渚冬が、必死で隠し通そうとしていたのだから。


その努力を、踏みつけにしてはいけない。


焦燥感が募るのを抑え、葵と瑠依はいつも通りの効率のいい会話をするため、階下へと降りていったのだった。


…………ぬいぐるみ状態の桜に、少し待っててね、と言い残して。

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