不安定ファイヤー
中学2年生の14歳が書いています。
前回の『稲荷ぐるみは仮の姿です』の第二章の内容を書いています。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
自分の手の上に小さな風の渦が巻き起こり、葵は思わず感動と恐怖か入り混じったような声を漏らす。
その横では、姉の瑠依が手のひらの上に小さな炎の球を浮かべ、ニコニコと微笑んでいる。
その様子だけ見れば放火しようとしているようにしか見えない。が、もちろん瑠依はそんなことはしない。
しかし、うっかりその炎の球を地面に落として意図せず放火しそうで、そちらの恐怖があった。
「二人とも、すごいね。こんなに早くからコントロールできるなんて。神の素質が生まれつきあるのかな?」
「まぁ、本当に?神様の渚冬さんにそう言ってもらえるなんて嬉しいわ!」
「お、お姉ちゃん、その炎絶対落とさないでよ?!」
喜んで小さくジャンプし、手の上の炎が不安定に揺れる様子を見て思わず釘を指す。
時は2月1日。今日、葵と瑠依は、桐ヶ谷神社にお邪魔していた。
今日に至るまで、何度もお邪魔していたのだが、今日ここに来た目的は他でもない、“秋の守護者”として必要な特殊な能力を渚冬に体内に宿してもらうためだった。
「これで私達、“秋の守護者”になるのね〜
とてもドキドキするわ……」
「私はお姉ちゃんがその炎を落としそうでドキドキしてるよ……」
目を輝かせる姉に葵はため息混じりに呟く。
そのやり取りを見て渚冬がクスリと笑った。
1月1日のあのドタバタ事件から早1ヶ月。
あの日持ちかけられたお願いーー“秋の守護者”になるという選択を、葵はこの1か月ずっと悩み続けてきた。
悩んだ悩んで悩んで、夜しか眠れないほどに悩んだ。
色々なことを考え、リスクや詳細を聞くために何度も桐ヶ谷神社にお邪魔した。