表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PASTIME!!!  作者: 暮
115/1074

第115話_王城晩餐会(2)

 正直この国については色々疑問がある為、話題には困らない。ざっと頭の中を探して、最初に当たった疑問を口にした。

「ところで、救世主の召喚儀式っていうのは、この国固有のものなの?」

 ざっくりとした話を聞く限りは『救世主』が救うのは『世界』のはずなんだけど、私を召喚したのはウェンカイン王国。他の国から別途、違う人が召喚されることはあるのだろうか。代わりが居るならそれで楽がしたいって気持ちがある一方で、付随して沢山の疑問があるんだよね、私には。

「『救世主』様の召喚が行えるのは我が国の王族直系のみという言い伝えで、他国がそれを行った記録はございません」

「じゃあ魔王さんが他国に居て、そっちを侵略している場合、どういう対応してたの?」

 王様が答えてくれた言葉に質問を重ねる。『世界』を救うなら、他の国も救う必要があるよね。でもウェンカイン王国だけが救世主を『所有』していた過去の外交。そして現在も、私に逃げられたこの国が、別の国に取られることを懸念しなかったのか、とかね。

「記録上、救世主様は国に拘らず人々をお救いでした。他国が救世主様を招き入れることを拒んだような話は聞きません」

 ふむ。まあ、他国については自分の国を助けてくれるっていうのに、拒むことも無いか。切迫すればするほど、例え普段は仲良くない国であっても一時的に休戦して、ってことにもなるのかもしれないな。

 しかし、疑問が次から次へと湧いてくる。

 何を聞けばもう少しこの世界の仕組みが紐解けるのかなぁ。私は短く沈黙して、ちょっと質問を選んだ。

「そもそも救世主とウェンカイン王国、どっちが先に存在してるの?」

 私の問いを受け、王様が、珍しく口元に笑みを浮かべる。

「……鋭いご指摘ですね。お察しの通り、救世主様が先でございます。この世界で初めて救世主様を召喚することが出来た者が、ウェンカイン王国の初代国王となりました」

 そういうことね。

 どういう原理で王族だけが呼べるんだよって思ってたんだけど、普通に考えたら逆だよな。()()()()()王族なんだ。

「なら『救世主信仰』が最も強いのがウェンカインかな?」

 他意のある言い方になった。勿論きちんとそれは王様にも伝わっている。彼は微妙な表情で言葉を選んだものの、短く「はい」とだけ答えた。

 最初の救世主召喚が成った当時、この世界はまるで日本の戦国時代のように各地で争いと領土の取り合いが絶えなかったようだ。しかし魔王が生まれ、魔族と魔物による領土侵略が激しくなり、世界が魔王によって支配されそうになると少し状況が変わる。一部は協力し合い、連合を作って魔族らに対抗を始めた。次第に各地は休戦を余儀なくされ、最終的には魔王軍とその他全ての種族という構図で争うことになったのだとか。

 そんな戦いによって世界が疲弊していく中、『救世主』を召喚し、魔王を倒し、魔族らを退ける切っ掛けを作ったのが、初代ウェンカイン国王の集団。そして救世主は神のように崇められ、それを呼び出せる血を持つ初代国王の下にこの国は一つとなった――らしいが。

「ふふ、疑問だらけだね。どうしてそこで、王になるのが救世主じゃないんだろう?」

 三人が黙った。『この世界の者ではないから』という考えがきっと最初に頭に浮かんだことだろうが、私を前に口に出せずにいる。瞬時にそれを飲み込めるだけ、君達は思慮深い王族だと思うよ。

「まあ、当の本人が拒むということも考えられるし、救世主は魔と戦う力があっても、人々を導く為の『王の器』が無かったとも考えられるけどね」

 優しいのでフォローしておいてあげよう。すると三人の表情が微かに和らぎ、「なるほど」とか相槌していた。ちょっと今のは可愛かったよ王族さん。

「でもそんな争乱時に、よくあんな大規模な術が出来たね? 下地も無く生み出せるもの?」

「……いえ、それについては」

 王様が答えに言い淀むので、何か説明が難しいことか、または機密事項が含まれているのだろうか。返答を待ちながら食事を進める。あ、このソースも美味しいなぁ。

「我々にも疑問が生じている部分ですが……初代は今のような複雑な術式を用いておりません。そして、代を重ねるごとに、呼び出しは困難になっております」

「へえ」

 最初の救世主が呼び出されるまで、初代とその仲間は『神』を信じていて、その神に祈る際に使用する、魔法陣のような模様があったらしい。今の魔法陣ほど複雑ではないとのことなので、きっと円形でもなかったのだろう。

 日々その神に勝利を祈る中でも、どんどん戦況は悪くなる一方で。そこで初代は何を思ったか、自らの血でその祈りの模様を描き、神に祈った。どうか人類に勝利を。この世界に平和を。

 そこで現れたのが、最初の救世主。

 呼び出された時には「神そのもの」または「神の子」かと思われたその人は、この世界の人ではなかったし、神と対話した記憶も持たない。その辺りは私と全く一緒なんだなぁ。私も、足元が光ったと思ったら次の瞬間、魔法陣の上だったもんな。

 しかしそんな風に突然この世界へと召喚されたその人は、この世界の為に戦って魔王らを滅ぼし、世界に平和を齎してくれたのだと言う。過酷な環境で呼び出されてんだな、最初の救世主。よくやるよ。

 でも次に魔王が生まれた時、その時の国王も同じことをしようとしたものの、救世主は現れなかった。

 そんな状況でも魔術師や魔法学者らが研究を重ね、召喚の為に色々と補助の術を追加して、一年掛かりで何とか呼び出したのが二回目。

 三回目もまた二回目と同じでは呼び出せず、同じく色々と追加して苦労して、呼び出している。そうして今回が四回目だそうだ。結果、私が呼び出され、救世主するのも断られていると。最大の努力で返ったのは最小の協力か。大爆笑だな。少しも悪いと思わないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ