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PASTIME!!!  作者: 暮
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第107話_原因調査

 私は一度ベルクらが待機している街とは逆方向に飛び、周囲の状況や竜種の位置を見て回る。

 最も集中していたのが麓の街付近と、ケイトラントが居た集落。他は特に集まっているような場所は見当たらない。しかしそれはそれとして。この山、頂上に近付くにつれて魔物が減っている。竜種以外には全くと言っていいほど見当たらない。

 最初にこの山について聞いた時、王様達は「魔物が多い」と言っていた。それに対してタグは『嘘』を出していない。けれど実際は山の『麓』には多くて、上の方には居ない。そんな偏りがあった。

「――つまり、頂上付近の何処かに、エルフの里があるね」

 もしくはその入り口か。

 ま、私にとって気に入らないのはラターシャのエルフの里だから、此処の里には特別恨みも無いし、見付けようとも思っていないが。

 山を一周する間に、視界に入った竜種らは討伐しておく。

 原因、原因と念じながら飛んでいたものの、タグは何も出なかった。異変らしいものも発見できない。仕方なく、同じ位置まで回り込んだところでベルク達の元へと戻る。

「アキラ様、ご無事ですか」

「うん、無傷。あちこち確認してみたけど、原因らしいものが無いね」

「そうですか……」

 ベルク達の方でも現地の兵から色々情報を集めてくれていたようだけれど、一様に『突然、竜種らが山から現れた』と語っているらしい。今まで居なかった山に急に発生なんかするかねぇ。大量に卵を集めてきて、前みたいに成長促進の魔法陣を敷いたのかな。でも、それなら原因としてタグが教えてくれた気がする。

 いや待てよ。突然『山から』現れたって言ったな。そんなの分かるわけねえだろ。

 まだまだ明るい時間。私はぐるりと周囲を見回した。此処は山間部だ。一部が山に囲まれている。つまり見通しが悪い。発生場所が山かどうかなんて分からない。何処から現れたって『山から』出たように見える。

「他所から逃げてきた竜種、ってことは無い?」

「……なるほど。山の『向こう』から現れたかもしれない、ということですね」

 私がさっき周囲を見回したことも込みで、ベルクは直ぐに私の抱いている違和感に気付いてくれた。話が早くて助かるよ。

「よし、もうさっさとタグで確認しよう。ベルク、私の問いに『はい』って答えてね」

「え、はい……」

「今この地域を襲ってる竜種の魔物は全部、別の地域から来た?」

「『はい』」

 答える時にはもう、私の意図を汲み取ってくれたようで、ベルクははっきりと答えた。そして彼から『本当』のタグが出現する。

「確定だ。別の地域から来てる。場所を特定しよう。竜種の主な生息地域とか調べられる?」

「ええ、すぐに。コルラード!」

「はっ!」

 少し離れた位置で兵らと話していたコルラードが駆けてくる。今、何か対応中だったんじゃないのか。良かったのか呼び付けて。まあいいけど。

「竜種の生息地域について情報を集めて来てくれ」

「あ、待って。王様には私が言っておくよ。この街で集められる範囲だけお願い」

「承知いたしました」

 私達に頭を下げると、またコルラードは慌ただしく走り去る。先程おそらく会話途中だった兵らに一言、二言を告げて、更に遠くへ。忙しそうだな。

『――王様、聞こえる範囲に居る?』

 小さくなっていくコルラードを眺めながら、私は王様へと念を送る。私からも魔道具へ声は送れるけど、王様の脳に直接語り掛ける感じじゃないんだよね。魔道具から声が出る感じ。だからあれが傍に置かれていなかったら連絡が付かないかもな。そう懸念したのも束の間、すぐに応答があった。

『はい、何かありましたか』

『竜種の生息地域について情報が欲しい。今回の竜種、何処か別の場所から来てる』

『承知いたしました、すぐに』

 通信が切れる直前、従者らに指示をしている王様の声が入り込んだので、本当にすぐ対応してくれそうだ。じゃ、王様とコルラードが情報を持ってくるまでは防衛を支援してようかな。と言っても私が山の上空をお散歩した時にそこそこ減らしているので、大群が押し寄せてくることは無い。現地兵がなかなか落とせないやつが居たら、出向いて倒す程度。

「そういえば、竜種は随分、結界を怖がらずに迫ってくるねぇ」

「はい。竜種は魔物の中でも最強クラスに属しており、結界術を怖がりません。ですが他の魔物を襲って食べることも多く、人里に向かうよりは、魔物が多く生息する地域近くに巣があることが多いのです」

「なるほどなぁ」

 結界に籠ってるせいで狩りにくい人間達より、無防備に闊歩してる魔物達の傍にいた方がお腹も膨れるってことなんだろうな。あんな無防備な集落でもない限りはね。そしてエルフの里の結界が近くても構わず竜種が山の上で飛び交っていた理由もよく分かったよ。

 その後、コルラードが戻ってきたのは十数分後だった。仕事が早いな。此処から近い竜種の生息地域は二つだそうだ。そして報告を受けた直後、王様からも報告が入る。みんな本当に仕事が早いよ。助かるねぇ。

『地名をベルクに伝えて頂ければ、地図上での場所もご確認できるでしょう』

『分かった。私が居る場所から近い順に全部挙げて。一度聞いたら覚えられる』

 私の返答に対して、王様が少しだけ沈黙した。そして戸惑いの声が返る。

『あの、三十六の地点がありますが』

『早く』

『は、はい、承知いたしました』

 王様が全ての地名を教えてくれたところでお礼を言って通信を終了する。

「情報が揃った。ベルク、真偽のタグで洗い出す。さっきと同じように、私の問いに全て『はい』で答えてね」

 コルラードが教えてくれた二つの地域と、王様が教えてくれた地域をひとつ残らず確認する。『本当』が出たのは、コルラードが調べてくれた二つの内一つだけ。その他の地域は全て『嘘』となった為、今回の騒動に関する竜種はその『本当』の地域のみからやってきたということになる。

「すぐに向かおう」

 きっとその場所に何かの原因があるはずだ。こんなに多くの、よりよって魔物の中で最強クラスと言われる竜種が一斉に逃げてくるなんて、何も無いはずがない。

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