空はどこまでも青く
あの日、あの時、世界が揺れた。空は青く蒼く碧く澄み渡っていた。まるでこれが定めかのように、嘲るように、澄み切っていた。それはそれは、雲一つないすがすがしい空だった。
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ピピピピッピピピピッピピピピッピッ
僕はスマホのアラームを切る。
「はぁ。もう朝か。夜がもう少し長ければいいのにな。」
僕は悪態をつく。僕の名前は、桐一葉。名古屋に住むごくごく普通な高校生だ。今日は夏休み明け最初の出校日。まぁ、夏休み中も普通に補習で学校に行ってたんだがな。と、スマホを見るとラインが一件来ていた。幼馴染の阿形朱里からだった。彼女とは同じぐらいの成績だったので、同じ高校に通うことになった。
『おは~!今日一緒に学校に行かない?6:20』
それに僕は一つ返事で
『おk6:30』
と返すのだった。それから僕は急いで身支度を済ませ、カバンに教科書と宿題と弁当を入れて、スマホを手に取って家を出た。家を出ると太陽がぽつんと空に浮かんでいた。太陽の焼き付けるような日差しに僕は
「暑いなぁ・・・」
と矛先のない愚痴をこぼすのだった。
僕は自転車で朱里の家に向かった。近所だけど部活で忙しくて最近は行ってなかったし、喋ってもいなかったしで、久しぶりに話せると思うと心が躍った。
ピンポーン
僕は彼女の家に着くとチャイムを鳴らした。
『はーい!すぐ行くね』
いつも通りの声に僕はほっとした。ドアが開いて朱里が出てきた。
「やほー!」
「うっす。行きますか」
「そうだね!」
朱里も自転車にまたがって出発した。
「ねね。この前のテストどうだった?」
「あー。知りたい?」
「知りたいから聞いてるんじゃん!教えてくれないの?」
「わーったよ。学年6位だ」
「負けた~。私学年8位だった」
「うぇ~い。」
そんな他愛もない話をして、中学校の横を通り過ぎたころに世界が揺れた。