家事
私は爆発して泣いた。
「不公平だよーー!!!!」
今となっては
なにを怒って泣いたのか
覚えてないのだけれど
私は ブチ切れ
怒りに任せて泣き叫んだ
「主婦の大変さがわかってないんだよ!」
喧嘩は声の大きい方が勝つようです。
いえ喧嘩にさえなってないんですけど
旦那さんはニコニコ聞いてただけだったから。
そんな訳で週末に
「相手の家事を体験してみよう!」
が始まりました、主に旦那さんが。
私は何もしません。
朝 モゾモゾ起きてきた旦那さんは
あっ
という顔をして 着ていたTシャツに寝巻きを脱ぎ
洗濯機に放り込んでスイッチを入れます。
その間にシャワーを浴びて
あっという間に出てきたと思ったら
素っ裸で 洗濯の終わった洗濯物を
パンパン叩いて伸ばして洗濯カゴに並べて行きます。
お。なんか手際がいい。
外は花粉と虫が怖いから と部屋干し。
見てると干し方 もうバラバラ。
厚手の物の干し方も全然適当。
厚手の干し方を教えてしんぜよう。
こうやって干すと 厚い布も乾くのだよ
旦那様 ふむふむと真剣にきいてくれた。
洗濯を終えると 旦那様お腹が空いた模様。
また
あっ
という顔をして
キッチンに立った。
でも 旦那さん
そもそも食材が何があるのかわからない。
旦那さんは炊飯器のお米の量を確認すると
冷凍庫からカチカチに凍ったミックスベジタブルを出してくると、特大のフライパンで炒め出した。
きっと炒飯だ!
数少ない旦那さんのレパートリーの1つ。
読めてたけど、思わず吹いちゃった。
炒めながら 同時に片付けながらやらないと
狭いキッチンはすぐいっぱいになって
まな板の置き場所さえなくなってくる。
案の定、キッチンは大渋滞して
旦那さんは立ち往生していた。
仕方ないなぁ お手伝いしよう。
正直、旦那さんの作る 麺つゆで味付けする炒飯
大好き。ほんのり甘くて優しい味がする。
2人で食べた炒飯はやっぱり優しい味がした。
食べ終わると
大量の食器や鍋類がキッチンに溢れ
私はいつもウンザリした気分。
お腹いっぱいになって 脱力してるところなのに
シンクは汚れた食器だらけ
洗い物は嫌いじゃないけど 自分が満腹で脱力モードになってるから動きたくないんだよね。
今日は作ってる最中に同時進行で私が道具類は片付けたから 食べた食器だけ。
でもシンクに置いた食器を見て
旦那さんは うーーん って顔になってた。
珈琲淹れようか迷ってたけど
先に洗う事にしたようだ。
半分手伝う。
食器を洗い終わって
いよいよ珈琲淹れるのかな、と思ったら
いそいそと掃除機を出してきた。
ぶおおおおおおおん
ものすごーーーく適当に
文字通り丸く掃除機をかけて
満足した模様。
旦那さん 大きなため息ついて
やっと椅子に座ったから
珈琲を淹れてあげた。
またまた ふうーーーーーー。と
大きなため息。
旦那さん、珈琲をふた口飲んで うーんと伸びをして
腕を伸ばしたらさっき干した自分のワイシャツに手が触れ
またまた
あっ
て顔をした。
アイロンじゃん。
旦那さん ハニワみたいな顔してた。
その顔見たら また吹き出しそうになった。
私もうーーん と伸びをしてアクビして
天井に顔を向けたら ダウンライトの電球が切れてた。
電球交換
これはいつも旦那さんがやってくれていた。
う
「相手の家事を体験してみよう!」
だった。
ええー電球 電球。
で 電球?
どこにあるの?電球。
旦那さんに聞くと
ストックの場所を教えてくれた
なのに
狙ったようにストックが切れてるの⋯⋯ 。
リビングは少し暗いから昼でも
電気点けてるんだけど
夜になる前に電球買ってこないと。
仕方ない
支度して買いに行こう。
コンタクトして伊達眼鏡して
すっぴんだからマスクして行く。
旦那さんもついてきてくれるって。
う
運転かよーーー。
そうだった 普段旦那さんが運転してくれてるんだから
私が運転するんだ⋯⋯ 。
うう 運転いやだ 苦手だよう。
助手席に乗った旦那さんが
ニヤニヤしてる。
仕方ない がんばる。
電気屋さんの売り場には
電球が山ほどあった。
ええとーーーーー⋯⋯ 。
しまった⋯⋯ 。
切れた電球を持ってくるんだったよ。
電球の海を前に絶句する私をみて
旦那さんは笑いをこらえていた。
「これだよ」
電球の海の中から
これまた ものすごく小さい電球を選んで
これだという。
えー?こんなに小さいんだっけ??
でも旦那さんが言うんだから そうなんだろう。
帰り道も 超緊張しながら運転して
家に帰る。
電球を取り替えようと
椅子に乗ってみたけど
背の低い私は全く届かなかった。
仕方なくテーブルをガタガタ移動させて
テーブルに乗ってみる。
⋯⋯ 届かなかった。
旦那さんをチラと見たら
テーブルを戻して
椅子を出して ささっと取り替えてくれた。
本当に電球はあの小さいヤツだった、びっくり。
椅子に乗った旦那さんのパンツの裾に
大嫌いな「くっつき草」の種がくっついてた。
これ何て名前なの?服にくっつく雑草の種。
あっ!
ああああああああ
そうだ
庭の雑草 刈るんだった。
ウチはとっても田舎で 山の中に建ってるお家なので
油断してるとすぐに雑草に埋もれてしまう。
草刈り用のブンブン唸るマシンで 草刈りするのは旦那さんの係だった。
旦那さんの パンツのくっつき草を むしり取りながら
チラとみると 旦那さんと目が合った。
う。
いやだーーーー
草刈りいやだーーーー
旦那さんの視線が動いたので
見ると 旦那さんはワイシャツを見ていた。
アイロンが 嫌なのね。
旦那さんの視線が戻って
また2人 目が合った。
これは私の頭の中での
会話なんだけどさ
あいこだよ
あいこ
あいこなの?
あいこ!
また旦那さんの目を見る
⋯⋯
⋯⋯ ⋯⋯ プッ
2人で吹き出しちゃった。