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1-6

 ぺしーん、ぺしーん。

 サラの振り上げた鞭がうなりを上げた。


「レーナ! よりによって自分の失態を隠すためにわたしを気絶させるってどういう脳構造をしているんですかアナタは! おまけにバストライナーを一般人に使用するなんて軍規違反で実刑判決ものですよ! ここはガン・ダウムじゃないんです! いや、ガン・ダウムでも使ったらダメなんですけど!」


 言葉を区切るたび怒りの鞭が振り下ろされた。

 振り下ろされるのは四つん這いになったレーナのお尻である。穿いているパンストはふとももまで下げられ白のパンティが丸見えになっていた。

 そこに容赦なくサラの鞭が打ち下ろされて肉を打つ音が響く。


「あふぅ、も、申し訳ございません姫様」

「謝るのはわたしだけはありません! ちゃんとクノールにも謝るのです!」

「ひっ、も、申し訳ございませんでしたクノール様っ!」

「おあずけを食らった犬のような謝り方じゃダメです! ちゃんと土下座しなさい!」

「申し訳ございませんでした!! この通りッ!!」


 地べたに頭を擦り付けてレーナが土下座してくる。

 クノールは少し引き気味に答えた。


「い、いや……、いいっすよ別に」

「クノールも気安く許してはいけません!」

「すいません……」


 軽く流そうとしたクノールはサラの迫力の前に逆に頭を下げた。

 あの後、意識を取り戻したサラは烈火のごとく怒ってレーナを尻叩きの刑に処したのだった。

 サラは容姿の愛くるしさのせいで怒っていても「ぷんすかぷんすか」という擬音がしっくりくるほど微笑ましく見えてしまうのだが、実際に怒られると妙な迫力に謝ってしまう。エイギーのような威圧感とは違う、カリスマ的なものだろうか。レーナがサラのことを「姫様」と呼ぶのも理解できるクノールだった。

 

「はふうぅ……お許しください姫様ぁ……」


 レーナが熱い吐息を漏らす。痛みや疲労で喘ぐのとは違って何だか色っぽい。

 クノールはいかがわしい気分になってきて、四つん這いのレーナから目を逸らすように顔を上げた。

 青い空は変わらず、まだら雲が白い列を作っていた。時間的に入学式はもう始まってる頃だろうか。

 空には野生の鳥の他にも、翼のある種族や、翼こそ無いものの魔法力で飛行している魔法使いや精霊種が見えた。ロッドベルの空には飛行制限が設けられていて街の上空を飛行するのには事前の許可、もしくはそれなりに値の張る定期券を購入しなければならないので飛行している者は少ない。その中には珍しいもので巨大な蛇みたいな身体をうねらせて空を泳ぐ種族や、四枚の背負った羽を回転させて飛ぶメタリックな機械族や、太ましい尻尾をぶんぶん振り回して推進力に変える地竜族の幼馴染がいて――、


「って、ちょっとちょっとちょっとーッ!?」


 塀を飛び越えて学園の敷地に侵入してくる幼馴染の影を追いクノールは慌てて走り出したのだった。

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