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犯人は誰?(1)
「きゃー」甲高い声が古びた屋敷中に響いた。その声に反応するかのように、暗い部屋の中から黒い影が動いた。そして、その影は悲鳴の主を見ると、胸をナイフで一突きした。
それは、あまりにも一瞬の出来事だった。
彼女の悲鳴を聞きつけた屋敷の面々が、彼女の元へ来たときには、もう既に彼女が胸にナイフが刺さったまま死んでいた。彼女の遺体の向こうには、いつもお気に入りの椅子に腰掛けたまま、この屋敷の主人が座っていた。
屋敷の主は、彼女の遺体を表情のない目で見下ろしていた。
そう、既に屋敷の主も事切れていたのだ-
「と…とりあえず警察と救急車を呼ぼう。」誰かがそう言った。とそのとき、近くで雷鳴が聞こえたかと思うと、部屋の電気が消え、再び部屋は暗闇に包まれた。近くに雷が落ちたのだ。暫くして停電が治まったのか、屋敷にある予備電源に切り替わったのかわからないが、部屋に灯りが戻った。