ある日突然普通の日常生活が奪われた
「おっはよー」教室中に響くような声で挨拶をしたのは、クラス1モテると言われている俺、響野翔である。俺は至って普通なのだか、席替えをしてから普通では無くなってしまった。
「翔はいつも元気だねー。」周りの女子からの反応はいつも通り。
俺はクラスメイトに笑顔で挨拶を返しながら自分の席に着こうとすると、まただよ。隣の席である高柳巫女が、俺の席を陣取っているではないか!!俺は小さくため息を漏らすと巫女に席を返してもらふうように言った。
巫女はちっ。と軽い舌打ちをすると、渋々自分の席についた。そして、彼女は俺に
「響野くん。貴方には、これから勇者になってもらいます。」と告げると、一時間目の授業準備を始めた。
は?ふざけんな。確かに俺はクラス1モテると言われてるけど、勇者になれとか言われたことないぞ?どうするんだ俺。
これは素直にこいつの言う事を聞くべきなのか?それとも…。そう考えてるうちに、授業開始のチャイムがなった。
それから、巫女は俺のことをしつこく追いかけてきた。
移動教室のときも、トイレに行く時も。
巫女は何を考えているのだろう?やっぱり、今朝のことか?
俺は昼休みに、友達の一人である奥田優斗からもらったいちごオレを飲みながら考えていた。
「翔。どうした?今日何かボーッとしてるけど。」心配そうに俺の顔をのぞき込む優斗。
「あのさ。実は今朝、巫女から訳のわからないことを言われて…」と、優斗に今朝のことを全て話した。
優斗は気にすんな。と言うと自分の席に戻った。
巫女は俺が一人になったのを見計らって、「今日の放課後に恐らく魔物がやってきます。どうか、魔物を倒してください。」
「は?俺が?なんで?」
「響野くんは勇者に選ばれているからです。」巫女がそう言い終わると同時に5限目が始まるチャイムがなった。
俺は返す言葉もなく、残りの授業を受けた。
そして、放課後になった。何も起こらなかった。俺は、巫女の言葉は単なるからかいだと思い、帰ろうとした。
その時俺は今日学校に来たこと、巫女の言葉をからかいだと思ったことを後悔した。
なんと、学校の門は開いているのに外に出られないのだ。
おかしいと思いながら俺は反対の門からと思い踵を返そうとしたとき、いつの間に現れたのか巫女が隣に立っていた。
魔法使いのローブを羽織って。
「やはり、魔物に空間制御されてしまったのですね。。」
「は?何それ?」
俺は巫女にそう返した時、誰かに後ろから殴られた様な衝撃を受けてそのまま意識を失った…
どれだけ意識を失っていただろうか。俺は自分の顔に何か柔らかい物が当たっている感触で目が覚めた。
誰かに殴られた後頭部が痛い。恐る恐る目を開けて周りの様子を確認した。その時俺は自分の顔に当たっている柔らかい物がなにかを悟った。
「……」
俺は声にならない悲鳴をあげた。何と巫女の胸が俺の顔に当たっているのだ!それに、コイツはどうやら隠れ巨乳らしい。
俺がそんな事を考えていると、巫女が目を覚ました。そして、彼女は自分がどんな状況なのかをすぐに判断したらしく、俺の脇腹を思いっきり蹴った。
そして、俺はその衝撃で再び意識を失った……