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スカーレット・アイズ(旧:異世界辺境生活)  作者: 長靴を履いた犬
異空間と、二つの月と、大切な友達。
1/13

異空間

 現在、この作品は加筆(改訂)作業中です。

 一応、第一話は加筆(改訂)作業は終了しました。


 今でない時

 ここでない場所



「……ごめんなさい」

 黄昏時よりも仄暗い空間に、女性の声が幽かに響く。


『えっ、誰? 誰か居るんですか?』

 その声に反応し、彼は周囲を見回す。


「私は、貴方の様に為れなかった」

 声には、悪意を感じられない。


『俺は竹島大和。気がついたら此処に居たんだ。君は?』

 気がついたら見知らぬ場所に一人立っていた彼、竹島大和は、すがるような思いで、声の主に話しかける。


「私たちの大切な……」

 だが、問いに対して明確な答えは返ってこず、独白の様な懺悔を続けている


『聞こえますか? 聞こえていたら返事してください』

 彼、大和は声のボリュームを上げて話しかける。


「……貴方の守りたかった全て守れなかったの」

 大和の声には答えずに、ただ苦悩と後悔だけが声に滲む。


『すみません。俺の話を聞いてください。お願いします』

 大和は、大きく声を張り叫ぶ。


「でも、今度こそ私が守るわ」

 やはり大和の声には答えずに、悲壮なまでの強い決意を感じられる。


 ……此方からの声は聞こえないのかもしれない。

 そう考えると大和は、再度、声をかけることを躊躇しする。

 頭を掻きながら、周囲を見回す。

 空は黄昏時より仄暗く、視界は悪い。見える範囲では砂と小石が混じた地面が続いているみたいだ。


 人の気配は、今のところない。


「貴方を、貴方に関わる全てを」

 声が、悲壮なまでの強い決意から歓喜で染まる


『……あの~』

 埒が明かないと思い。

 意を決し、再々度の問いかけようとする大和。

 

 しかし……


「たとえ、どんな手を使ってでも、……守ってみせるわ」

 大和の問いを無視して、歓喜から、徐々に狂気に変わる。


『……え~っと、誰でも良いから、俺の話聞いてください。って言うか、此処此処が何処か教えてください。出来たら帰り道教えてください』

 大和は、気味の悪さから他の誰かに助けを求める。

 この声の主以外にも居る可能性に賭けて、出来うる限り声を張り叫ぶ。


「だから、お願い」

 女性の声に反応するように、僅に視界を維持していた光量が一気に落ちて暗くなる、上空の一点以外、まるで夜空に一つだけ浮かぶ星の様に光耀く


 大和は、周囲を見回し状況の急激な変化に驚きを隠せずに、宙に浮かぶ光源に気を取られる。


「私に」

 浮かぶ緋色の光源は、姿を内部から朧気な光を放つ多面体の塊に変えた。

「力を……」

 言葉に呼応する様に、緋色の多面体が弾け飛ぶ。

 降り注ぐ閃光と共に破裂した欠片から、大和は両手で顔を守ろうとする。


 だが、


 頭を突き抜けるような衝撃、瞬時を置かず走り抜ける灼熱の激痛。

『~~~ぁっ~~~ぁぁっ』

 声にならない絶叫。

『目がぁ、目がぁぁ~』

 両目を押さえながら、姿勢を崩し踏鞴を踏む。



 閃光は空間の闇を切り裂き、四散した他の欠片は煌々と耀きを増し、砂や小石だったものが発火する。

 一変して、空間を紅蓮の炎の海へと変えた。


『~~ぁっ』

 両目を焼く欠片と周囲から迫る炎、その激痛と熱からは逃げ場は無い。

 それでも、少しでも足を進め熱から逃げようとする、だが、火の回りの方が早く足元から全身を炎が包み込む。

 二歩、三歩、後ろによろめく。と、不意に足元の感覚が消失する。


 落下する浮遊感の中。


 大和が最後に聞いた声は、男性の様な、女性の様な、老人の様にも、子供の様にも感じられる声。

 不思議な印象を塗り潰す狂気混じりの嘲笑。

「あぁ、こっちに彼女の意識が漏れて、空間に干渉していたようだね。縁の力って案外強いね。計算外だったよ。」

 再び、狂気混じりの嘲笑。

「でも、まぁいい。情報は正しく再起動され、前と同じく契約の刻印は刻まれた。さぁ、精々楽しませて見せろ」


 意味深で、かつ意味不明な言葉だった。



 某刻

 某所



 彼は、布の上に寝かされていた。布の下は、干し草や藁などが敷かれてクッションの役割を果している。


 意識を取り戻すと、生きていることに、一先ず安堵する。

 痛みは感じられない、視覚も一応有るみたいだ。

 しかし、靄がかかった様な視野と身体の不自由を感じ不安になった。


 二度、三度、大きく深呼吸する。


 気持ちが落ち着いた後、動ける範囲で動作を確認する為に、先ずは起き上がろうとする。


 だが、起き上がれない。

 更に、寝返りさえも出来ない。


 手足は動くが、細かい動きが出来ない。

 ついでに、顔を掻いた時に触れた感じで、いつもより手が小さい感じがする。


 頬は掻けたが、つきたての餅のようにプニプニしてる。

 火傷の痕どころか、無駄に肌のキメが細かい。


 訳が解らず、頭を抱えたら毛髪が薄い。

 変なことに、髪質も軟らかくなっている。


 現状を把握すると、自分のイメージしていた元の姿に結び付かない。


 彼が、今まで何があったかを必死で思い出す中


 ぼやけている視界の先に、誰がのぞきこむ気配を感じる。

「あぅぁ?」

『誰?』

 呂律が回らず、更に不安が強くなる。


 目を凝らすと、ゆっくり焦点が合ってくる。


 形のいい耳


 心成しか優しげに見える目元


 緋色の混じった金色の瞳


 鼻は、スッと鼻筋が通り


 そして……


「わん」


 ……真っ白な毛並み


「あぅぶぅ」

『犬かよぉ』

 仰向けのままだが、キレの良い動きで軽快に突っ込む。

 勿論、小さな手なので突っ込みは届かない。

「わん」

 その突っ込みに対して犬は、嬉しそう尻尾を振りながら答えた。

 随時、加筆(改訂)する予定です。

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