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奴隷スタートの古代ローマ転生で成り上がりRTA(実質強制)  作者: 九束
1章 石膏像回避!ポンペイ脱出RTA

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23話 グラッパ作り

さて、早速だがグラッパづくりに入ろう。


材料は先ほど言ったこのワインの搾りカス。


この搾りカスにはまだ結構な量のアルコールが残留しており、今回の蒸留ではその抽出を行う。


まずはこの搾りカスを大型のワイン壺(アンフォラ)に7割ほど入れ、そこに2割ほどの水を足す。

水を足すのはこのまま火にかけると焦げるからだ。


なお、もう一つの注意点としてワイン壺(アンフォラ)はそのまま直火にかけると割れるので、ちゃんと大釜に砂を敷き詰め、そこに水を入れて湯煎形式のような形にすることを忘れずに。


そうして沸騰槽の準備ができたら前回同様蘭引(蒸留器)を上に載せ、冷却水を最上段に入れてから過熱を開始する。


流石にこの大きさのワイン壺(アンフォラ)だとすぐには沸騰しないが、そこは我慢だ。


我慢できなさそうなルクレティアお嬢様には先に温泉に行っていただくことにした。

なお「ルシウスも一緒に入りましょう!」とか言われたが勘弁してください、バレたら農神祭(サトゥルナリア)とかかなぐり捨てたマルクス様に殺されてしまいます。


そんな危ないことを言うお嬢様は今は表面上立場が上の侍女さんに放り投げ、温泉へ強制連行してもらった。


農神祭(サトゥルナリア)万歳である。


そんなことを考えながら圧搾場の元気な声を聴きつつ、ひたすら待つ。


しばらくすると、ようやく中段(蒸留槽)の蛇口からぽたりとヘッドが抽出されだした。


「お、きたきた」


「ほぉー……これを作ろうとしてたんですか?」


俺の声に、ようやく何かが出来上がってきたのかと近くであくびをしていたマニウスさんが敬語で俺に聞いてくる。


「俺の目的はこれだけど、たぶんアンタら飲んだくれの目的物はもうちょっと後」


「ではこれはいったい?」


マニウスさんは俺が薬瓶で採取している蛇口から出る透明な液体を見ながら不思議そうに聞いてくる。


「毒」


「え!?」


「冗談。だけど飲んだら本当に毒になることもあるから気を付けてね……ブドウもワインにする前に悪いものは除くでしょ?」


「あぁ、そういう……」


補足情報でマニウスさんは納得したようだ。


実際赤ワインで作る蒸留酒はメチルアルコールが結構な濃度で存在するのでこのヘッドを大量に飲むと普通に失明位はするので毒というのは普通に間違いじゃなかったりする。


「この悪い液はこの薬瓶1個程度取ったらあとは安全。よし、もうすぐ取り終わるから小さいワイン壺(アンフォラ)をちょうだい」


「それならもう用意してますよ。ほら」


そう言ってマニウスさんは俺の足元に小さいワイン壺(アンフォラ)を置いてくる。

目測で大体2セクスタリウスくらいの容量に見える。


「ありがと!で、次はこのワイン壺(アンフォラ)の8割くらいまで取る。そしたらこの搾りかすからとれるものは終わり!」


「安ワインに比べると全然取れないねえ……ちなみにこれが俺ら飲んだくれの目的になるってことは……これも酒かい?」


小さいワイン壺(アンフォラ)にぽたぽたと溜まっていく透明な液体を眺めながらマニウスさんは感想を漏らす。


「うん。でも最初はうちの飲んだくれ(フェリクス)に毒見してもらうからアンタは飲まないほうがいいよ」


「なるほどね、わかりましたよっと」


「それじゃあ、あとは頼んで良い?」


ここから先はマニウスさんに任せても同じものが出来上がるので、2回転目用のヘッド採取用薬瓶をマニウスさんに渡し、俺は一旦作業から離脱することにする。


「あいよ、2回転目も同じ要領でやればいいんだね?」


おおよその内容は理解したようで、俺に最終確認をしてくるマニウスさん。


「うん!お願い!じゃあ、お嬢様……じゃなかった、ルクレティアの相手をしてくる!」


そう伝え、現場を離脱した。


太陽はもう空高くに上がっており、午前の終わりを示していた。


これ以上ルクレティアお嬢様を放置するわけにはいかない。

表面上主従が逆転していようともお嬢様はお嬢様なのだ。



後々が怖いのでご機嫌取りは必須である。





それから数時間。


俺はルクレティアお嬢様とワイナリーの敷地を探検したり、俺がルクレティアお嬢様と入れ替わりで敷地内の天然温泉に入って旅の目的を達成したり(お嬢様も乱入したがっていたが侍女さんに別の建物の方に強制移動してもらった)、近所の林を散策したりして過ごした。


ルクレティアお嬢様はやたらと俺のことを『ご主人様』と擦ってくるムーブをするものの、それ以外は基本的に終始ご機嫌。


しばらくは無茶ぶりが飛んできそうにないことに安堵の息を漏らす。


後はそう、夕方の仕込みもした。


冬の山は静かだが、豊かな実りもある。


俺はルクレティアお嬢様と侍女さんと一緒に、低木に実っている鮮やかな赤い実を摘み取っては籠に入れていった。


これはイチゴノキ(コルベッツォロ)


割と適当に栽培しても実をつける木で、敷地内に結構生えていた。


ここに生えている品種はあまり甘くない品種なのか、熟れた果実は土に落ち、誰も実をとっていないようだ。


実際一つ食べてみたら結構すっぱかった。


なので遠慮なく収穫させてもらう。


「えー、ご主人様(ルシウス)。これ本当に食べれるの?」


「持ってきた麦の蜜(水あめ)でコンポートにすれば美味しくなると思うぞ」


「たしかに!楽しみ!」


……お嬢様も食べることを想定して小麦の方の麦の蜜(水あめ)を持ってきて本当に良かった


「……よし、これくらいあれば十分だろう」


必要な分の収穫を終えたころには太陽が西に沈みかけ。


「そろそろ今日泊まる邸宅の方に行きましょう?ご主人様(ルシウス)っ!」


「そうだな」


ルクレティアお嬢様の言葉に同意し、俺は農場に併設されている邸宅へ戻ることにした。

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