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第八話 馴染むための暇

「はぁ…はぁ。も、もう一度お願いします!」

 前よりもずっと低い声で話すサイトウ。強化スーツを着てもう2年。彼はネオ連邦ハーベストサン地区の別荘にて稽古をしていた。

 この世界の事も少しずつわかってきた。

 ハルアと周辺国のことくらいではあるが。

「サイトウな、あんまり無理すんなよ。少しは抵抗出来てるし、身を守るくらいならもう出来るぞ。…とりあえず部屋で休んでこい。ほらっ。」

 小さな小瓶を投げられる。たまにケンジさんがくれる栄養ドリンクだ。

 あの後何とかユマチの拠点に帰ったが、フォンさん達は頭を抱えていた。突然シーマン教会が聖地であるアトラン大聖堂及び関連施設を閉鎖したのだ。理由は公には出ておらず、調査も出来そうにないらしい。そこでフォンさんは昔の仲間に声をかけ、教会への調査の方法を探すらしい。

 そうして出来た余暇を、ケンジさんの別荘で過ごすことになった。レオセンさんはAXEに戻ったので、前に貰った強化スーツを使いこなす為、元軍人のケンジさんに稽古を受けさせて貰っている。

「そういえばケンジさんは何故軍に入っていたんですか?ハルアなんて正規軍が設立されたのも最近でしょうし、市長の息子だそうですし。」

「元々は俺は公安を目指してたんだけどな。試験前にイガラシとかいうやつが公安局を爆破したんだよ。それで試験がおしゃかになっちまった。」

「いわゆるハルア闘争ですか?」

「そうだ。それで公安はまともな機能を失った。…そしてイガラシの鎮圧の為に設立された臨時治安維持戦力がそのまま正規軍として定着した。」

「だからそのまま軍に入ったんですね。」

「まぁそうだな、大体合ってる。4年で辞めたけどな。」

「そうだったんですね。」

「…お前はいつも人助けしたそうにウズウズしてるが、自分を見捨てちゃあかんぜ。」

「なっ!どうしてそれを。」

「…ヒーロー願望ってのは動きに出るんだよ。」

「そうなんですか?」

「あぁ試行回数2回だ。間違いねぇ。」

「…。」

「もうちよい試したいが二度とごめんだ……あぁ!話が暗くなっちまう。飯食うぞ飯!」

「はっはい!」

解説


 ハルア闘争

 イガラシ−ユウキの起こした革命運動の総称。

 疑似科学を信奉する様な愚者を扇動した卑劣な行為と呼ばれ、一時期は他国からも警戒されていた。

 最終的な犠牲者は700人を超え、今も遺族による啓発活動が多く行われている。

 そんな悲劇でありながら、今もイガラシを信奉する者もおり、残党は公安により重要警戒組織などと呼ばれ、警戒されている。彼の活躍した一部の地域は彼を神と崇めることすらある。今はほとんど存在しない。

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