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第三話 決意、僕なりの道

 あの後ハチグマの移動が確認され、僕達はしばらく休みを取ることにした。

「ごめんなさい。僕のせいでハチグマに逃げられて…」

「許さない!と言えばいいの?今まで一緒に生活してきて、一つ君に不満がある。なんでもかんでも謝りすぎよ。別に悪くないのに謝られても暗くなるだけなの。」

「あっ…ごめんなさい!」

「…話聞いてた?もういいわ。後でケンジにも顔見せに行きなよ。めちゃめちゃ心配してたから。」

 

 ケンジさんに会いに行く。僕が間違えたりすると「気にすんな」って背中をポンと叩いて僕を励ましてくれる。少し口が悪いけど、凄く優しい人だ。

「ケンジさん!おはようございます!」

 大きめの声で挨拶する。

「おっ!サイトウ!元気そうだなぁ。ビックリしたぜ!空から降ってきたからな!ぐったりしてるもんだから、そらもう悲しくてなぁ…」

 わざとらしく目元を擦っている。

「取り敢えずな!サイトウ、無事で良かったよ。」

 ケンジさんは眩しいほどの笑顔を見せてくれた。少しでも皆の為になれるよう少し鍛えてみようかな。

 その後少しだけケンジさんと雑談をした。

 そういえばレオセンさんに会っていない。いつも一番広い部屋にいるのにな。

 なんとなく椅子に座って窓を見る。しばらくフォンさん達と生活してきたユマチの建物達。元々住んでた街とはなんとなく違うのに、遠くから見たらきっと日本だと認識する。

 薄々気付いていた。

 ここは前いた場所とは違うのだろうと。

 フォンさんはここをハルア国のユマチと教えてくれた。昔通っていた学校ではハルア国なんて出て来なかった。それだけじゃない。前街の真ん中に居た時以来に見た生き物はどれも知らない生き物だった。

 道の脇に生える木も、そこにいる虫もどれも知らない物だった。

 そもそも最初からおかしかった。でも見ないふりをしていた。本当はあの時死んでいたはずだからかなのか。

 でもあの時にフォンさんが、僕に優しくしてくれて。僕を受け入れてくれて。理由が僕を見ているものでは無くても、ただ役割をくれた。僕を仲間と呼んでくれた。

 きっとここは元の場所ではない。

 それでも不思議と感じている。元々の場所には戻れないと、もう帰れないと。

「なにをするのか。なにをしたいのか。どちらにせよサイトウ君、君も決めなければならない。私としては急かすのは本意ではない。まずは君の目的を決めてほしい。お金の為、より多くの人の命の為、自分の命の為、別になんでもいい。ただ、目的を決めて欲しいんだ。君の本心を、行動の理由を知る為に。」

 フォンさんに言われたことだ。少し仕事をしてわかった。見捨てる事も沢山ある。きっと人も死ぬのだろう。そして僕はフォンさんのように、生きたい。多くの人を助けるまさに小さな頃に見たヒーローの様に。

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