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先輩との出会い

第二話になります。

まだまだ藤四郎ですが、夢である小説家になれるよう鋭意努力致します。

「ゆーちゃん。いつもありがとうね。これ、お給料」

「ありがとうございます」

店主の大塚(おおづか)さんからバイト代を受け取る。

「ゆーちゃんが来てくれてから、店にお客さんたくさん増えたよ。

本当にありがとうね。ゆーちゃんは座敷童みたいな存在だね」

「僕もこの店で働かせてもらえて、大塚さんに会えて、お客様とお話

出来て幸甚(こうじん)です。こちらこそありがとうございます」

「まぁ、本当にゆーちゃんはいつも恭しい(うやうや)ねぇ。

そんないい子には褒美をあげねば」

大塚さんは店の奥に入り、封筒を持ってきた。

「これ、ボーナスね」

「ありがたいですが、受け取り致しかねます。申し訳ないです」

「いいってことさ。いつも頑張って働いて店を助けてくれているんだしさ。

日頃のご褒美に美味しいもの食べたり、欲しいもの買ったり、

よしなに使ってね」

「申し訳ございません。ありがとうございます」

「どういたしまして。今日も一日ありがとうね」

店を出た後、僕はうきうきとした気分だった。

こんなにお金を頂けては、嬉しさも外面に現れる。

(家族と食事に行くのもありだなぁ。余ったお金で本や飲み物を買うか)

「なぁ、いいだろ?ちょっとくらい付き合ってくれよ。美味いもん

奢るからよ」

「そうそう、たまにはぱぁーとやろうぜ」

如何にもガラの悪そうな男の声が聞こえた。

声の方向を見ると、僕は瞠目(どうもく)した。

男二人に絡まれているのは、学校一のアイドルと称される

愛先輩だったからだ。

「やめてください!ほんとに警察呼びますよ?!」

「つれねぇ事言うなって」

無慈悲な事に近くを通る方達は関わったらまずいと思うのか、

助けようとしない。気持ちはわかるけど。

僕は鞄の中を開けて、今日貰ったバイト代とボーナスを確認する。

(これなら、いけそうだな)

覚悟を決めて、先輩の元へ向かう。

「あの、すみません」

「あぁ?」

勇気を出して声をかけたのはいいが、やっぱり怖い。

けど、ここまで来たからには最後まで全うする。

「彼女を放してください」

「お前には関係ねぇだろ」

「痛い目会いたくなかったらとっとと失せやがれ」

一人が拳をぱきぱきと鳴らす。

僕は手に持っていた封筒を差し出した。

「なんだこれ?」

「この中にお金があります。全て差し上げますので、どうか彼女を

放してください」

封筒の中身を確認した二人は、喜色満面になった。

「まじかよ!けっこう入ってるぞ!」

「だよな!棚から牡丹餅だぜ!」

「今申し上げた通り、全て差し上げますので、彼女を解放してあげて

ください」

「もちろんいいぜ!悪いね!こんなに貰っちまってよ!」

「問題ないです。では、僕達はこれにて。先輩、行きましょう」

「あ、うん」

僕は先輩と一緒に男達から離れた。

近くのコンビニまで行き、ホットのカフェオレを僕と先輩の二人分を

購入した。

「どうぞ」

「ありがとう」

良い塩梅(あんばい)に温まったカフェオレを口に含む。

甘味も良い塩梅だ。

「あの、助けてくれて本当にありがとう。貴方、一年の子だよね?」

「どういたしまして。はい、仰る通りです」

「名前、聞かせてくれるかな?」

小塚優(こづかゆう)と申します。よろしくお願いします」

「優君だね。校内で何度か貴方の姿見た事あるけど、話した事無いから

わからなかった。伊西愛と申します。よろしくお願いします」

「先輩、怪我とかはどうですか?」

「大丈夫だよ。ありがとう」

「良かったです。こちら、タクシー代になりますので使ってください。

またさっきみたいな奴輩(どはい)がいたら悪いですから。返さなくても

問題無いです」

僕は財布の中から万札を三枚取り出して、先輩に差し出した。

「受け取れないよ。もっとお金を大切に使って」

「命を守るためなら、僕は喜んでお金を使います」

三万円を先輩の隣に置いて、ベンチから立ち上がる。

「では、また」

「待って」

「なんですか?」

「いつか、絶対にお礼をさせて」

「僕に顧慮(こりょ)しなくて大丈夫です。見返りを求めるつもりは

からきしですので」

その言葉を最後に今度こそその場を去った。

まさか、先輩と喋る機会が来るとはなぁと思った。





ありがとうございました。

引き続きよろしくお願い致します。

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