仕事の任務
この世界は…腐っている。何故僕たちが狙われなくてはならない。何故僕らは……殺されなくてはならない。
許せない。いつもそうだ、理不尽極まりなく、ただひたすらに宵を漂って、祈りを捧げる。角隠しと称される魔術を利用し、我ら……魔人が…人の振りをして、どうにか生きながらえるために。
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時刻は正午。然しながら、陰鬱とした雰囲気漂う裏路地の為か、夕方のように暗い。然し時折チラチラと見える煌々と輝く太陽は、まるで僕の心を楽しむかのように、ぎらりぎらりと睨みつける。その裏路地を足早に駆け抜け、毒々しい色をしたネオンが正午だと言うのに着いている。
そこは、魔人の酒場。本当の意味での心の友が住んでいる。
僕は学生だ。魔人特有の色付きの髪を真っ黒に染め、双眸も漆黒のカラコンを付けることで、見た目を人にちかづけた。
彼等の科学技術は、発達し過ぎている。だから…彼等は様々な歯車と呼ばれる特殊改築をし、改造人間として殆どのものが生きている。
魔術を扱う魔人達と、高発達の科学技術を持つ人々。大昔、戦争があって、そこで負けたんだ。
戦争の理由は…魔人達の差別意識が根絶することは無く、燻り続けた怨嗟の焔が原因だと言われている。当然僕だって許せやしない。だから…あの仕事に就いているのだ。
ゆったりと酒場に座る。そして注文の品が出てくるのは数分後。
香ばしい匂いを放ちながら、持ってきたのは、ジュウジュウと音を立てる肉厚のハンバーグ。ドリンクは勿論炭酸一択。黙々と食べ進んでいるとーー。僕の親友がやってきた。
「よぉ、久々じゃんか、人間の生活に溶け込み続けてんのか?」
そう言って話しかけるは、透き通るような銀髪に、燃え上がる焔の如し双眸、真っ黒なスーツに身を包む彼の名はレオン。レオン・グランヴェルジュ=リヒテンシュタイン。長ったらしいのでレオンと呼んでいる。
「そんなことはないさ、レオン。僕だって、君から貰った任務をこなすのに精一杯なんだよ」
そう軽口を返す。任務とは、諜報活動。いつか来る戦争の日の前に、様々な人間をよく見、観察し彼らを覗く。其れこそ僕の仕事である。
「そうかい、リーゼ、だが君にしか出来ない仕事だ、受けてくれるね?」
僕の名前。リーゼ。リーゼ・カラドラグ=ビルツシュバリエ。普通にリーゼと呼ばれる。
僕にしかできない事は無いはずだが……まぁ、レオンの事だ。信用してくれているのだろう……。
ならそれに答えなくてはならない。
「其の仕事とは」
レオンが口を開く。
「ーー……人族同士の抗争、暴走族とされる、人族の中でも危険人物達を見張って欲しい」
「あぁ、確かに…諜報用の魔術を取揃えた、僕向きの仕事だ……。しっかしそれ、僕以外にも人がいないと無理じゃないか?」
そう言うと、レオンは言った。
「あぁ、だから……俺の組織から、助っ人を出す」
彼は微笑んで……、そう言ったのだった
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