プロローグ:トラックは突然に
仕事が終わった。帰り道、適当な弁当と、酒とつまみを買った。
育ちがいい人間ではないので酒を一缶開けて飲みながら帰る。
「いーねーいーねー、お酒を飲まずに生きていける人間はうらやましいぞ」
なんて、独り言をしながら歩いていると、後から早歩きの気配を感じた。困ったなぁ、ぶつからないと言いなと思う気持ちは裏切られ、
すっと人がいない方向にずれてみたが、それがダメだった。そりゃそうか、あっちも人がいない方向目指すもんな。
バタッ!
「あた!」―――というのが俺の声。
「いつつ…」―――これは後からぶつかってきた人の声だ。なんとピンク髪の美少女だった。
「あ、すみません、大丈夫ですか?」
「い、いえいえ、こちらこそ申し訳ありません!私が急いでいたばかりに...、あ、ビールまで…。申し訳ありません、弁償いたします」
めっちゃ礼儀正しい人だな。うーん。よし。
「いえ、こちらの件は大丈夫です。そうですね、美人と体がぶつけってしまったことと相殺でお願いできますか?」
「美人だなんて、そんな…」
「ほら、急いでたんでしょ?」
「――――!いずれ、このお礼はさせて頂きます!ありがとうございました!」
「あれ?このハンカチって、さっきのおねーさんのものかな。まぁいいか。今度会った時にでも返そう」
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「うーん、今日はいい日だったな」
仕事でもいいこと出来た、お客さん万々歳。
帰り道でもいいことした。万々歳。
「あとは帰って寝るだけですよっと」
こんなに幸せなことがあった日は、いい夢を見『ドン!』『ドッカーン!!』れるt―――――