AITACEOVER技術 アイテスオーバー技術
静かな待合室でどれくらいたっただろう・・・
僕も体のつかれは感じないが疲れているんだと思う、彼女がもう戻ってこないんじゃないかと考えるといてもたってもいられない、
目の前にノイズが走る
さらに時間がたつ、こんなこと初めてだし何回もあってたまるかと思う
彼女の両親が僕の肩にそっと手をおいた
彼女の母「あの子は昔から体が強い方ではなかったの」
彼女の父「心配はいらない大丈夫だろう」
その言葉たちは僕に対してでもあり、自分に対しても言い聞かせるように言っているのだろう・・・きっと。
突然近くの扉が開いた
大人が彼女の両親に近づいてきた
「心配はいらないですよ、ただ一応念のため検査の為にしばらくは入院をしてもらいますね」
彼女の両親は安堵の表情で顔を見合わせ、そして僕の顔をみて優しく微笑む、そして先生に
「わかりました、よろしくお願いします」
その時は彼女に会う事も出来ずとりあえず帰宅してあとで会いに来るようにした。
何とも言えない様な帰り道だった、昨日の昼過ぎから今日の朝方までの変化と怒涛の時間のながれ疲れないはずがない、
自分の家がどこかすら、今何をしているのかすら、
わからないうちに無意識に体は動く、そして休息についた。
目を覚ますと夕方だった、彼女はどうなっただろう一番に気になりすぐさま、準備をして急ぎ足で病院に出かけた。
病院の受付で彼女の病室を聞くと、看護婦さんが通常通りの対応で個室を案内してくれた、僕は安堵した、大丈夫だったんだろう。
病室につくと中から彼女の声がした
「なんで教えてくれなかったの?」
怒っているようだが小さな声で確かにそう聞こえた、両親と喧嘩でもしているのかな、喧嘩できる位元気なら心配もいらないだろう。
そっとドアを開けた
一斉に部屋の中からの視線が集中する
僕はなんとも言えない気持ちで言葉を発する
僕「体は大丈夫か?」
彼女「うん!」
笑顔で彼女が答えた、両親も優しい笑顔で僕をみた。
いつもの彼女だった、僕の大好きな大切ないつもの彼女だった。
彼女「制御がうまくいかなかったみたい」
僕「ああ、左手の?」
彼女「そうみたい」
彼女の左手にはいつもリングをつけているただのアクセサリーの様なただそれが彼女の左手を自由自在に動かすために必要だ、
「アイテスオーバー技術」
今現在で最新の技術だ
無線通信により脳とこのリングとがリンクしていてこのリングが左手の制御を担っている、
痛みさえもリンクする
ただフェールセイフ機能がついていて予期せぬ動作についてはカットする機能もついている
この技術はあっという間に世界に広がり、世界の多くの体の不自由な人々が助けられている
現時点での問題点は保険適用されても治療費が普通の家庭では払いきれないくらいの金額がかかる事、あとは制御の方法の論理上の問題から体の一部の制御しか許されていないみたいだ。
彼女の両親と僕の両親はこの技術の生みの親、そのため治療が出来ている。
彼女と話せて安心したので今日は帰って、また明日あらためてここに来ることにした。
登場人物 僕 彼女 彼女の両親